明らかになったdカーシェア無断売買事件の一部始終
非常に残念ですが、大きな成長が見込まれる個人間カーシェアリングサービスの盲点をついて、オーナーから借りたクルマを無断で売却するという犯罪が続いています。
2019年9月に発生した、dカーシェアの個人間カーシェアサービスで発生した無断売却事件の全貌が明らかにされています。今後、個人間カーシェアを利用する際に注意すべきポイントがいくつも示唆されており参考になります。
dカーシェアとは、モバイルキャリア最大手のドコモの提供するカーシェアリングサービスで、日本を代表するような大企業が提供するサービスということで安心して利用したところ、とんでもない事件に巻き込まれてしまったという驚きの事件です。
dカーシェアの無断売買事件の全貌とは
今回の事件で被害に遭ったのは、BMWZ4のオーナーで、維持費やローン返済の少しでも足しになればと個人間カーシェアを利用を考え、大企業であるドコモの提供するdカーシェアなら安心だろうということで、オーナーとして会員登録したそうです。
BMWは個人間カーシェアでは人気自動車メーカーの一つで、利用者が多いことでも知られています。オーナーの中には、個人間カーシェアの利用による収益を当てにして、高級車を購入している人もいるかもしれません。
今回、BMWZ4のオーナーのところにdカーシェア会員ユーザーから、クルマを借りたいとの依頼があり、1日15,000円で貸すことにしました。
貸出の当日には、約束の場所でお互いの運転免許証を確認し合い、問題なしということでクルマの受け渡しを行いました。ここまでは、通常通りのやり取りですが、ここからが問題が発生します。
返却日に、約束の時間に返却場所で待っていても、一向に返却にやってこないのです。通常であれば、約束通りに返却してもらって取引終了というところですが、借したユーザーからメールでの連絡があったのはその3日後でした。
先方の話では、交通事故に遭いICC(集中治療室)に入っており連絡できなかった、返却を数日伸ばしてもらえないかという話でした。この話は後日判明することになりますが、理由があります。ネット上で売却しており、お金が手に入るまで時間稼ぎがしたかったのです。
すでに、この段階で99%怪しいということになりますが、その後に貸したユーザーから連絡が入ることはなく、さらに驚くべき事実が発覚しました。
何と、貸し出したBMWZ4がネットで売りに出されており、すでにソールドアウトとなっていたのです。売却価格は300万円ほどだったそうです。
犯人(dカーシェアユーザー)は、同様の手口などで他のクルマも無断売却していましたが、売却先の中古車業者が不審に思い、犯人の提示した運転免許証を爪で擦ったところ、偽造運転免許証であることが分かり警察に通報し逮捕に至ります。
BMWZ4のオーナーの下にも警察から連絡があり、最終的には無事にオーナーの下にクルマは返却されました。
盲点となった運転免許証の確認作業
オーナーとしては、まさかドコモの提供する個人間カーシェアでこのような無断売却されるとは夢にも思わなかったでしょうが、dカーシェアの会員になるには、運転免許証があればわずか5~6分で会員登録が可能となるのです。
つまり、運転免許証があれば誰でも会員になれるのです。dカーシェアのユーザーだからということで、それだけで完全に安心できるわけではありません。
今回盲点となったのは、クルマの引き渡しの際に行なうお互いの運転免許証の確認作業でしょう。犯人は偽造運転免許証を使っていますが、ここで簡単に偽造免許証を見破れる人というのはごく少数で、ほとんどの方は騙されてしまうでしょう。
もちろん、ほとんどのdカーシェアの会員は一般の方なのですが、はなから悪意を持って(犯罪目的で)会員になったユーザーによる犯行を、一般人であるオーナーが見破るというのは非常に難しいでしょう。
犯人は、おそらくdカーシェアのオーナーとなってそれほど期間が経っていないような人を狙っていたのではないでしょうか?
偽造免許証はどこで手に入れたのか
犯人が使った偽造運転免許証はどこで手に入れたのでしょうか?映画の世界に出てくるような偽造屋でもいるのでしょうか。仮にいたとしても、犯罪に利用されるとわかっていたら取引しない(もしくは高額な手数料が要求される)でしょうが。
実は、偽造運転免許証は簡単に手に入れることができるのです。インターネット上には、偽造運転免許証を提供する海外サイトが野放し状態となっています。海外にサーバーを置いていますので、なかなか取締りできないというのが実情のようです。
犯人は、このようなサイトを利用して偽造運転免許証を作成し、犯行に使ったと思われます。
今回の事件にしても、個人ではちょっと見で区別がつかなかったようですが、中古車業者では不審に思われて偽造免許証であると疑われていますので、本物そっくりとは言え、それほど精巧に作られているわけではないのでしょう。
とは言え、偽造運転免許証を見たことあるという人もほとんどいないと思われますが、そういうものが存在するという事実は知っておいたほうがよいでしょうし、個人間カーシェアのオーナーとなるのであれば、これは常識として知っておきたいところです。
万が一無断で売却された時には
個人間カーシェアのオーナーとしてクルマを提供していて、万が一、今回の事件のように無断で売却された場合にはどう対処すればよいのでしょうか?
ほとんどの方は、まず運営元であるdカーシェアに連絡して何とかしてもらおうと考えるでしょうが、基本的に個人間カーシェアの運営元では協力はしてくれますが、具体的な対応や無断売却された場合の補償などは対応してくれません。
運営元としては、「あくまでユーザー間の取引の場をプラットフォーム上に提供しているだけで、問題場発生した場合にはユーザー間で解決してほしい」というスタンスです。
従って、約束の時間に正当な理由なく返却してくれない場合には、犯罪に巻き込まれた可能性があり直ちに警察に相談するようにしましょう。
基本的には、クルマを売却する際には印鑑証明が必要となりますので、他の無断売却事件の際にはだまして印鑑証明を手に入れるという手口も見られましたので、間違っても印鑑証明を渡してはいけません。
一般の買取業者などでは印鑑証明なしでは売却ができませんので、印鑑証明をも偽造するか、あるいは闇のルートで海外に売却するということになります。こうなると警察以外にに頼るところはないということになります。
まとめ
個人間カーシェアを利用して、自動車ローンの返済やガソリン代などの維持費の少しでも足しになれば、と考える人は多いでしょうが、そこを狙った犯罪が複数件発生しています。
特に狙われるのは高級輸入車などの高額で売却できる車です。額が大きいというだけでなく、非正規なルートで売却するケースになり、安いクルマでは犯罪者の取り分がほとんどなくなってしまうのです。
これは何もクルマに限った話ではありませんが、高額商品を貸す場合には十分な注意が必要であるということです。
個人間カーシェアはC2C取引ですから、このような犯罪者に狙われる可能性もありますが、タイムズカーシェアやカレコ、オリックスカーシェアなどのB2C取引なら安心してカーシェアリングサービスを楽しむことができます。
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