日産ノートといえば、国産コンパクトカーのベストセラーモデルです。
カーシェア、レンタカーでもおなじみのモデルといっても過言ではございません。とりわけ、2012年に2代目が発売され、2016年のマイナーチェンジでe-POWERを搭載したことから、その販売の人気に火がつきました。2018年には乗用車販売台数トップのタイトルを初めて日産にもたらすなど、今や日産にとって最も重要なモデルのひとつと言ってもいいでしょう。
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そのノートが新型となって、いよいよ2020年末の12月23日に発売されました。最大の特徴はパワーユニットがe-POWERのみとなったことでしょう。今までは純エンジン車もラインナップされていたのですが、新型ではe-POWERだけが選べます。確かに最近のノートの販売状況はe-POWERが7割以上のシェアを占めていたとはいえ、純エンジン車をなくしてしまうとは、正直なところ驚きです。一体なぜ、日産はこのような決定を下したのでしょうか。
新型ノートはプレミアムコンパクトにシフト
日産側は新型ノートを「コンパクトカーの価格競争に巻き込みたくなかった」とコメントしています。
ノートクラスのコンパクトカーはどうしても安価であることが重視されます。純エンジン車という土俵にいると他車より価格を高く設定することができず、各部のコストも削らざるを得ません。いくらe-POWERは電動化による付加価値によって、車両本体の価格を上げられるといっても、同じ車種でガソリン車をラインナップしてしまっていては、コストダウンの影響をコンパクトカーの競合他社と比べて受けてしまう、というわけです。それを避けるためにe-POWERのみで勝負する決断をしたというのがコトの真意のようです。つまり新型ノートはよりプレミアムなクルマに生まれ変わったということになりますね。
キモとなるe-POWERの内容をみてみると、発電用のエンジンは1.2Lの3気筒で、これは先代から受け継いだものです。しかし中身は徹底したリファインが行われたようで、最大出力は79psから82psにアップ、音や振動も低められています。先代はエンジン始動時のショックやエンジンが回転中の音がかなり大きく、せっかくモーターで走っているのに興醒め、というユーザーの声もあったようですが、新型ではエンジンの主張がかなり控えめになりました。
新プラットフォームで基本性能が大きく向上
モーターは完全に一新され、最高パワーは109psから116psへ、最大トルクは254Nmから280Nmへとアップ。車両重量は10kg軽くなっているので、そのっ実用的な動力性能の向上はかなりのものです。またインバーターは40%小型化、30%も軽量化されて、効率もアップしています。この新型から採用された「CMF-B」プラットフォームにより、ボディ剛性や静粛性、乗り心地も大きく向上。まるでひとクラス上のクルマになったかのような高品質感が味わえます。
ドライブモードはECO、NORMAL、SPORTの3種類で、それぞれに回生充電を高めるBモードが用意されているので組み合わせは6通り。ECOとSPORTではe-POWER Driveとなってアクセルをオフにするだけで強い減速が得られる、いわゆるワンペダルドライブとなります。ただし新型ノートでは停止まではいかず、5km/hくらいになるとそこからは止まりません。これは車庫入れや渋滞の時にはAT車のようなクリープがあった方が運転しやすい、との理由によるといわれています。
ボディはよりコンパクトに。未来感溢れるデザインも魅力
デザインも大きく進化しました。今までの特徴を受け継ぎながらもキムタクのCMでお馴染み!?のEV、アリアを思い起こさせるデザインは未来感タップリで、高級感も増しています。
サイズは全長が先代より55mm短い4045mm、全幅と全高は先代と同じでそれぞれ1695mm、1505mmです。モデルチェンジごとに大型化するクルマが多い中、5ナンバーを死守したことは日本のユーザーの使いやすさを第一に考えた結果でしょう。大型のモニターを使用したメーターとナビをタブレット端末を立てるようにダッシュボードから独立したデザインのインテリアも、先進性を感じさせます。このナビゲーションと連動して制御を行うプロパイロットも設定されているので、高速道路などでは自動運転のような気分も味わえるでしょう。
気になる燃費ですが、最も数字の良いFグレードはWLTCモードが29.5km/L。従来のJC08モードだと38.2km/Lという数字です。価格は205万4800円から218万6800円。純エンジン車がなくなったぶん、ボトムグレードの価格は約60万円も高くなりましたが、e-POWERどうしで比べればさほど変わっていません。それで全体の高級感アップに加えて走りの質も大きく向上しているのですから、これは新型もベストセラーとなることは必至でしょう。
人気モデルの新型車だけに、価格で勝負系以外のレンタカーやカーシェアであれば、新型ノートは間違いなく導入されるでしょう。購入を考えている人は、是非とも借りてみて事前に試してみることをお勧めします。