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ポンピングブレーキとは
運転免許教習所に通ったことのある人なら、ポンピングブレーキのことを習っているはずなのですが、ポンピングブレーキと聞いて、本来の意味を知る人は少ないと思われます。ピンと来たという人の場合でも、ブレーキを何回かに分けて踏むことで安全に止まること、あるいは、後続車に止まることを早めに知らせるためのブレーキの踏み方と考えた人も少なからずいるでしょう。
ポンピングブレーキとは、ブレーキを掛ける際にタイヤがロックすることを防ぐ目的で行ない、またはタイヤのロックを解いて制動距離を縮め、運転回避行動をとりやすくするために行なうものです。なお後続車に知らせる目的で数回に分けて踏む行為は、予備制動とよばれます。
実際に、ポンピングブレーキを利用するのは、雨や雪道などの滑りやすい道路で、ブレーキを吹き込んだ際にタイヤがロックを起こしやすくするような状況でです。ここまでお話しすると、無意識にポンピングブレーキを利用していたと気づく方もいらっしゃるでしょう。
つまり、タイヤがロックを起こさないようにするために、ブレーキペダルを一度に踏み込まずに、数回に分けて踏み込むようにすることで、急な制動でタイヤがロックすることをある程度までは回避することができるのです。
実際には難しいポンピングブレーキ
なるほど、ポンピングブレーキの有効性は理解できるのですが、現実的には、ブレーキを一気に踏み込む状況とはそれなりに危険を感じた場合でしょうから、そんな状況でポンピングブレーキを使う余裕があるのかという気もします。
こんなことを話していると、古の教習所で習っていた内容がうっすらと思い出されてくるのですが、それでもポンピングブレーキとは大切ですから頭の中に入れておかなければならないのです。
おそらくは、一度滑りやすいよ道路で「危ない!」と感じたことがある人ならば、必然的にポンピングブレーキを思い出して利用しているはずなのです。雪道になれていない人の場合には、滑りやすい道路での運転は恐怖を伴うこともありますので、ポンピングブレーキを覚えていなくとも多用しているはずですね。
つまり、ポンピングブレーキという名称は忘れていても、滑りやすい道路では無意識に利用している人も多いと思われます。
今どきの教習所では指示されないことも多いポンピングブレーキ
このように、雪道や雨で滑りやすくなっている道路では、ポンピングブレーキを使うことで危ない場面を回避することができ、非常に有効なブレーキングであることが分かります。
ところが、今どきの教習所ではポンピングブレーキを教えはするものの、運転教習中には指示されないことも多いようで、その理由としては、最近の自動車教習所のクルマにはABS(アンチロックブレーキシステム)がついているからだそうです。
ABS(アンチロックブレーキシステム)とは、制動距離を短くしハンドルによる緊急回避行動がとれるように、タイヤがロックを起こすことを検知してブレーキ液圧をコントロールするシステムです。言ってみれば、難しいポンピングブレーキに代わって、同じ動作を機械的に行ってくれるシステムで、今では多くのクルマに搭載されています。
このように、ABSがクルマに搭載されるようになってからは、ポンピングブレーキは必ずしも必要な技術ではなくなりました。それゆえに、自動車教習所でも敢えて指示しないところが増えていると思われます。
ABSが搭載されていれば、ポンピングブレーキは必要ないのか
それでは、アンチロックブレーキがついていればポンピングブレーキは必要ないのでしょうか?これもまた微妙ではありますが、ABSがあれば危険を回避するという意味ではポンピングブレーキは必要なくなります。技術的にはこれでOKなのですが、実際にはABSが機能するにはブレーキを一気に踏み込むことが必要となります。
危険を察知した場合ならブレーキを一気に踏み込むこともできますが、通常の運転時にはそこまでやるドライバーはほとんどいないでしょうから、ABSだけに頼っていると通常運転時にもブレーキを踏み込む回数が増えることになり、運転車や同乗者にとっては結構な負担が発生することになります。
つまり、ABSは危険を回避する際には非常に有効なシステムとなりますが、そうではない通常の運転時に快適なドライビングをするために有効なシステムではないわけです。
ABSが搭載されていれば、滑りやすい道路などでは非常に有効であり、ポンピングブレーキを利用することはなくなりますが、通常の運転時により丁寧で快適なドライビングを行うのであればポンピングブレーキを利用するという考えもあります。
ただし、何度もブレーキを踏むこと自体にはかえって逆効果となる場合もありますので、通常の運転時においては適度な利用ということになります。
HV(ハイブリッド)車の場合のポンピングブレーキ
同様のことは、最近大人気のハイブリッド車についても言えます。ハイブリッド車の場合には、ブレーキの踏み方で回生できる電気量が変わってきますし、一般的にはエンジンブレーキを利用するほうが燃費向上には役立つことになります。
ただし、みんなが燃費ばかり気にしていると渋滞の原因となってしまうこともあるでしょうし、思わぬ追突事故を引き起こすことにもなりかねません。
ハイブリッド車だからといって、ポンピングブレーキは利用しないほうがよいというわけではなく、あくまでケースバイケースで、利用したほうがよい時には利用するということになります。
新しいテクノロジーとポンピングブレーキ
ABSやHVなど今後新しいテクノロジーはどんどん出てくるでしょうが、例えば、ABSやHVが登場したからといって、ポンピングブレーキが必要なくなるというわけではないようです。来るべき完全自動運転の時代には、ドライバーがブレーキを踏むこと自体がなくなるでしょうから、将来的には完全にポンピングブレーキは必要なくなることになります。
ただし、現段階では、快適で安全なドライビングを行う上では、ケースバイケースでポンピングブレーキを利用するというのもありうということになりそうです。
公安委員会がまとめた「交通の方法に関する教本」の「ブレーキのかけ方」といいう項目では、「最初はできるだけ軽く踏み込みましょう。それから必要な強さまで徐々に踏み込んでいきます。」「ブレーキは数回に分けて使いましょう。この方法は、道路が滑りやすい状態の得にはとりわけ効果的です。また数回に分けて使えばブレーキ灯が点滅し、後車への合図となって突事故防止に役立ちます。」などとされています。
まとめ
滑りやすい道路では、ポンピングブレーキの重要性を身にしみて感じることが多くありますが、ABSやHVなど新しいテクノロジーの登場で徐々にその利用方法は変わりつつあります。ブレーキペダルを踏むことがなくなるであろう完全自動運転時代には、完全になくなるわけですから、現在はその移行期というところかもしれません。
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