自衛隊の名称を明記すべきなどうか、という憲法議論も最近は聞かなくなりましたが、災害時に大活躍する自衛隊人気は一部のマニアだけではなく、国民を守ってくれるのは結局は自衛隊、という認識を多くの人が抱いているようです。
さて、難しい憲法解釈は置いといて、都心部でもクルマで走っていると自衛隊車を見かけることも少なくありません。
街中でよく見かけることの多い自衛隊のクルマは73式小型トラックと呼ばれるもので、自衛隊では通称「パジェロ」と呼ばれていますが、その名の通り三菱パジェロをベースとしたオフロード車です。
人気の自衛隊のクルマだからというわけではないでしょうが、この73式小型トラックに乗りたいという人も多いようです。
73式小型トラックとは
73式小型トラック(ななさんしきこがたトラック)とは、1973年に採用された自衛隊の小型汎用車両(トラック)であり、三菱自動車工業が製造しますが、先代が三菱ジープです。
三菱ジープとは、1970年代当時にジープのライセンス生産を行っていた三菱自動車が、それまで防衛庁(当時)の要求に応えて作っていたクルマの後継者として作られました。
三菱ジープの旧式化が目立つようになり、また排ガス規制などにも適用できなくなったことから、1996年からは2代目として三菱パジェロがベースとなり、ショートホイールベースモデルの後端を若干伸ばし、積載量対応のためにリーフリジット化された車両が採用され、これが新73式小型トラックとなりました。
自衛隊のクルマということですが、最大積載量が440㎏までとなりますが、固有の搭載火器はなく左右ドア内側に64式7.62㎜小銃もしくは89式5.56小銃を固定できる小銃取付具が取り付けられています。
また、5.56㎜機関銃MINIMI、12.7重機関銃M2などの各種機関銃、対戦車ミサイルなどを搭載することが可能で、誘導弾や通信機器の搭載占領車両は2~3名で運用されます。
さらに、駆動系には三菱パジェロと同じ「スーパーセレクト4WD」が採用されており、フルタイム4WDを備えていることから悪路での走行性は折り紙付きです。
73式小型トラックはイラクにも派遣されていますが、この時には防弾処理が施されたクルマが使用されています。
一般の人は73式小型トラックに購入することができるのか
大人気となっているSUVブームの最中、街中でも走っている姿を見かける自衛隊マニアならずとも興味を引かれる73式小型トラックですが、自衛隊以外の一般の人でも購入することは可能なのでしょうか?
ナショナルセキュリティという観点からは難しそうですが、開かれた自衛隊というイメージに期待して調べてみました。
当然のことながら新車として購入することはできません。
では、お役御免となり払い下げとなった車両の場合はどうでしょう。というのも、救急車や消防車の場合には入札によって民間に払い下げられることもあるからです。
しかし、残念ながら自衛隊の車両については、自衛隊内の通達で「防衛専用品」扱いとなり、不要決定となった場合には解体対象物品として「そのまま使用できないか、または復元できないように破壊、切断等の処置を行う。この際、保全上必要な部位または悪用されるおそれのある部位は完全に破壊する」と規定されています。
この通達により、自衛隊でお役御免となった車両が売り払われる場合、いわゆるスクラップとして民間契約業者に引き渡されることになります。
つまり、自衛隊のクルマを自衛隊時代そのままの姿で購入することはできないということになります。
ところが、特にインターネット上には、73式小型トラックに似ているクルマや、73式小型トラックと銘打った本来入手できないはずの自衛隊車が中古市場に出回っていることも稀にあります。
入手経路や内容は不明ですが、需要があるから供給されているということでしょうか。
カーシェアやレンタカーでパジェロに乗れるのか
一時期は大人気だったパジェロですが、押し寄せる新たな時代の波には逆らえず2019年9月に生産終了となりました。
すでに三菱自動車のホームページからもその姿が消えていますが、カーシェアやレンタカーでパジェロを借りることはできないものか調べてみました。
73式小型トラックに乗ることはほぼ不可能な状況ですが、パジェロならまだ何とかなりそうなのですが、どうでしょう。
カーシェア
タイムズカーシェア、カレコ、オリックスカーシェアなどのカーシェア事業者ではパジェロを見つけることはできませんでしたが、個人間カーシェアのAnycaでは提供されていました。
Anycaで提供されているパジェロは3台となり、東京、愛知、兵庫県で提供されていました。また、パジェロミニなら全国で7台提供されていました。
一時代を制した感のあるパジェロですが、すでに国内では消えつつある状況となっており、その役割はアウトランダーやデリカに引き継がれているようです。
レンタカー
それではレンタカーではどうでしょう?
カーシェア・レンタカー比較のDRIVE go SEARCHで検索したところ、オリックスレンタカーで大量に提供されているのが分かりました。
愛知県で90台、静岡県で89台、兵庫県73台、千葉県56台、東京都56台と、探すのに苦労することはなさそうです。
それにしても、最近、筆者はパジェロを良く見かけていた記憶があるのですが、よくよく考えてみると日本ではなく観光で行った中東でした。
中東の砂漠などでは、ランドクルーザーやパジェロを良く見かけることになります。中古で流れてきているのでしょうが、日本ではもはやお役御免となりつつありますが、海外ではまだまだ活躍しているようです。
そもそも日本では大人気とはなりましたが、本来のの能力を発揮できるような状況や場所は少なかったと思われます。それが海外となると、水を得た魚のように本来の能力をいかんなく発揮しているようです。
まとめ
街中を走っている姿をたまに見かける自衛隊の73式小型トラックについて調べてみました。
SUVブームが続く昨今、自衛隊のモスグリーンのオフロード車である73式小型トラックを運転してみたいという人も多いでしょう。
残念ながら、ナショナルセキュリティ上の問題もあり、一般人が運転したりする機会はほとんどなさそうですし、払い下げられた中古品を購入することもほぼできません。
その代わりといっては何ですが、現行73式小型トラックのベースとなっているパジェロが提供されているカーシェア・レンタカーを調べてみました。
パジェロは、昨年9月には生産が終了していますので、パジェロを体感するのなら今のうちかもしれませんね。
そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!