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カーシェアリング利用から高まる、マイカー需要
クルマを所有していても、大きな荷物を運びたいからバンを借りるとか、大人数でドライブに行くからミニバンを借りるというケースもあるでしょうが、基本的に「カーシェアリングやレンタカーはクルマを所有していない人が利用するもの」という考え方が一般的だと思います。
カーシェアリングの主要5社(タイムズカープラス、オリックスカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブ、カリテコ、アース・カー)は拠点数も車両台数も着実に伸ばしており、5社のトータルで見ると2015年に対して2016年は拠点数で17.5%、車両台数では24.0%もの成長、拡大を見せています。また、拠点数は大都市圏ほど多く、地方に行くにしたがって少なくなるという傾向はありますが、カーシェアリングが全国的に展開していることは間違いありません。
参考:カーシェアリング市場動向(2016年総括版:主要5社)
もちろん、利用者数も着実に伸びているのですが、ここで興味深いのは実際にカーシェアリングを利用した人のクルマに対する意識です。カーシェアリングはクルマを所有した際に必要になるランニングコストが不要という大きなメリットがあるにも関わらず、カーシェアリングを利用したことで、むしろ「マイカーが欲しくなった」という人が32.4%、実に利用者の3人に1人がそう回答しているのです。ちなみに、「マイカーは不要」という人は約20%、5人に1人なので、その差は思っている以上に大きいと言えるでしょう。
参考:カーシェアリングが普及しても『マイカー欲しい』が32パーセント
オンデマンドでクルマを利用したい人が使えるカーシェアリングは、特に大都市圏においては非常に便利です。しかし、それをきっかけにしてクルマそのものに興味を持つ人が意外にも多く、自らが所有したいとまで思うようになるとは、カーシェアリングが思わぬところで影響を及ぼしていると言う他にありません。若者を中心にクルマ離れという話題がよく出てきますが、実はカーシェアリングがそのストッパー役としても機能しているという仮説が、なんだか痛快でもあります。
実際クルマに触れて、その楽しさや利便性を実感!
大都市圏でクルマを所有する人が少ないのは、維持費がかかるというのも大きな理由のひとつでしょうが、公共交通機関が発達していてマイカーの必要性を感じないからということも挙げられると思います。しかし、時間に関係なく好きな時に好きなところに行けるという自由度の高さや、自分(と家族や仲間)だけの空間で移動できるということは、公共交通機関には望めないクルマの特権と言えます。
また、どこかに出かけるにしても、クルマであれば“ドアtoドア”での移動が可能です。荷物が多くてもとりあえずクルマに積んでしまえばオッケーですし、雨や雪が降っていたりしても目的地まで濡れることなく向かうことができます。あるいは好きなところに気軽に立ち寄れるのも、公共交通機関にはないクルマならではのフットワークの軽さでしょう。そういった利便性の高さは、一度クルマを使ってみれば誰でも感じることだと思います。
一方、クルマを運転する行為そのものに楽しさを見出す人も決して少なくありません。高速道路を使って目的地までの時間を短縮するのも、一般道でドライブや景色を楽しみながらのんびりと目的地を目指すのもドライバー次第です。
ここでカーシェアリングに着目してみると、利用者の年齢層は10代~20代が22%、30代が35%で、全体の6割近くを占めています。よく言われる若者のクルマ離れとは、あくまでもクルマを所有することに対してであって、クルマに乗らない、利用しないという意味でのクルマ離れではないことも考えられます。つまり、クルマが便利なものという認識はしっかりあり、TPOに応じてカーシェアリングを活用しているという実態が見えてきます。
また、カーシェアリング市場が急激に伸びてきていることは、会員数の推移からも明らかです。2010年には1万6,000人弱でしたが、2017年には100万人を突破(約108万6,000人)。たった7年で、カーシェアリングの会員数は70倍近くにもなっているのです。
