サブスクリプションサービスとは
トヨタ自動車の豊田社長は「トヨタ自動車は、自動車会社からモビリティカンパニーへと生まれ変わる」と高らかに宣言しましたが、「それって、どういうこと?」と思った人も多いと思われます。
モビリティカンパニーとは、その名の通りモビリティライフを楽しむ人たちにサービスを提供する会社のことであり、「所有することから利用して楽しむ時代」へと変革する自動車業界の次世代の姿といえるでしょう。
若者のクルマ離れは一時的な社会現象ではなく、今後も継続していくと考えられる中で、クルマの販売台数の伸び悩みを横目に、カーシェアリング、ライドシェアなど新しいモビリティビジネスが急成長しており、その一つとして今後成長が見込まれているのがクルマのサブスクリプションサービスです。
サブスクリプションサービスとは、スマホからでも簡単に利用できる動画見放題配信サービスなどが有名ですが、利用期間に応じて料金(定額)を支払うサービスのことで、クルマのサブスクリプションサービスは、好きなクルマを定額料金で一定期間乗り放題で利用するサービスということになります。
クルマのサブスクリプションサービスのメリットデメリット
クルマのサブスクリプションサービスのメリット
コスト削減の可能性がある
日本でカーシェアマーケットが急拡大している理由として、大幅なコスト削減が可能とになるというポイントがありますが、サブスクリプションサービスの場合にも個人差はあるものの、ケースバイケースでコスト削減の可能性があります。
例えば、高級車などの場合には、1日のうちに利用するのは平均すると1時間以下という人が多いと思われますが、そのために維持費も含めると結構なコストを使っているケースが多く、これらのケースではサブスクリプションサービスを利用することでコスト削減の可能性があります。
また、本当にクルマ好きの方で、頻繁に車を買い替えたい、あるいは多様なクルマに乗ってみたいという方の場合には、買い替えで多額の費用が発生しますので、サブスクリプションサービスが最も適している人といえるでしょう。
常に最新版
当面は、こちらのほうがサブスクリプションサービスの最大の特徴となるかもしれませんが、サブスクリプションサービスでは常に最新モデルのクルマに乗れる可能性があります。買ったばかりなのに、新しいモデルが出てしまったという経験のある方も多いでしょうが、クルマを所有するのではないサブスクリプションサービスではこのような経験は少なくなります。
現在、洋服のサブスクリプションサービスのairClosetという月額9,800円で洋服をレンタルし放題というサービスが大人気となっていますが、ファッションのようにトレンドが次々と変わるビジネスとの相性は非常に良いといわれています。
尤も、airClosetの場合には、スタイリストに相談できるというサービスも付いており、レンタルした後に気に入ったら購入することも可能となっています。案外、自動車メーカーの本当の狙いも現時点ではこんなところになるのかもしれません。
クルマのサブスクリプションサービスのデメリット
利用しなくても料金は発生する
クルマを所有する場合と比べるとコスト削減の可能性はありますが、首都圏のようにクルマの維持費の大きな部分を占めている駐車場代は発生することになりますので、駐車場を用意する必要がある場合にはコスト削減に繋がらないこともあるでしょう。
また、短期間契約の場合には料金が高めの設定となり、長期間契約の場合にはクルマを利用しなくても料金は発生するという問題もあります。
定額料金だが安い料金ではない
頻繁にクルマを利用する人や、クルマ好きで短期間で買い替える人には向いているサービスですが、カーシェアユーザーなどのたまにしか車を利用しないという人にとっては、非常に敷居の高いサービスとなります。
例えば、カーシェア最大手のタイムズカープラスの2017年10月決算での売上高は約231億円ですが、2018年に加入者数が100万人を突破しており、単純計算では1ユーザー当たりの月額利用料金は、一部の法人ユーザーやヘビーユーザーを除くと2,000円前後というところになるのではないでしょうか?
クルマのサブスクリプションサービスの月額料金は最低でも5万円前後というところからとなりますので、カーシェアやライドシェアユーザーには、高額商品と感じられるかもしれません。
尤も、トヨタの場合には、サブスクリプションサービスとともにカーシェアリング事業にも進出予定とはなっていますが。
カーシェア・レンタカー・リースとの違い
簡単に言ってしまうと、同じモビリティビジネスとはいっても、短時間利用に最大のメリットがあるカーシェア、24時間以上の利用でメリットのあるレンタカーということで、カーシェアやレンタカーとサブスクリプションサービスとでは、明らかにサービスの利用時間が異なりますので、サービスとして最も近いのはカーリースになると思われます。
カーリースといえば法人契約ですが、個人リースをサービスとして提供しているところも多くあります。これらのカーリースの場合には特定のクルマに対してリース料を支払いますが、サブスクリプションサービスの場合には、基本的にリース期間余地短い間隔で、登録されているクルマへアクセスする権利としてサービス料を支払います。
サービス内容については提供事業者によって異なるでしょうが、複数の車種が登録されていれば複数のクルマに乗ることが可能でしょうし、同じメーカーの最新モデルに乗ることができるようなサービスになると思われます。
どんなサービスがあるの?
ガリバーの提供するNOREL
現在提供されている個人リースサービスで、ほぼサブスクリプションサービスに近いといってよいのが中古車買取大手の提供するNORELです。その名の通り、好きなクルマに90日~乗れるというサービスで、ガリバーだけにクルマは中古車となりますが、任意自動車保険の保険料や車検時の整備費用、税金などがサービス料金に含まれます。
サービス提供開始時のキャンペーン価格は破格であったため大人気となりました。NOREL以外にも、カルもやコスモスマートビークルなどもサービスを提供されていますが、こちらはより個人リースに近いサービスとなります。
トヨタが提供予定のKINTO
2019年よりサービス開始予定なのが、満を持してモビリティカンパニーとして再生するトヨタの提供するサブスクリプションサービスである「KINTO]です。「KINTO」というサービス名は、孫悟空の「筋斗雲」のように使ってもらいたいというところから名づけられています。
サービス内容の詳細については公表されていませんが、個人リースではなく完全なサブスクリプションサービスとして提供される予定です。
まとめ
トヨタ自動車がモビリティカンパニーとして生まれ変わる。モビリティライフが大きく変革する時代の特徴的な出来事ですが、既存のレンタカー、カーシェアリングサービス、ライドシェアなどとともに大きな成長が期待されるサブスクリプションサービスが遂に本格的に登場してくるようです。
当初は、メリットやデメリットなどの特徴あるサービスとなる可能性もありますが、いずれは、カーシェアやライドシェアとともにモビリティライフの中心になっていく可能性を秘めたサービスかもしれませんね。
新たなモビリティサービスの登場で、カーシェアがさらに発展して今以上に使いやすいサービスに進化することも期待したいところです。そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!