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日本国内の新車販売事情
これからのモビリティライフでは、クルマは「所有することから、利用して楽しむ時代」になるといわれますが、とは言うものの、自動車産業自体はいまだに日本の基幹産業ですし、トヨタ自動車は日本一儲かっている企業です。
米国では、フォードやクライスラーの時代から、GoogleやAppleの時代へと移行しており、自動運転化時代の主役もこれらの新しい企業が中心となりそうですが、日本では相変わらずトヨタ自動車です。
それはさておき、そんな世界有数の日本の自動車市場においては、国産自動車メーカーの業績は好調なのにもかかわらず、国内市場の新車販売台数は減少傾向となっています。
これまで、新車販売台数をけん引してきた軽自動車も、すでに市場シェアは約38%まで拡大しており、限界が近づいてきているようです。
どうして、自動車大国と言われてきた日本市場でこのような事態が起こっているのでしょうか?
日本市場での売れ筋はコンパクトカーや軽自動車だが
最近好調なクルマというと、日産のノートe-powerやホンダのN-BOXなどとなりますが、日本市場での売れ筋はコンパクトカーや軽自動車となります。
ガソリン代の高い日本では燃費の良いクルマが好まれますが、狭い国土の日本では街中などは小回りの利くクルマが有利ですし、機械式駐車場などでは大型車は出し入れに苦労します。
しかし、燃費がよくて小回りも聞くコンパクトカーは、売れ筋とは言え、年々新車販売台数は減少しており、代表的なトヨタプリウスに至っては、2012年の販売実績は317,657台であったのに、2018年では115,123台と大幅に減少しています。
日本市場における売れ筋のコンパクトカーや軽自動車は、基本的には国内向けの車種となりますので、輸出はほとんど期待できません。
つまり、世界的にはその性能の高さから大人気の日本車ですが、国内市場と海外市場では別々の車種で勝負する必要があるという問題を、国内自動車メーカーは抱えているのです。
海外市場で売れている日本車とは
自動車大国日本という事実を思い知るのは、海外旅行先で至る所で走っている日本車を見る時でしょうが、国内市場と比べると海外市場では人気が衰えることはありません。
マツダ車が欧州で人気が高いというのは有名ですし、マツダ車のファッショナブルな車体は日本車というよりも欧州車という雰囲気を醸し出しています。しかし、海外で売れているのはマツダやレクサスのみならず、トヨタ、日産、ホンダはもちろん、ほとんどの自動車メーカーが好調なのです。
日産「シルフィ」と聞いても、そんなクルマあったかな~、というのが正直なところかもしれません。日産は、日本市場でもe-powerシリーズでノートやセレナが大人気となっていますが、この「シルフィ」は中国市場で2018年1月から12月までで何と48万台以上も販売しているのです。
また、日本市場では不祥事以来、地味な存在となってしまった三菱自動車では、2018年の販売台数はデリカD:5 が1.7万台、エクリプスクロスは0.9万台という状況ですが、日本未導入のエクスパンダ-はアセアン地区で31.8万台と好調です。
同様に、インドに行ったことがある人なら、なぜこんなに多くのスズキ車がという思いを持つでしょうが、国内市場では軽自動車メーカーというイメージが強いスズキ自動車ですがインドでは大人気の自動車メーカーなのです。
海外では売れても国内では売れないのは何故?
このように、海外市場では好調な国内自動車メーカーですが、国内市場では売れない現象が顕著になっているのは何故でしょうか?
簡単に言ってしまえば、世界的には自動車市場はまだまだ拡大中なのですが、日本国内市場においてはシュリンク(縮む)している可能性があるのです。加えて、上記のように、国内市場と海外市場では別のクルマで勝負しなければならないとい問題を国内メーカーは抱えています。
少子高齢化、若者のクルマ離れ、維持費の高騰、とりわけ首都圏での個人所有の場合の駐車場代問題など多くの日本独自の問題もありますが、理由は何にせよ、世界的に見た場合には日本ではもはやクルマの販売台数は伸びる余地が少ないということです。
もちろん、国内市場でも、コンパクトカーや軽自動車など人気車種と呼ばれるものはありますが、マーケット自体がシュリンクしている可能性があるのであれば、いまだマーケット拡大中の海外市場により経営資源を集中するほうが自動車メーカーとしては合理的な選択となります。
例えば、一昔前には赤字問題で経営危機説のあった日産自動車ですが、最近では、経営者問題は別として、ノートe-powerやセレナe-powerは販売台数を大きく伸ばしています。しかし、国内市場においては攻めの姿勢というよりは、e-powerシリーズに頼っり切りという状態で、次の売れ筋を販売していこうという姿勢は感じられません。
つまり、この分野を伸ばしても企業全体としての利益を伸ばしてくれるとは考えておらず、利益を伸ばすためには海外市場からの利益に頼らざるを得ないというところなのでしょう。
大きく経営方針を転換させる国内自動車メーカー
日本国内でもカーシェアリング市場は急拡大しています。最近では、首都圏の大通りを走っているとカーシェアリングサービスのクルマを本当によく見かけます。
世界的にも、カーシェアリング、個人間カーシェアリングやUberに代表されるライドシェアが急拡大しています。つまり、クルマはもはや所有する時代からシェアする時代へと移行しようとしているのです。
昨年末から、日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車が、「自動車メーカーからモビリティカンパニーへと転換する」ということを発表して話題となりましたが、すでに遅すぎたくらいの話であったのかもしれないのです。
これまでは、販売のトヨタ、技術の日産などと持てはやされましたが、これらはクルマを所有するという前提でのお話しでした。
先進国を中心として始まるであろう自動運転、EV、カーシェアリングサービス、ライドシェアサービスなど、クルマとITを融合したサービスが求められるようになっているのです。
まとめ
国内自動車メーカーは、新車販売台数が伸びずに苦戦しているはずなのに、いまだに日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、日本で一番儲かっている会社なのです。
正確に言えば、自動車の国内市場はシュリンクしている可能性が高いのですが、海外の自動車市場はまだまだ拡大中なのです。従って、トヨタ自動車をはじめとする国内自動車メーカーは、海外市場に力を入れることで国内市場の厳しい状況を克服しているというわけです。
自動車産業は、今後、自動運転化時代、EV、シェアリングサービスという時代に大きく転換していきます。国内自動車メーカーもこれらに対応すべく、カーシェアリングサービスなどに本格参入しています。クルマは買うのではなく、シェアして借りる時代に移行しているようです。
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