カーシェアのクルマの中で寝ている人を見たことがない
カーシェアリングサービスに新規参入してくる事業者では、多くのケースでカーシェア市場規模が拡大すると見ており、カーシェアリングの利用用途についても変化があると指摘します。
何度も繰り返される議論でもありますが、これからの新しいカーシェア利用法として、「カーシェアのクルマの中で寝る」、あるいは、「カーシェアのクルマの中の静かな状況で電話する」など、カーシェアを運転するというよりは、空間として利用するというユーザー層が増えると指摘します。
話を聞けばなるほどなあ、と思うのですが、残念ながら、筆者は8年間カーシェアを利用していますが、未だかってクルマの中で寝ている人や電話している人、はたまたカラオケを歌っているという人を見たことがありません。
新規でビジネスを始めるにあたっては、マーケット規模の拡大というのは必須でしょうし、金融機関や投資家向けのプレゼンには使えそうですが、実際に利用するユーザーにとっては、「まさか、そんな使い方をする人はいないでしょう!」という話になりそうです。
もちろん、そのような利用用途が全くゼロというつもりはありませんが、たまたまそういう使い方をした、あるいは、やろうと思えばそういう使い方もできるというレベルの話ではないでしょうか?
実際のカーシェアの利用用途
では、実際の利用用途にはどのようなものが多いのでしょうか?
ちなみに自称ヘビーユーザーの筆者の場合には、買い物や家族の送迎がメインで、他はスポーツクラブ、近場の親せきの家などに行く際に利用しています。
筆者は旅行大好き人間ですが、旅行の際にはレンタカーのほうが安いし、クルマの質も良いので、何時もレンタカー利用です。
カーシェアの利用用途
国際的な調査機関J.D.パワーとBusiness Insider Japanが行ったカーシェアに関する共同意識調査(2018年10月4日~2018年10月31日)では、カーシェアの利用用途について、以下のような回答がありました。(複数回答)
これによると、最も多かったのは「片道30分以内の買い物」と「片道30分以上の買い物」でともに32%、次に「荷物の運搬」が26%となっています。
つまり実用的な目的で利用されている傾向が強く、期待されているレジャー目的は10%、ドライブが22%、旅行が24%となっており、この意識調査ではレジェ―目的でカーシェアを利用したいという人はそれほど多くはないという結果が出ています。
この数字は結構納得のいく数字です。
カーシェア歴8年の筆者は、よくタイムズカーシェアの予約画面をみますが、12時間以上の予約というのはあまり見かけることがないのです。
タイムズカーシェアの場合、グループ企業のレンタカー会社タイムズカーレンタルとの棲み分けが図られているようで、旅行などで長時間(数日)利用するケースでは、レンタカーのほうがお得なサービスが設定されているということもあると思われます。
やはり、短時間利用に最大のメリットがあるというカーシェアリングサービスという概念が、多くのユーザーにいきわたっているということなのかもしれません。
買い物以外の利用用途
買い物以外では、筆者がよく利用する送迎は15%となっており、意外と多いなという感じです。
また、仕事での利用(通勤・出張)などが9%となっていますが、これは出張先で利用するということが多いのでしょうが、今後も空港や鉄道の駅とカーシェアは連携が進んでいきますので、この分野は今後も伸びていくと予想されます。
帰郷・帰省6%とありますが、これは近場に実家があるというケースでしょう。
さらに、変わったところでは、運転の練習が4%となっています。運転の練習だけなら、月額無料コースのほうがよいですね。
レジャー目的の数字が伸びない理由とは
さて、期待されていたレジャー目的での利用が伸びないのには、何らかの理由があるのでしょうか?
ここ数年のカーシェアリングサービスの急成長は、レンタカー業界の収益源を奪ってしまうのではといわれていましたが、蓋を開けてみると、レンタカー業界も絶好調という状況があります。
外国人観光客の影響もあるでしょうが、レジャー目的でクルマを借りる人が急増している、あるいは、レンタカーとカーシェアのユーザー層がそれほど被っていないと考えられます。
このことは、ある意味ではレンタカーとカーシェアのサービスの棲み分けができているとも考えられます。
つまり、短時間利用にメリットの多いカーシェア、旅行などの長時間利用ならレンタカーと多くのユーザーが考えているということかもしれません。
もっとも、近年、アウトレット、ショッピングモール、道の駅など、買い物に行くことがレジャー感覚になってきていますので、レジャーと買い物の違いが難しくなっているということもありそうです。
レンタカーのカーシェア化が進む
カーシェアには、短時間利用が可能というメリット以外にも多くのメリットがあります。
その中でもレンタカーとの違いで大きいのが、カーシェアは無人対応で利用できるという点です。
カーシェアは、ネットから予約して、予約時間にステーションまで出向けば、カードリーダーにカードなどをかざしてそのまま利用できます。
レンタカーのように、店頭で受付を済ませて、自動車保険の確認をされ、クルマのキズのチェックを行うなどの面倒な作業は一切ありません。
実は昨年あたりからレンタカーのカーシェア化が進められています。
つまり、レンタカーにカーシェアの利便性を融合させようというもので、タイムズグループやニッポンレンタカーなどでサービスが提供されていますが、この流れも今後加速していくものと思われます。
カーシェアとレンタカーは、互いに競い合ったり、喰い合ったりするのではなく、「CASE(※)」の「S」として、融合してさらに進化したサービスに生まれ変わっていくものと思われます。
※ 「CASE」とは、ダイムラーの提唱する次世代型のモビリティ産業(自動車産業)を示す重要なキーワードです。「C」はコネクテッド化、Aは自動運転、Sはシェア・サービス、EはEV(電気自動車)のことです。
まとめ
カーシェアの利用用途って、どんなものがあるのか気になりますが、やはり、短時間利用に最大のメリットのあるカーシェアでは、買い物、荷物の運搬、送迎などが多いようです。
今後、期待されるレジャー目的での利用が伸びるかどうか気になるところですが、この分野に関しては、カーシェアとレンタカーの融合化サービスも登場しています。
ますますカーシェアリングサービスのサービスが進化していくことが予想されますね。
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