元モー娘。メンバーによるひき逃げ事故
国民的人気のアイドルグループの元メンバーがひき逃げ事故の疑いで事情聴取を受けています。思い返してみても、これまで人気お笑い芸人、人気俳優、あるいはオリンピックの金メダリストなど、多くの有名人によるひき逃げ事故が発生しています。
交通事故は人命にかかわる問題ですから、普通の感覚から行くと事故を起こして現場から逃げ去るというのは考えにくいもですが、有名人のひき逃げ事故に共通するのは、飲酒運転によるひき逃げ事故であるケースが多く、より重い罪となる可能性が高くなるためにまさに天国から地獄に落ちるような状況を感じて怖くなり逃げてしまうのだと思われます。
もちろん、許されるような問題でもありませんが、実際にひき逃げをしてしまったらどうなるのでしょうか?また、人を轢いてしまった場合にはどう対処すべきなのか、この機会にしっかり確認しておきましょう。
ひき逃げとは
ひき逃げとは、クルマを運転中に人身事故を起こして、適切な処理を取らないまま現場から逃走してしまうことを言い、これはれっきとした犯罪となります。歩行者を轢いてそのまま逃げてしまうことだけをひき逃げと捉えがちですが、クルマ同士での事故で、相手が怪我をしているのに救護することなく逃走することもひき逃げとなります。
警察当局や他の関係各位の努力により、我が国における交通事故件数は大幅減少傾向にあり、同様にひき逃げ事故を減少傾向にあるのが実情です。とは言え、減少したもののいまだに年間では1万件ほどのひき逃げ事故が発生しています。
法的に見たひき逃げとは
上記のように、ひき逃げというと一般的には、「交通事故を起こして相手を死傷させてしまったにもかかわらず現場にとどまらずに逃走すること」と定義づけできますが、法的には道路交通法第72条に違反する行為のことを言います。
道路交通法第72条1項には、警察官への報告義務が定められており、第2項には負傷者の救護義務が定められています。
事故発生直後に現場から離れる
交通事故を起こして、相手を負傷させ現場にとどまらないのは違法行為です。
負傷者を救護しない
救護とは、負傷者を安全な場所に移動させたり、応急処置をしたり、救急車を呼んだりすることです。事故発生後に現場にとどまっても、救護をしない場合には道路交通法第72条2項の違反行為となります。
二次事故の発生予防を怠る
交通事故を起こすと二次事故発生の可能性がありますので、救護の際には二次事故を防ぐために可能な限りの現場処置も行います。
警察への報告義務違反
道路交通法第72条1項により、交通事故を起こした際には警察には必ず報告する義務があります。注意したいのは、軽い衝突事故などで相手とその場で和解したつもりでいたところ、後日に相手から怪我や後遺症があったと連絡が来たり、あるいは、相手が未成年者であった場合に親が通報した場合にはひき逃げとして処理されてしまう可能性があります。
保険の問題もありますので、たとえ現場で相手からそのような申し出があったとしても必ず警察には報告しなければなりません。
警察が到着するまでに現場にとどまる義務違反
これについては、意外と認識していない人も多いかもしれませんが、軽い事故だからとか急ぎの用があるからなどと言って、警察が到着するまで現場にとどまらない場合には道路交通法第72条に違反する可能性があります。
どんな事故であれ、またどれだけ急いでいても、交通事故を起こして警察を呼んで処理してもらうわけですから、最低でも警察が到着するまでは現場で待つということは、法律以前の常識であるともいえます。
ひき逃げと当て逃げの違いとは
ひき逃げによく似た言葉に当て逃げがありますが、同じような感じもしますが両者には違いがあるのでしょうか?簡単に言ってしまうと、ひき逃げと当て逃げの違いは負傷者がいるかどうかという点です。画像のように、動物を轢いて逃走した場合には負傷者ではありませんので当て逃げとなります。
負傷者がいる交通事故は人身事故となり、負傷者がいない交通事故は物損事故となります。駐車場にクルマを停めていたら、いつの間にかぶつけられて傷つけられたというのは典型的な当て逃げとなります。
ひき逃げにおける刑の種類や刑罰の重さ
ひき逃げの検挙率
平成25年の犯罪白書によると、ひき逃げによる死亡事故の過去20年間の検挙率は平均95%と非常に高くなっています。平成24年度のひき逃げ事故の全検挙率も約50%となっており、ひき逃げはそう簡単には逃げられるものではないことが見て取れます。
被害が大きいひき逃げの場合にはほぼ逃げ切ることはできませんし、軽度のものであったも検挙される可能性は高いわけですから、逃走することがいかに愚かで非効率な行為であるかが分かります。
ひき逃げの刑の種類と刑罰の重さ
負傷者の救護と危険防止の措置違反
いずれも10年以下の懲役および100万円以下の罰金という重い罪に問われることになります。
事故報告の義務違反
3か月以下の懲役および5万円以下の罰金が課されます。同様に、交通事故を警察報告を怠った場合の刑罰もあります。
現場にとどまる義務違反
警察到着を待たずに現場から逃走したとみなされる場合にも5万円以下の罰金が課されます。
過失運転致死傷罪
交通事故で被害者を死傷させると、7年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金が課されます。
危険運転致死傷罪
危険運転により、被害者を死傷させてしまった場合には、負傷の場合には15年以下の懲役、死亡の場合には20年以下の懲役が課されます。
殺人罪
同じひき逃げでも、繰り返し被害者を引いた・被害者を何mにもわたって引きづったなど、悪質な場合には殺人罪に問われることになり、死刑・無期懲役・5年以上の懲役が課されることになります。
カーシェアリング利用中に人を轢いた場合には?
ここ数年首都圏を中心に大人気となっているカーシェアリングでは、事故発生率は比較的少なく、また事故のほとんどがカーステーション(時間貸し駐車場など)内で発生しています。
ただし、あまりの利便性の高さにカーシェアリングを長時間利用する人も増えてきており、その場合には通常のクルマ同様に事故発生の可能性が出てきます。万が一、カーシェアリング利用中に人を轢いた場合にはどうすればよいのでしょう。
無論、カーシェアリングと言えどもクルマの運転であることには変わりがありませんので、上記のように道路交通法の第72条に基づいて行動する必要があります。また、カーシェアリング会社の規約上は、必ずカーシェア事業者の緊急連絡先に事故を報告して指示を受けることも大切です。
まとめ
国民的アイドルグループの元メンバーによるひき逃げ事故(現在事情聴取中)に、心を痛めた人も多いでしょうが、言うまでもなくひき逃げは重大な犯罪行為です。万が一、クルマを運転中に人を轢いてしまったりした場合には、道路交通法第72条に基づいて対処する必要があります。
カーシェアリングユーザーの中には、普段はあまりクルマを運転しないという人も多いと思われますので、カーシェアリング利用中に万が一にも人を轢いた場合にどう対処すればよいのか、しっかり頭の中に入れておきたいものです。
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