ハンズオフ機能とは
日本初となるハンズオフ機能とは、正確には、高速道路渋滞時ハンズオフ機能付き渋滞支援運転システムのことです。
ドライバーが高速道路を走行中に渋滞に巻き込まれた場合、一定の条件下であれば、ハンズオフ機能付き運転支援システム機能を起動すれば、クルマが自動的にステアリング操作を行うため、ドライバーはハンドルから手を放したまま運転することが可能となります。
また、ステアリングだけでなくアクセルやブレーキも自動的に操作されますので、先行車との車間距離を取ったまま、スムーズな追従走行を継続し、高速道路の渋滞時でのドライバーの負担を大幅に軽減できます。
ACCとの違い
すでに人気化しているACC(アダプティブクルーズコントロール)とどこが違うのよ、と気になるところですが、実際、ACC搭載車の場合には、LKA(車載搭載カメラで車線を認識して逸脱しないようにステアリング操作してくれるレーンキープアシスト)との組み合わせで提供されています。
ACCとLKAが搭載されていると、事実上の手放し運転が可能となるのですが、これは国交省の保安基準である「15秒ルール」で規制を受けます。
この15秒ルールとは、ACC+LKAをセットしての走行シーンでは、ドライバーが15秒間ステアリングから手を放しているとシステムが認識すれば、音声やグラフィックで警告し、それでも手を放している場合には運転支援システムを解除しなければならないというものです。
簡単に言うと、CC(クルーズコントロール)が進化してACC(アダティブクルーズコントロール)となり、ACCがさらに進化したのがハンズオフ機能付き運転支援システムとなるわけですが、ハンズオフが認められるようになったのは後述する「視線監視機能」がポイントとなります。
BMWのハンズオフ機能
BMWでは、この夏から一定の条件下での手放し運転が可能となるハンズオフ機能をリリースしており、高価格帯の新型8シリーズや新型X7シリーズの他、同社で量産車と位置付けられている新型3シリーズでも夏以降生産分には標準装備されます。
新型3シリーズについては、すでに生産されたクルマにも同内容の機能が搭載されており、アップデートすることでハンズオフ機能を利用できます。これは、国交省との交渉のタイミングによる問題のようです。
また、先行してACC+LKA機能を量産車に標準搭載していたメルセデスベンツやボルボに対して、この時点でBMWは1歩進んだことを意味します。
BMWのハンズオフ機能を実現したのは、毎秒2500億回もの演算能力を持つモービルアイの画像処理プロセッサー「EyeQ4」を内蔵した3眼カメラを採用し、長距離・中距離・短距離(広角)の3つの単眼カメラによって距離の認識率を飛躍的に高めたことが大きいといえるでしょう。
東名高速や中央道、名神高速などを中心に、日本国内で数万kmに及ぶテスト走行を行った結果、東京~大阪間についてはほぼ正確にレーンキープできたといいます。
日産のハンズオフ機能
日産自動車もこの9月にハンズオフ機能搭載の自動運転「プロパイロット2.0」をスカイラインのマイナーチェンジに合わせてリリースしています。
日産自動車のハンズオフ機能は、渋滞時に限定せず高速素行全体で使用可能です(一部複雑な道路は除く)。
また、ディスプレーを用いて車線変更や追越しの提案も行い、ドライバーがハンドルについたボタンを操作し承認すれば、手を添えるだけで車線変更や追越しが可能となります。
日産自動車のハンズオフ機能もBMW同様に、従来の単一距離を測るカメラと広範囲を感知するミリ波レーダーの併用から、距離や写る範囲が違う(長距離・中距離・短距離)3台のカメラにミリ波レーダーを組み合わせた方法を採用しています。
これに加えて、日産自動車では高精度3Dマップデータも使用します。周辺環境だけではなく、これから走る道路も把握することで車線変更や追越し、非状態時での走行を実現させました。
日産自動車は、このハンズオフ機能を高価格帯のハイブリッドモデルにのみ搭載したのに対して、BMWではメルセデスベンツ、ボルボへの対抗上、全グレードでの標準搭載のため、価格を抑える必要上から3Dマップデータ導入は見送られています。
ポイントとなる視線監視機能
今回、BMWと日産自動車が、ACCから一歩進んでハンズオフ機能をリリースさせたことに関して、重要なポイントとなるのが視線監視機能です。
ハンズオフ機能が搭載されると、技術的にはすでに自動運転レベル4のステージと同様となるように、ハンズオフ機能時にはハンドル操作しなくてもクルマが自動で走行してしまうため、注意が低下してしまうことが懸念されます。
2016年、国交省は現状の自動運転機能は、あくまで運転支援機能だと警告を発しています。運転支援の側面から見れば、視線監視などの安全面での強化は非常に重要なポイントとなるのです。
この視線監視機能について、BMWではハンズオフ時のみ視線を戻すように警告を表示するのに対して、日産自動車では走行中常時監視となり警告が表示されます。
また、BMWでは渋滞時の前車追随も自動で行いますが、日産自動車では30秒停止した場合には、ドライバーが発信を支持しなければ進まない仕組みとなっています。
速度制限は
ACC同様に速度制限はあるのでしょうか?
BMWの場合にはアウトバーンを前提とした作りになっている機能上、時速210kmまで出すことが可能となっています。これに対して、日産自動車の「プロパイロット2.0」はあくまで国内仕様というところで、道路標識を認識し、法定速度±10km以内に制限されます。
もっとも、BMWのハンズオフ機能は高速道路渋滞時のみでの利用となり、この場合には時速60km以下に限定されます。
カーシェアリングサービスとハンズオフ機能
まだ、国内ではリリースされたばかりですから、現状、タイムズカーシェアなどの事業者が提供するカーシェアではハンズオフ機能搭載車は存在しないと思われます。
短時間利用に最大のメリットがあるカーシェアですから、高速道路専用という段階では、それほど大きなニーズもないかもしれません。ただし、レンタカーのカーシェア化や自動車メーカーによるカーシェアリングサービスが急速に進んでいますので、そう遠くない時期に提供されるようになるでしょう。
まとめ
このハンズオフ機能は、2020年東京オリンピック・パラリンピックで披露される予定の自動運転レベル4の世界を実現させるものですが、あくまで運転支援システムという認識とされており、自動運転レベル2の範囲内となります。
つまり、一定の条件下のみ使用可能ということで、今回のハンズオフ機能は高速道路で使用できるものであり、レベル2認定となります。
ただし、テクノロージーとしてはすでにレベル4クラスのものであることは間違いでしょう。カーシェアでもこれらの機能搭載車が提供されたら、早速利用したいものですね。
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