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沖縄のアクアレンタカー倒産
琉球新報によると、沖縄県でアクアレンタカーを展開するニューステップが、3月23日那覇地方裁判所に民事再生法の適用を申請し受理されました。
新型コロナウィルス感染の影響で利用者が激減、資金繰りが悪化したとのことです。
従業員27名(正規9人、非正規18人)の雇用は継続し、事業を継続しながら会社再生に向けた作業をすすめます。
東京商工リサーチ沖縄支店によると、新型コロナウィルス感染の拡大による法的倒産は沖縄県では初めてとなります。
すでに悪化していた経営状態?
新聞報道を読む限りでは、あたかも今回の新型コロナ感染の影響が大きかったように思われますが、2020年1月末時点での負債が3億9千万円となっており、すでに自転車操業であったことは容易に想像できます。
少なくとも昨年中に新型コロナ感染の影響が出ていたとは考えられず、2月、3月の利用客が大きく減少したことで、家賃などの運営コストが賄えなくなったということですから、新型コロナ感染によってとどめを刺されたということでしょう。
海外からの観光客増加傾向が続いていた沖縄のレンタカー会社ですから、そもそも経営方針に問題があったのでなないのでしょうか?
沖縄のレンタカー事情
実は、この数年で観光地沖縄のレンタカー事情は大きく様変わりしています。
もともと人気の観光地であった沖縄ですが、ここ数年は国内観光客のみならず海外からの観光客が激増しており、レンタカー業界も日本人相手だけではなく、海外からの観光客をターゲットとするレンタカー会社も増えています。
つまり、ここ数年では、海外からの観光客用のレンタカーに力を入れるところも少なくはなかったのです。
ちなみに、中国はジュネーブ条約を締結しておらず、国際免許を持ちませんので沖縄でレンタカーを借りることは原則として(※)できません。
2018年の国土交通省の調査では、沖縄で最も多くレンタカーを利用した海外観光客は、香港・マカオ、次に台湾、韓国となり、4番目に中国となります。
香港・マカオ、台湾、韓国はジュネーブ条約に締結しており国際免許を利用できます。中国の場合には、中国以外のジュネーブ条約加盟国で運転免許を取得している場合には、国際免許を取得できますので沖縄でもレンタカーを借りることは可能です。
アクアレンタカーを運営するニューステップは、このうち台湾からの観光客にターゲットを絞っており、売上の2割ほどが台湾観光客の利用によるものであったと報道されています。
海外観光客利用のレンタカーの事故が急増していた
ここ数年の沖縄のレンタカー事情について簡単に説明しましたが、実は、以前にはそれほど多くなかったある問題が発生しており、沖縄県民の悩みの種となっていました。
それは、海外観光客のレンタカー利用による交通事故が急増しているという問題です。
利用者の多い国の中では、香港・マカオについては左側通行の国でありますが、台湾、韓国、中国については右側通行の国であり、日本の交通事情と異なることから、レンタカー利用者による事故が増えています。
さらに問題なのは、ジュネーブ条約非加盟国の中国で、国際免許を取得していないにもかかわらず、ネット上で簡単に入手できる偽造免許証でレンタカーを借りるケースも少なくはないということです。
偽造免許証であると、仮に事故を引き起こした場合には当然保険対象外となります。
こんなことは信じたくはありませんが、一部のレンタカー会社の場合、売上のために偽造免許証であることを承知の上で、レンタカーを貸していたという事情もあったようです。
もちろん、大半のレンタカー会社は真面目に運営しているわけですが、インバウンドブームに乗って多くのレンタカー会社が乱立していますので、そのような業者も紛れ込んでいたようです。
格安が当たり前の沖縄のレンタカー
沖縄といえば、大手レンタカー会社ばかりではなく、多数の格安レンタカー会社があり、那覇空港のレンタカー業者の異常な多さに驚かされますが、ここ数年のインバウンドブームはさらにその動きを加速させました。
大手のレンタカー会社でも、料金体系は格安レンタカー会社に合わせた価格となっており、観光客にとっては非常にうれしい価格体系となっています。
昔から格安が当たり前の沖縄のレンタカー会社でしたが、ここ数年のインバウンドブームは、さらにレンタカー会社の競争激化を招き、とりわけ、海外からの観光客用のレンタカーサービスが急増していました。
この競争に乗り遅れまいと考えるレンタカー会社が、海外からの観光客を無視するというのはできなかったのかもしれません。
全国的に見られる傾向とは
都心部では、毎日満室状態であったホテルが、現在空室だらけとなっており悲鳴が上がっています。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて多くのホテルが建設されましたが、新型コロナ感染の影響をもろに受けています。
同様に、レストランなども多くの顧客を失っています。
もちろん、都心のお店と地方のお店では状況は異なるでしょうし、また、海外観光客をターゲットとしていたお店と、そうでないお店では全く違った状況となっているようです。
同じ沖縄のレンタカー会社でも、昔から地道に営業を続けているレンタカー会社と、インバウンドブームを当てにしていたレンタカー会社では事情は大きく異なると思われます。
2020年沖縄のカーシェア事情
全国軽自動車協会の統計によると、2019年における沖縄県では人口100人当たりの軽自動車保有台数が31.44台となり、なんと全国1位となっています。(全国平均は人口100人当たり17.66台)
これは、沖縄県の公共交通機関の少なさを表していますが、個人旅行する際にもクルマがないと非常に不便であり、沖縄のレンタカー会社の多さはこれを象徴するものです。
では、沖縄のカーシェア事情はどのような状況でしょうか?
首都圏ほどではありませんが、沖縄でも那覇市など中心にカーシェアのステーションはハイピッチで増加しています。
タイムズカーシェアでは、那覇市に89拠点、沖縄市に5拠点、石垣島、宮古島、中頭郡読谷村に各1か所の計99か所のステーションが設置されています。
オリックスカーシェアでは、那覇市に21か所、国頭郡恩納村に2か所の計23か所のカーステーションが設置されています。
カレコでは、那覇市に4か所のステーションが設置されています。
現在、沖縄には126か所のカーステーションが設置されています。
まとめ
新型コロナ感染の影響で沖縄のレンタカー会社が破綻というニュースが流れていますが、よく調べてみるとすでに昨年末の時点で大きな負債を抱えており、新型コロナ感染の影響がなくても破綻していた可能性は高そうです。
現状では、観光客向けというよりは沖縄の人たちの生活の一部として利用されることで、カーシェアが急増しています。
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