相乗りとは
バブル期のタクシー不足の時代を知っている人なら、「相乗り」と聞けばピンと来る人も多いと思いますが、長らく続いた不況時代にはタクシーが過剰気味であることのほうが多く、「相乗り」といっても言葉の意味は分かってもピンとくる人は少ないでしょう。
一般的に相乗りというと、タクシーを利用する際に行き先が近い客同士がタクシーをシェアすることを思い浮かべると思いますが、最近流行りのライドシェアという場合には、タクシーだけではなく、一般の個人ドライバーとドライブをシェアすることも相乗りといいます。
一般個人の相乗りとは、車で移動するけど座席が余っているドライバーと、車はないけれども移動する必要のあるライダーが同じ車に乗って移動することで、全く知らない人同士がネットで情報共有して相乗りすることになります。
カーシェアサービスの急成長にみられるように、次世代型の多様化したカーライフが提供されるようになっており、今後はデフォルトとなると思われる自動運転の時代を前にして、ライドシェアサービスも多く提供されるようになってきています。
ライドシェアのメリット
ライドシェアのメリットとしては、1台の車を他のライダーとシェアして乗りますので、コストが安く済み、例えば2人でシェアすればタクシーをシェアする場合には半分の料金で済みますし、3人なら3分の1で済むことになります。
タクシー業界では、いまのところライドシェアを売り上げ減要因として考え否定的ですが、京都府のタクシー会社が実施した実験では、ライドシェアサービスを実施たところ売り上げが約30%上昇したという報告もあります。
また、車が1台で済むことから、エコであることはもちろんのこと、排気ガス削減にも大きく貢献することになります。
最近増えている、相乗りアプリなどを利用することで、比較的簡単に相乗りサービスを見つけることができ、支払いもアプリに登録したクレジットカードで済ますことができるなど、非常に簡単で便利にサービスを利用できます。
ライドシェアのデメリット
ライドシェアのデメリットとしては、現時点では日本国内では法的(道路交通法)に認められておらず、個人の所有する車の場合には白タクと同じ扱いになり、タクシーの場合には1台に1組の乗車(1台で1契約)が義務付けられており、複数グループの同時乗車は詰め込み乗車となり違反行為となってしまいます。
簡単に説明すると、タクシーにせよ何にせよ業務用の車両は緑ナンバーである必要があり、緑ナンバーにはそれなりの条件を満たす必要があり、タクシーの場合ですと運転手に二種免許が必要ですし、また安全確保のための厳しい点検作業も必要となります。
2014年に米国で大人気の相乗りサービスUberが日本参入したにもかかわらず、それ以降鳴かず飛ばずの状態であるのもこの規制があるからで、規制が良い悪いという問題は別として、現行法では違反行為とみなされてしまいます。
つまり、現在すでにいくつか登場している相乗りアプリサービスは、この問題を前提としてサービスを開始していることになり、規模の小さな相乗りアプリサービスは放置されていますが、規模の大きなUberはしっかりと規制されているという状況です。
同様のケースとして、首都圏を中心としたリムジンパーティーがありますが、このサービスも実質的に業務用車両であるにもかかわらず業務用車両としての条件を満たしておらず道路交通法上は違反行為となり、大阪の業者が摘発を受けています。
2020年の東京オリンピックにおける交通手段として、あるいは、高齢化などによるタクシードライバーの慢性的な不足状態から、現在この規制は緩和される方向にありますが、タクシー業界をはじめとする激しい反対があることもまた事実です。
利用者として注意したいのは、このような違反行為すれすれのサービスの場合に問題となるトラブル時の対応のことで、車内でのトラブルや事故が発生した場合にサービス提供業者に責任能力があるかどうかというところには注意しておきたいところです。
ちなみに、バブル時代には良く行われていた、タクシー乗り場で利用者同士が行き先が近いなどの理由で相談のうえで相乗りする行為は違反行為とはなりません。
相乗りサービス比較
法的な整備を待つことなくというか、待ちきれずに見切り発車している感のある相乗りサービスですが、その代表的なサービスについて、個人乗用車を利用した相乗りサービス、タクシー相乗りサービスを簡単に解説します。
Uber
米国で大人気の相乗りサービスで、世界中でサービスを展開しており、日本にも2014年に進出してサービス開始をもくろんでいますが、厚い規制の壁にぶつかり本格的なサービス開始にには至っていません。
なお同社には、ソフトバンクが100億ドルの出資をすることが決まっており、今後は日本での規制緩和及びサービス開始を目指しています。
相乗りアプリCREW
渋谷と六本木で毎日夜に利用できる相乗りアプリで(目的地は東京都内ならOK)、短距離・中距離移動が中心のサービスです。
ライダーが自由に行き先を指定できる、ドライバーサポートが充実しているなどのメリットがありますが、今のところエリア限定サービスとなります。
なお、同社ではこのサービスは白タクではありませんとしていますが、これは法律解釈上からそう言っているのにすぎず、厳密に判断するのは裁判所となります。
料金はクレジットカード決済で、タクシー利用と比較すると場所にもよりますがおよそ半額前後というところです。
相乗り・ライドシェアGO RIDE
東京・金沢・仙台・札幌でサービスを展開する長距離専門の相乗りアプリで、web上で簡単に相乗り案件を見つけることができ、話が決まるとドライバーから日時と待ち合わせ場所(出発地)が指定されます。
長距離専門ですので、料金はタクシーではなく長距離バスと比較されることがほとんどですが、案件数が少ないというのが現状の問題点です。
ライドシェアサービスnotteco
相乗り・ライドシェアGO RIDEと同じく長距離専門の相乗りアプリですが、こちらは全国対応のアプリで案件数が多いというメリットがあります。
こちらもタクシーというよりも長距離バスとの料金比較となりますが、東京~千葉で500円、東京~大阪で4,000円が相場というところです。
タクシー相乗り支援サービス 相乗り.net
タクシーの相乗りサービスについては、現在タクシー会社でも実験しているところがありますが、民間サービスも登場しています。
これは、個人所有の車での相乗りサービスが白タクとみなされるのに対して、タクシーでの相乗りは、ライダー同士での合意が前提であれば違反行為とはならないという点を利用したサービスとなります。
ただし、現状ではほとんど普及していないのが実情ですが、本格化した場合には通常タクシー料金よりも大幅に安くなると期待されています。
まとめ
世界的には普及しているライドシェアサービスですが、日本ではタクシー業界の反発などもあり法的整備が整っておらず、未だ普及するような状態には至っていません。
ただし、東京オリンピックを契機に大きな成長が期待されている自動運転の時代には、シェアサービスの更なる拡大が予想されており、ライドシェアも規制緩和が進み多くの人に利用されるようになりそうです。
まさに、車を所有する時代から利用する時代に移行しているようで、まだカーシェアを利用したことがない人には、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!