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人はなぜ飲酒運転をしてしまうのか?

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飲んだら乗るな、乗るなら飲むな

pexels

 

懐かしい標語ですが、おそらくこの哲学的ともいえる短い標語のおかげで、人生を棒に振らずに済んだ方も多いのかもしれません。「分かってはいるけど止められない」とは、よく言ったもので、飲酒運転はだめだとはわかっていても、ついついやってしまうのが飲酒運転でもあります。

クルマほど便利の良いものもないということかもしれませんが、飲酒した状態で判断してしまいますので、だめだとは分かっていても「少しくらいはいいだろう、今回だけはいいだろう」という気持ちのほうが、だめだという気持ちを簡単に上回ってしまいます。

道路交通法第65条第1項で、酒気を帯びて運転してはならないことが定められています。飲酒運転に対する社会の厳しいまなざしやモラルの向上、および刑法・道路交通法の改正による厳罰化などにより、飲酒運転におる交通事故の件数は年々減少していますが、飲酒を原因とした悲惨な事故はまだまだ後を絶ちません。

警視庁の資料によると、2007年に飲酒運転事故件数7,562件であったものが、年々減少してきて2017年には3,582件と半分以下の数値まで減少しています。ピーク時から見ると減少率はさらに大きくなりますが、上記の通り、飲酒運転に対する社会の厳しい目や警察をはじめとする関係各位の努力のたまものであるといえるでしょう。

しかし、減少したとはいえ、1年間で3,500件以上の飲酒運転事故が発生しているということは、ほぼ1日10件ペースでの飲酒運転事故となり、非常に多く発生していることには変わりがありません。

 

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飲酒運転はなぜなくならないのか

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飲酒運転はなぜなくならないのか、昔から盛んに議論されていますが、答えがあればなくなるのか、あるいは答えがあってもなくならないのかもしれません。それほど難しい問題だということでしょう。

例えば、厳罰化をさらに強化して、飲酒運転交通事故はすべて死刑にしたところで飲酒運転はなくならないだろうといわれています。厳罰化は減少させることはできても、限界があるということでしょうか。

飲酒運転による事故は、被害者に人生を壊し、加害者の人生も台無しにします。それでも飲酒運転はなくなりません。飲酒運転が交通事故の中でも特に厳しい目を向けられるのは、単純なミスによる事故ではなく、飲酒という避けられたはずの事故であるからでもあります。最近増えている、脱法ドラッグや薬物運転も基本的には飲酒運転と同じでしょう。

公益社団法人日本心理学会では、飲酒運転する人を3つのタイプに分けています。

タイプ1

遵法精神が希薄で、取締りに遭わずに事故さえ起こさなければよいと考えている人。このタイプは飲酒運転の本当の恐ろしさが分かっていたい人です。

タイプ2

飲酒して気が変わってしまう人。飲酒運転の危険性は分かっていても飲酒運転してしまうのは、アルコールが抑制(マヒ)剤だからです。

タイプ3

アルコール依存症またはそれに近く、飲酒と運転が切り離せない人。本人の生き方の問題ですから、最も難しいタイプです。

 

飲酒運転の罰則

社会からも厳しい正差しを向けられている飲酒運転ですが、それにつれて罰則も厳罰化がすすんでいます。

酒酔い運転

飲酒量にかかわらず、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で車両等を運転した場合

罰則・・・5年以下の懲役または100万円以下の罰金
違反点・・・35点 ⇒ 免許取消し

酒気帯び運転

吸気1リットル中、0.15㎎以上または血液1ml中0.3㎎以上のアルコールウィ体内に保存した状態で車両等を運転した場合

罰則・・・3年以下の懲役または50万円以下の罰金

違反点・・・25点(呼気1リットル中0.25mg以上、血液1ミリリットル中0.5mg以上) ⇒ 免許取消し

13点(呼気1リットル中0.15mg以上0.25mg未満、血液1ミリリットル中0.3mg以上0.5mg未満)

平成21年6月1日、改正道路交通法施行により酒酔い運転等の基礎点数の引き上げ及び運転免許取消し後の欠格期間が延長されました。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

アルコール等の影響により、正常な運転が困難な状態でクルマを走行させ、人を死傷させら場合、故意による犯罪として適用されます。

罰則

人を死なせた場合 ・・・ 1年以上の有期懲役
人を負傷させた場合 ・・・ 15年以下の懲役

これらの違反や事故を起こすと、刑事責任だけでなく行政責任(免許停止、取り消し処分)、民事責任(治療費や慰謝料などの損害賠償)を負わなければなりません。

 

2017年 都道府県別飲酒運転事故状況

事故
https://www.photo-ac.com

 

2017年都道府県別飲酒運転事故状況(公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータをもとに日本損害保険協会が試算)によると、面白い事実がみえてきます。

2017年飲酒運転事故件数のワースト1は220件の愛知県、2位は僅差の207件で大阪府、3位は193件の神奈川県となりました。いずれも自動車メーカーの本拠地があります。ちなみに東京は174件で6位となり、件数だけで見ると大都市のある都道府県が上位にきます。

それでは、運転免許保有者10万人当たりの飲酒運転事故件数はどうでしょう。ワースト1は9.3件の山梨県、2位は8.7件の沖縄県、3位は8.2件の佐賀県となります。

最後に、トータルで見た場合の飲酒運転事故率では、ワースト1は1.91%で鳥取県、2位は1.75%でお隣の島根県、3位は1.70%の福井県となりました。

意外な地域がワースト上位に顔を出している感がありますが、ちなみに、最後の飲酒運転事故率では東京は0.59%で42位、神奈川県が0.74%で34位、以下、愛知0.60%で40位、大阪0.61%39位、福岡0.37%47位となっており、交通機関の発達している都道府県ほど飲酒運転事故率が低いという傾向が見て取れます。

これらの数字から、何故飲酒運転がなくならないのかも見えてくる部分もありそうです。

 

カーシェアリングと飲酒運転

飲酒運転の理由の一つに、クルマを置いて帰りたくないということがあるでしょうが、その点でカーシェアリングはカーステーションに戻す必要があるため、飲酒運転を目的に借りる人は少ないといえるでしょう。むしろ、飲酒したので簡易ホテル代わりとしてカーシェアを利用する人のほうが圧倒的に多いでしょう。

 

まとめ

社会からの厳しい目や罰則の厳罰化などで、年々減少している飲酒運転事故ですが、残念ながら悲惨な事故がいまだに後を絶たない状況です。何故飲酒運転はなくならないのか、永遠のテーマなのかもしれませんが、完全自動運転化の時代には懐かしい話になっているかもしれません。

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