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4月大きく落ち込みを見せた新車販売台数
予想されたこととは言え、2020年4月以降の自動車新車販売台数は世界的に大きく落ち込みました。
とりわけ、我が国の場合には、2019年10月の消費増税から落ち込んでいたところに、新型コロナ感染騒動で落ち込み幅が急拡大したというところです。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が2020年5月1日に発表した2020年4月の新車販売統計(速報)によると、総台数は前年同月比28.6%減の27万393台となりました。
自動車メーカー別で見ていくと、トヨタが20.7%減、レクサスが23.3%減、ホンダが14.2%減、マツダが26.2%減と比較的落ち込みは少ないものの、日産53.2%、スズキが47.0減、スバルが56.0%減、三菱65.2%減とこの4社の落ち込み具合は尋常ではない数字となっています。
もちろん、自動車だけの問題ではないでしょうが、教科書でしか見たことのなかった大恐慌という言葉が、現実のものと感じるようになった人は多いでしょう。
このまま没落するのかそれともV字回復?
新型コロナ感染がこのまま収束しなければ、経済的には大変な状況になると思われます。
ところが、いったん収束したといわれているお隣の韓国では、経済活動は徐々に再開されているものの、株式市場は低迷したままで、通貨危機という状況(資金が国外に流出している)にも見舞われています。
それでは日本の株式市場を見てみましょう。
日経平均株価(CDF)の日足のチャートですが、コロナショックによる暴落から半値戻しを達成したところです。
V字回復とまではいわないものの、戻りとしては悪くはないでしょう。
ただし、「不景気の株高」といわれることわざがあり、この規模の経済的なショックがあると、各国政府が緊急経済対策に大盤振る舞いをすることから一時的にミニバブルが発生することもあります。
あるいは。「期待で上がり現実で下落する」ということわざがあり、現在は緊急事態宣言や国によってはロックダウンで株価だけが上昇していますが、これらが解除されてくると現実を見て株価が再度売られる可能性も指摘されています。
となると、V字回復は難しく、没落していくことになりそうですが、ところが明るい状況がないわけでもありません。
こちらのチャートを見てください。
こちらは、ベンチャー企業などからなる東証マザーズ市場ですが、特徴的なのは、東証マザーズ指数はコロナショック以前の水準まで価格を戻しているところです。
この2つのチャートの違いは、上の日経平均株価の主役(主要プレーヤー)が海外機関投資家であるのに対して、下のマザーズ市場のほうは国内の個人投資家が中心であるということです。
つまり、日本の個人投資家は3月のコロナショックによる暴落を絶好の投資チャンスと見ていたことが見て取れます。
事実、国内のネット証券では2020年3月口座開設件数が史上最大数を記録しているのです。
ここでいえることは、クルマを買い控えた人は少なからずいるでしょうが、これ以上悪くなることもないと考えた日本人もまた多く存在するということになります。
下落するのは簡単だが、回復するのはそれほど簡単ではない事実
中国が現在どのような状況なのかは伝えられるニュースの限りですので実情は、定かではありませんが、表向きはコロナ感染が収束したといわれていますが、ユニクロの売り上げはコロナショック以前の60~70%までしか回復していないなどという話もありました。
個人消費についても、先行きに不安がある限りはすぐには元に戻らないでしょうし、いったん買い控えられたクルマの新車販売台数も簡単には元に戻らないことも予想されます。
東証マザーズ市場を見る限り、必ずしも大多数の個人がお金に困っている状態ではなさそうですが、かと言って、これから緊急事態宣言が解除されたとしても、いったん下落してしまった消費意欲が中国よりも低成長率の先進諸国においてV字回復するというわけにはいかなさそうです。
国内需要は回復したとしても海外需要がどこまで戻るのか
さらに、国内の自動車メーカーの場合、「100年に1度の大変革期」とは言いながら、あくまで主力は輸出に重点が置かれており、国内需要はすでに頭打ち状態ということもあり、輸出に頼らざるを得ないという事情があります。
また、この問題が最終的には最大のポイントとなるかもしれませんが、トヨタをはじめとしてVWなどのドイツ勢など、多くの国産メーカーは中国市場に重点を置き過ぎていた感があり、中国経済の復活が見られない場合には共倒れとなる危うさがあります。
これはトヨタや国内メーカーばかりの問題ではなく、世界の大手自動車メーカーの多くが中国市場に重点を置いており、これからは中国市場を制するものが世界の自動車産業を制すると考えられていましたので、致し方ない面もあります。
つまり、中国市場が順調に回復するのかどうかが、これからの自動車メーカーのよりどころとなっており、中国市場が回復することなく没落した場合には、多くの自動車メーカーは本当の窮地に立たされることになります。
すでにこの動きを予測していたかのような「CASE」
お馴染みの「CASE」とは、ダイムラーベンツの提唱する次世代型モビリティサービスを構成する造語で、Cはコネクテッド、Aは自動運転、Sはシェアリング、EはEV(電気自走車)となります。
世界中の自動車メーカーが「CASE」を合言葉のように、次世代型のモビリティサービスに向かって邁進しているようでしたが、実のところ、「CASE」の時代はもう少し先で、その前に中国市場を制することを目標にしていたのではないでしょうか?
日本、アメリカと並ぶ自動車大国のドイツに至っては、どっぷりと中国市場に浸っており、自動車メーカーどころかドイツ銀行(民間)までもが危機的な状況に瀕していると噂されています。
「CASE」の世界では、すでに自動車を製造して販売するというビジネスモデルは、販売するからサービスとして利用してもらうという形に変わっているかもしれません。
「CASE」がコロナショックを予測していたわけではないでしょうが、100年に1度の大変革期である以上、100年前に何が起こっていたかと考えると、戦争やら大恐慌やらと、コロナショックどころではない大事件が発生していました。
運がよければ、コロナショックからは一時的に回復することができるかもしれません。しかし、その後の世界がどうなるのかは分かりませんし、更なる大きな問題が控えているのかもしれません。
自動車メーカーは、本当の意味で100年に1度の大変革期を乗り越えるためには、中国市場第1主義を変更する必要がありそうです。
まとめ
コロナウィルスが単なる風邪の一種であるならば、夏到来とともに感染者は大きく減少していくのかもしれません。
仮にそうだとして、アフターコロナの時代とは元のような世界に戻ることになるのでしょうか?
あるいは、今回のコロナショックとは、世界が根本的に変わるという第1歩と考えるべきなのでしょうか?
この100年、間違いなくいえることは自動車産業が世界経済を支えてきたという事実です。その自動車産業がどう変わっていくのか、これを知ることは先んじて経済を知ることになるのかもしれません。
カーシェアやサブスクリプションサービスが今後伸びるのかどうか要注目です。
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