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時代とともに変化する常識
数十年前の日本では、電車で立っているお年寄りがいると必ず席を譲ろうとする人があちらこちらで見かけられました。もちろん、最近でもそういう光景を見かけることは少なくないのですが、以前と異なるのは、善意からお年寄りに席を譲ろうとしても「結構です!」ときつく断れることがあることです。
子供のころには「お年寄りには席を譲りなさい」と教育されてきたのに、大人になって実践してみるときつく断られるとは何なのと思いたくもなりますが、一言でいえば時代が変わってしまったのです。日本という国や日本人が変わったのではなく、日本人の平均寿命やお年寄りの数が変わり、さらに言えば、お年寄りとは言っても元気な方が大勢いらっしゃるのです。
つまり、以前には常識であったことも、現在では必ずしも常識ではなくなっているというものは数多くあり、善意で行った行為が相手にとっては迷惑であったり、最悪のケースでは、善意の行為が法律に触れる違反行為となることもあるのです。
あなたは信号待ちでヘッドライトを消しますか?
夜間に信号待ちで停止した際、あなたはヘッドライトを消す派ですか、それとも点灯したままでいる派ですか?おそらく、年配の方ほどヘッドライトを消す派の人が多いのではと思われますが、それもそのはずで、一昔前までは信号待ちの際には対向車が眩しくないようにとヘッドライトを消す人が多かったからで、タクシードライバーなどはほとんど消していたものです。
いまでも、夜間の信号待ちでは対向車に眩しくないようにヘッドライトを消すことが常識だと考えている人も多いでしょうが、最近の常識はかなり異なってきているようで、夜間の信号待ちではヘッドライトは消さないというのが常識となっています。
ヘッドライトを消す理由
夜間の信号待ちでヘッドライトを消す理由は、何も対向車への思いやりばかりではなく他にも様々な理由があります。
信号待ちでヘッドライトを消す傾向は、関東よりも関西のほうが多いといわれています。理由としては、ヘッドライトの寿命が長持ちするからとか、バッテリー上がりの防止などとなっていますが、最近のLEDでは寿命は消さなくてもそれほど関係なくなりましたし、性能の向上によりバッテリー上がりの心配もなくなっています。
実際には、対向車が消しているからこちらもマナーで消すとか、何となく消している人が多いようです。対向車のハイビームで眩しい思いをしたことのある人が、トラウマから消していることも多いでしょう。
しかしながら。これらの信号待ちでヘッドライトを消している理由は、実は、現在では通用しなくなっているものも多く、事故防止の観点からは、むしろ信号待ちでもヘッドライトは消さないほうが良いというのが常識となっています。
夜間は常時ヘッドライト点灯
現在では、夜間の信号待ちでもヘッドライトは消さないのが常識となっています。その最大の理由は、ヘッドライトを点けたままにすることで自車の非視認性を確保することです。残念ながら、夜間に誤って反対車線に突っ込んで切るクルマによる事故は多発しており、これらの事故を避けるためにはライトを点けたままのほうがはるかに安全なのです。
スモールランプを点けておけば大丈夫だろうと考える人もいるでしょうが、こちらがスモールランプでも周囲のクルマがライトオンであれば埋没しやすいので注意が必要です。
また、最近のクルマは自発光メーターが多いので、夜間でも走り出すと明るい都市部などでは無灯火であってもなかなか気づきにくいということもあります。さらに、信号待ちでヘッドライトを消して青信号になっても再点灯するのを忘れてしまうケースの多いですから、やはり夜間の信号待ちではヘッドライトは消さないほうがよいでしょう。
法的にはどう解釈されるのか
この問題、法的にはどう解釈されるのでしょうか?
道路交通法第52条では、「車両は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。」となっています。
つまり、日没や夜間にはヘッドライトの点灯が義務付けられており、信号待ちとは言えヘッドライトを消す行為は厳密には道路交通法違反となるわけです。現時点では、信号待ちでヘッドライトを消しても検挙されたという話は聞きませんが、今後はオートライト義務化に象徴されるように、厳しくなる傾向がありますので注意するに越したことはありません。
オートライトの義務化
最近、クルマのヘッドライトは暗くなると自動で点灯する「オートライト機能」が搭載されたものを多く見かけるようになりましたが、実は、この便利で安全なオートライト機能の搭載の義務化が決定しています。
2016年10月に道路運送車両の保安基準が改正され、「オートライト機能」の搭載義務化が決定しました。適用時期は少し先ですが、新型車については2020年4月以降に発売されるクルマからは搭載が義務化されることになり、継続生産車については2021年10月からとなります。
「オートライト機能」とは、クルマのセンサーが周囲の明るさを検知して、ヘッドライトを自動で点灯/消灯してくれる機能のことで、点け忘れを防ぐとともに「薄暮時」の事故を減少させることを目的としています。
カーシェアリングユーザーも励行したい夜間のヘッドライト常時点灯
カーシェアユーザーが特に気を付けたいのは、いつも同じ車に乗っているわけではありませんので、ヘッドライトが確実に点灯しているのかどうか認識できているかどうかということです。マイカーであれば、慣れていますからライトが点灯しているかどうか簡単に判断できるでしょうが、たまにしか乗らない慣れていないクルマの場合には要注意です。
夜間にカーシェアを利用する際には、安全運転という意味合いからも常時点灯を励行するようにしましょう。
まとめ
夜間の信号待ちでもヘッドライトは消さないほうが正しい、以前の常識からは外れたような話ですが、近年の調査からは常時点灯で多くの事故が防げるということが分かってきており、現在では、夜間の信号待ちでも常時点灯することが正しい行為となります。
仮に対向車がヘッドライトを消してきても、マナーだと思って同調して消灯することなく、安全運転と考えて常時点灯を意識するようにしましょう。
オートライト機能の搭載義務化が近づいており、そう遠くない時期にカーシェアのクルマもすべてオートライト機能が搭載されるようになるでしょうが、それまでは意識して常時点灯するようにする必要があります。
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