消費税導入でカーシェア利用料金はどうなった?
2019年10月1日、日本経済を大きく左右するともいわれる10%への消費増税が実施されました。執筆時点の12月中旬の株価動向(日経225)は戻り高値を更新しており、ひとまずは安心して年を越すことができそうです。
一部の経済学者が指摘するように、東京オリンピック・パラリンピック以後の日本経済にどれほどの影響がでるのかどうか気になるところですが、まずは、身近なところで、カーシェアの利用料金はどうなったのか見てみましょう?
もともと価格破壊といえるような低料金のカーシェアリングサービスですから、多少の値上げがあったとしてもそれほど大きな影響にはならないかのしれません。とは言え、ヘビーユーザーの方には気になるところです。
今回は、消費増税後のカーシェアリング事業者の利用料金について徹底的に調べてみました。
気になる大手3社の動向は
ご承知の通り、国内カーシェアリング市場は大手3社の寡占状態となっています。もっと言うと、圧倒的なシェアを有するタイムズカーシェアの独壇場といっても言い過ぎではないでしょう。
この大手3社、とりわけタイムズカーシェアの利用料金動向が多くのカーシェアユーザーに影響を及ぼすことになります。
タイムズカーシェアは値上げに
断トツのシェアを有するタイムズカーシェアは、一部利用サービスの改定とともに利用料金をほぼ2%前後値上げしています。
筆者も最も多く利用するベーシックのショート料金(時間料金)が、206円/15分から220円/15分に値上げとなります。
これについては、約8年利用している筆者からすると、もともとの利用料金200円+消費税3%分から値上げをしてこなかったサービスが、ここにきて一気に消費税分の値上げとなったという印象です。
まあ個人的には許容範囲内かなというところですが、皆さんはどうでしょう?
個人的には、値上幅よりももっと良いクルマを提供してほしいという気持ちが強いですが。
ちなみに、大手3社の中ではタイムズカーシェアのみで提供されていたアーリーナイトパック(18:00~0:00)は廃止されています。これ結構人気サービスだと思っていましたが、あまり利益率が高くなかったということでしょうか?
タイムズカーシェア消費増税後の新料金体系のチェックはこちらの記事で
カレコの消費増税後の新料金体系
カレコは、これまでサービスや利用料金ともにタイムズカーシェアを意識した内容としてきており、今回の値上げについてもタイムズカーシェアと同等の内容となり、サービス全般としては有利性を保てるようにしています。
特に、アーリーナイトパックが廃止されたタイムズカーシェアと比較すると、タイムズカーシェアのナイトパックサービス(18:00~翌日9:00)に対し、6時間までなら距離料金が発生しないというカレコの夜間パック(18:00~翌日9:00)の優位性が目立ちます。
筆者の場合、近くにカレコのカーステーションがありませんので、これまで通りタイムズカーシェアのナイトパックサービスを利用していますが、同じような状況の方も少なくないのではないでしょうか。
オリックスカーシェアの消費増税後の新料金体系
タイムズカーシェア、カレコとは異なる料金体系のオリックスカーシェアですが、大手3社と横並びというところで同様に値上げしています。
オリックスカーシェアの標準サービスでは、すべてのサービスに距離料金が発生しますので、新料金体系後となってもタイムズカーシェア、カレコと比較すると若干ですが割高感を感じてしまいます。
大手3社、値上後の新料金体系比較表
値上幅は微妙に異なりますが、カレコ、オリックスカーシェアはタイムズカーシェアの動向を見ながら新料金体系を発表しています。
値上後の新しい料金体系(各社のベーシックプラン)での比較表を作ってみました。
タイムズカーシェア | カレコ | オリックスカーシェア | |
初期費用 | 1,650円(キャンペーン時無料) | 0円 | 1,050円(キャンペーン時無料) |
月会費(利用料金に充当可能) | 880円(キャンペーン時最大2か月無料) | 980円(入会初月は最大1か月無料) | 840円(キャンペーン時最大2か月無料) |
時間料金 | 220円/15分 (距離料金なし) | 140円/10分 (距離料金なし) | 210円/15分 |
6時間パック | 4,290円 (距離料金なし) | 4,080円 (距離料金なし) | 3,700円 |
12時間パック | 6,490円 | 5,700円 | 5,200円 |
24時間パック | 8,690円 | 7,300円 | 6,700円 |
36時間パック | 11,990円 | ― | ― |
48時間パック | 14,190円 | ― | ― |
72時間パック | 20,240円 | ― | ― |
夜間パック (18:00~翌9:00) | 2,640円 | 2,700円(6時間以内の利用は距離料金なし) | 2,600円 (20:00~翌9:00) |
距離料金 | 16円/1km(ショート、6時間パックは距離料金なし) | 16円/1km(6時間以内の利用は距離料金なし) | 16円/1km |
安心補償サービス(全免責/任意加入) | 330円/1予約 | 330円/24時間ごと | ― |
何日先まで予約可能か | 2週間(一定の条件を満たすと3週間) | 2か月(月額無料プランは2週間) | 2週間 |
ステーション数(※) | 11,745か所 | 2,102か所 | 1,790か所 |
車両数(※) | 24,491台 | 3,629台 | 3,017台 |
会員数(※) | 1,175,048人 | 118,623人 | 231,862人 |
都道府県 | 47都道府県 | 11都府県 | 35都道府県 |
※ 公益財団法人 交通エコロジー モビリティ財団 2019年6月時点)
値上げしていないのはあの会社
カーシェア業界もご多分に漏れず増税後に値上ラッシュかと思いきや、何とこのご時世に値上げを見送った業者がありました。
その一つは、dカーシェアでご存知ドコモのカーシェアリングサービスですが、自前のサービスではなく、オリックスカーシェアとカレコ、カリテコのカーシェアサービスのプラットフォームという位置づけですので、もともと割高の利用料金が設定されていました。
そしてもう1社が日産のe-シェアモビです。
トヨタ、ホンダとともにカーシェアリングサービスを展開する日産自動車のカーシェアですが、提供されるクルマがEVのリーフとノートe-powerに限定するという特徴があります。
カーステーションこそ、大手3社と比較すると大きく見劣りしますが、リーフとノートe-powerに特化するという戦略で、他社サービスと比較した場合にステーションが限定されていることや燃料費で大きなメリットがありそうで、今回の増税後の値上げも見送りされたものと思われます。
親会社の経営者問題で揺れる中、カーシェアリングサービスは頑張っているという感じです。筆者もカーステーションが近くにできたら是非利用したいと考えているカーシェア会社です。
まとめ
2019年10月1日から、10%への消費増税、軽減税率はあるもののこれを最後にしてほしいものですね。
消費増税後のカーシェアリングの新利用料金体系を見てきましたが、カーステーションの多くが時間貸し駐車場を利用しているという現状では、駐車場収入との比較からも一定の値上げは致し方ないというところでしょうか?
また、今回値上げしていない日産e-シェアモビには是非とも頑張ってもらいたいものですね。
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