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自動車産業の変革期は世界の変革期でもあった
2018年12月、記憶に新しい「トヨタ自動車は自動車メーカーからモビリティカンパニーへと変化します」という豊田社長の宣言は、実はこのことだったのか~!
「CASE」や「MaaS」など、次世代の自動車メーカーが進むべき方向性が示されていますが、一般人から見ると、クルマが売れない時代だから新しい収益源を模索しているのでしょう?
という感じで眺めていた人がほとんどでしょうが、いえいえ、さすがは世界最大の新車販売台数を誇るトヨタ自動車の豊田社長です。
新型コロナウイルス騒動後の世界を見越していたのかもしれませんね??
原油価格が大幅下落
もうひとつ面白い事実があります。
次世代のモビリティ産業では、EVがデフォルトとなりますが、WTI先物原油価格は2020年初頭までは上昇相場の展開でした。
原油の枯渇問題、シェールガス革命、地球温暖化問題、自動車のEV化にもかかわらず原油先物は大きく上昇していました。
ところが、今回の新型コロナウイルス騒動では株式市場などと比べると早い時点から下落しており、まるで今回のコロナショックを予想していたかのような動きを見せていました。
そもそも価格が上昇する理由のない原油先物相場ですから、ここに参加しているプレーヤーはほぼプロフェッショナルな投資家であり、早い段階でリスクを感知していたのかもしれません。
WTI先物原油価格はすでに約70%暴落しており、株式市場と比べると非常に大きな下落率となっています。
この事実も自動車産業が大きく変化するということを暗示しているようにも思えます。
自動車産業が引き起こすパラダイムシフト
昨年、筆者は伊勢参拝にレンタカーを利用しましたが、東名から伊勢湾岸道経由で休憩込みの6~7時間というところでした。
ちなみに、江戸時代の伊勢詣ででは、もちろん徒歩ですから約15日(片道)かかったといわれています。
コストや時間を考えるとえらい違いですが、これを可能としたのが自動車というわけで、自動車の登場は世界にかつてないほどのパラダイムシフトをもたらしました。
そして、自動車がこの世界に普及し始めてから100年後の今日、私たちは再び大きなパラダイムシフトを経験しようとしています。
自動車からモビリティの時代へ
国内自動車メーカーは、トヨタ自動車グループ、日産・三菱グループ、ホンダの3つのグループにまとまりました。
なにやら自動車三国志という感じもしますが、この流れは日本だけのものではなく世界の潮流であり、次世代のモビリティサービスに対応するための連合です。
モビリティサービスのキーワード「CASE」では、コネクテッド化、自動運転化、シェア・サービス、EVが重要なポイントとなり、この流れに対応するための提携です。
1900年初頭の米国フォードのモデルT以降に量産されるようになった現在の自動車は、「CASE」のキーワードに示された新しいサービスとして生まれ変わろうとしています。
GAFAも参入するモビリティサービス
GAFAってご存知でしょうか?
最近よく聞く造語ですが、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を繋げたもので、いずれもITを利用した各種サービスの共通基盤となるインフラを提供する巨大企業のことで、「ITプラットフォーマ」とも呼ばれます。
この4社にMicrosoftを加えて、GAFAMと呼ぶこともあります。
このFacebookを除く4社は、時価総額100兆円越え企業としても有名です。1社で100兆円ですよ!
Appleが初めて100兆円(正確には1兆ドル企業)越えした時に、この状況はすでに末期に突入しており、遅かれ早かれ株式市場は暴落するのではという人も少なくありませんでした。
その後、Appleどころか、Amazon、Google、Microsoftと1兆ドル企業は4社になりますが、案の定、きっかけはコロナショックとしても、株式市場は現在パニック状態となっています。
そして、これらのGAFAMは、本業は上記のIT企業ですが、彼らのテクノロジーを活かせるモビリティサービスにも参入してきています。
次世代のモビリティサービスとは、何も自動車メーカーだけのものではなく、強力なライバルとしてGAFAMをはじめとする巨大IT企業も参入してきているのです。
よくよく考えてみれば、トヨタのモビリティカンパニー宣言は、ライバルはこれまでのようなドイツ車やアメ車ではなく、GAFAMであるということを意識したものであったのかもしれません。
世界を巻き込む基幹産業の大変革
現代の資本主義社会は、自動車産業を基幹産業として大きく成長してきました。
しかしながら、資本主義社会の指標でもある株式市場では、GAFAMのように1兆ドルを超える時価総額の自動車メーカーは存在していません。
日本のトヨタ自動車でも時価総額は20兆円を少し超えたくらいです。
いずれにせよ、新旧の巨大企業が、資本主義の主要基幹産業である自動車産業を大変革させようとしています。
この流れに、世の中が引き込まれないはずはありませんし、私たちの生活も大きく変わることになるのでしょう。
ひょっとすると、脱満員電車、在宅ワーク、テレワークなどはその初めの1歩なのかもしれませんね。
自動車製造からモビリティサービスへ
自動車メーカーが、それほど悪くはない新車販売をやめてモビリティサービスへ移行するといっても、にわかに信じられないという人は少なくありません。
しかし、自動車メーカーがこれから生き残っていくためには、自動車製造・販売から、「CASE」が指摘するようなモビリティカンパニーに変わる必要があるということなのでしょう。
そう考えてみると、カーシェアリングサービスが急成長した理由もわかりますし、今後は、ライドシェアやサブスクリプションサービスも大きな成長が見込めそうということも納得がいきます。
いよいよクルマは所有する時代から、利用して楽しむという時代に大きくパラダイムシフトしていくことになりそうです。
パンデミックと大恐慌
経済の歴史を紐解いていくと、ガルブレイスは新しい時代の前には必ず大恐慌が発生するといっています。(バブルの物語)
そしてもう一つ、大恐慌のツケを払わされるのは戦争というのも、それほど大きくは間違っていないように思われます。
そして、2020年、戦争は避けられそうですが、その代わりに発生したのが新型コロナウイルス騒動と考えると、大きな時代の変革期に発生したパンデミックと捉えることもできそうです。
おそらく、そう簡単には収束しないのかもしれませんね?
まとめ
平和な時代しかしらない私たちにとって、今回の新型コロナウィルス感染はまさに悪夢としか言いようがなく、多くの人がどうしたらよいのか分からずに戸惑っています。
今わかっていることは、少なくともワクチンができるまでは収束しない可能性が高いということで、それまで経済が持ちこたえられるのか心配です。
最低でもある程度の不景気は免れそうにありません。
しかし、これは必ずしも新型コロナウィルス感染だけの問題ではなく、100年に1度の基幹産業の変革期という時代のタイミングでもあったのかもしれません。
ここ数年でカーシェアなどの新しいモビリティサービスがさらに大きく成長するのではないでしょうか。
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