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メディアの報道を見ていると?
高齢者による交通事故や煽り運転による死亡事故など、2018年もメディア(ワイドショーも含む)では多くの悲惨な交通事故が報道されました。
もちろん、これらは実際に発生している事故であり、2度とこのような悲惨な事故が発生しないような対策が望まれますし、私たちドライバーも自戒しないといけないところです。
ところが、このような報道ばかり見ていると俄かに信じられないような事実があります。
2019年1月4日、警察庁の発表によると、2018年の交通事故死者数は3,532人と警察庁が保有する昭和23年以降の統計で最少となっているのです。
正確には、「2018年も~」となるのですが、平成になってからはほぼ毎年のように交通事故による死者数は最少記録を更新しています。
交通事故による死者数の推移
昔の交通事故戦争という言葉を知っている世代の人からすると、3,532人という数字は一見すると信じられないものであり、高齢者による事故の数字ではと勘違いする人も少なくないかもしれません。
警察庁の昭和23年以降の統計によりますと、第1次交通戦争といわれる昭和30年代後半から昭和40年台にかけては年間で約1万人以上の方が交通事故でお亡くなりになっており、特に昭和45年には交通事故死者数は16,765人とピークを迎えます。
高度成長期にはマイカーブームが最盛期を迎えることになります。それに比例して交通事故も急増しますが、昭和45年以降は国や政府が本腰を入れて対策を取り始めたために、交通事故による死者数も減少傾向となっていきます。
関係各位の努力もあり、交通事故による死者数は年間で1万人を割っていくことになりますが、平成に入ると第2次交通戦争と呼ばれる時代に突入し、再び、交通事故による死者数は1万人を超えていくことになります。
第2次交通戦争のピークは平成4年の11,452人となり、その後は大幅に交通事故による死者数は減少傾向となり、現在に至ります。
月別交通事故死者数の推移
警察庁の統計では、月別の交通事故による死者数も公表されており、これを見ると、月別で最も交通事故死者数が多いのは、2018年では12月の410名、その後は10月の338名、11月の326名、1月の318名と続きます。
この統計からみると、寒い時期に比較的交通事故死者数が増加しているのが見て取れます。ちなみに、最も少なかったのは昨年の場合には235人の6月となります。
6月は休みが少ないからと単純に考えがちですが、実は、ゴールデンウィークのある5月は253人と3番目に少ない月となっており、夏休みの7月、8月についてもそれほど多いというわけではありません。
この数字は、事故件数ではなく交通事故による死者数ですから、寒い時期ほどリスクが高いということは言えそうです。
交通事故件数はそこまで大幅には減少していない?
それでは、交通事故の全体の件数はどうなっているのでしょうか?
交通事故による死者数は大幅に減少しており、ピーク時の昭和45年と比較すると約5分の1弱となっていますが、全体の交通事故件数は一見するとそこまでは減少していません。
第1次交通戦争と呼ばれた時代の交通事故件数のピークは、昭和44年の720,880件となっていますが、その後にこの数字は急増することとなり、ピークを迎えるのは平成16年の95万件越えとなります。
この数字の違いには、自動車保険やロードサービスなどさまざまな要因が考えられますので、ここでは、平成16年と平成30年度の数字で比較してみます。
交通事故件数のピークとたった平成16年の交通事故件数は上記の通りですが、交通事故による死者数は7,436人となっており、事故件数は増加傾向でしたが、死者数はこのころにはすでに減少傾向となっていました。
これに対して、昨年の交通事故件数は430,345件となっており、死者数は上記の通りの3,532ですから、事故件数では約55%減となり、死者数では約52%減となります。
従って、平成以降のピーク時と平成最後の年となる30年では、交通事故件数にほぼ比例する形で交通事故による死者数も減少していると考えられます。
高齢者の交通事故死者数は増えているのか?
最近は、クルマの事故関連のニュースといえば、高齢者による単純ミスによる死傷事故や煽り運転と決まっている感がありますが、これだけ交通事故件数や、それによる死者数が減少している中でも増えているのでしょうか?
24年 | 25年 | 26年 | 27年 | 28年 | 29年 | 30年 | |
高齢者 | 2,279 | 2,309 | 2,193 | 2,247 | 2,138 | 2,020 | 1,966 |
全年齢 | 4,438 | 4,388 | 4,113 | 4,117 | 3,904 | 3,694 | 3,532 |
高齢者構成率 | 51.4 | 52.6 | 53.3 | 54.6 | 54.8 | 54.7 | 55.7 |
逆に見てみると、平成30年では65歳以上の方を除くと、交通事故による死者数は1,566名となっており、実際の数字よりもはるかに減少していると考えることもできます。
これから、団塊の世代と呼ばれる方々の高齢者の仲間入りが進んでいきますので、数字自体は減少したとしても、高齢者の割合値の減少は難しいかもしれません。
この数字は、交通事故による死者数に対する65歳以上の高齢者の割合となります。これをみると、全死者数のうちの半分以上は65歳以上の高齢者となっており、数字としては減少しているものの、それ以上に全体の死者数が減少しており、追いついていけてない状況です。
アメリカ、中国、欧州と並ぶ自動車大国といわれる日本ですが、実はここまで交通事故件数やそれによる死者数が減少しているということには驚かされます。
交通事故死者数減少の要因とは
交通事故による死者数がここまで減少してきているという要因は様々でしょうが、シートベルトの着用率の向上が大きく寄与しているということは誰もが認めるところでしょう。
ただし、交通事故件数自体も大幅に減少していますので、警察庁では「交通安全教育の普及やクルマの安全性の向上、信号機や道路の改良などが進んだ結果と考えられる」と分析しています。
今後の問題点としては、高齢者対策というところでしょうが、これに関しても自動運転化が急速に進んでいますので、そう遠くない時代には大きく減少すると予想されています。
新時代を迎えるモビリティライフ
新年早々から、トヨタ自動車が「トヨタは自動車メーカーからモビリティカンパニーに変化する」というテレビCMを流しまくっていますが、まさに、私たちのカーライフは新たな時代を迎えようとしています。
マイカー全盛時代のクルマといえば、クルマほど便利なものはないが、交通事故というリスクと隣り合わせであり、またコストもかかるというものでした。
ところが、次世代のモビリティライフでは、クルマとは「利用して楽しむ」ものであり、コストも大幅に抑えることができるものとなります。また、夢の完全自動運転時代もすぐ近くまで来ています。
まとめ
クルマほど便利なものはないのだが、交通事故が気になるという理由でクルマを運転しない人が増えていますが、現実の統計から数字を見てみると、少しばかり違う時代に入っているのではと感じてしまいそうです。
意外と気にするほど交通事故の可能性は小さいのかもしれませんし、交通ルールや規則をきちんと守って運転していれば、その可能性はさらに小さくなるでしょう。
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