参考:日本のカーシェアリング会員数がついに100万人突破、グラフで見る8年間の軌跡
それは、拠点数や車両台数が大きく右肩上がりに増えてきて、よりカーシェアリングを身近に使える環境が整いつつあるからと言えますが、逆にそういう動きがあるのも利用者=会員が年々多くなっているからという見方もできます。つまり、どちらが先という話ではなく、ユーザーニーズとカーシェアリング市場がうまくかみ合って、その相乗効果で市場が成長しているのではないでしょうか。
大量生産時代とはひと味違う個性豊かなクルマが揃う
プリウスやアクアに代表されるように、環境性能や低燃費をうたったいわゆるエコカーが幅を利かせる昨今。経済性や実用性ばかりが重視された“道具”としてのクルマが増えてきている一方で、内外装のデザインに凝っていたり、走りの楽しさを押し出したり、つまりは趣味性を求めたクルマが存在するのも事実です。デザイン面で言えばC-HRやヴェゼル、走りで言えばスイフトスポーツやフィットRS、86/BRZ、WRXなど、意外とピックアップできるものです。
そういった個性的なクルマも用意しているのがカーシェアリング。どちらかというと実用目的で借りる人が多いレンタカーに対して、カーシェアリングはもう少し間口が広く取られていて、レンタカー以上に幅広い車種を用意しているのがひとつの特徴と言えるでしょう。
たとえば、カーシェアリングのカレコ・カーシェアリングクラブではアルファード/ヴェルファイアやメルセデスベンツのミニバン、Vクラスなど、高級ミニバンが用意されています。いずれも10分240円で乗れるため、ちょっと試乗してみるというのもありかもしれません。さらに、個人間でクルマをシェアするAnyca(エニカ)では、1日単位でのレンタルになってしまいますが、ポルシェケイマンGT4やBMW i8といった本格的なスポーツカーに乗ることもできます。
参考:カーシェアリングで乗れる高級車・6車種【2017年版】
一方、タイムズカープラスではミニONEやミニクロスオーバーの他、世界で市場テストを行っているBMW 1シリーズベースのEV、アクティブEなどを用意。オリックスレンタカーでは左ハンドルのMTで愉しむルノーのオープン2シーターモデル、ウインドが選べるなど、気軽に輸入車に乗れるのもカーシェアの魅力と言えるでしょう。
レンタカーは「ドライブや買い物に行く」、「荷物を運ぶ」など明確な目的があって借りるケースが圧倒的に多いと思いますが、それよりも短時間で安く借りられるカーシェアリングは、「気になるクルマだから、試しに乗ってみたい」というニーズにもマッチ。しかも、個性的かつ魅力的なクルマが揃っているとなれば、なおさらのことだと思います。
ニッチなクルマを目の当たりにして購買欲が刺激される?
足代わりに使うクルマであれば、わざわざ自分で所有しなくてもカーシェアリングやレンタカーを借りればこと足ります。しかし、日常生活の中ではまず身近に接することがないであろうクルマだった場合、それが強烈な印象、経験として記憶に残ることは間違いありません。上でも説明しましたが、そういった記憶に残るクルマはレンタカーよりもカーシェアリングに多かったりします。
ひとつ確実に言えるのは、クルマに触れる機会がなかったから興味を持つことがなかったわけで、カーシェアリングを利用したことで購入意欲が湧いてくる人が思いの外多いということです。しかも、乗ったクルマがニッチであったり個性的であったりすればするほど、その傾向は強くなるのです。
参考:【タイムズ24】カーシェアリングを始めるとクルマが欲しくなる!? ~カーシェアリングアンケート調査を実施~
もちろん、実際にクルマを購入するとなれば、車両代金の他に税金や保険代、駐車場代など、カーシェアリングやレンタカーでは不要なコストがかかります。ですが、それまでカーシェアリングやレンタカーでまかなっていた人たちが購入意欲を抱くようになったのは、クルマを所有したいと思うだけの理由があるからに他なりません。実際、カーシェアリングをきっかけにクルマを購入した人がどれくらいいるか? そのデータまでは見つけられませんでしたが、利用者がクルマに対して興味を持つようになったというだけでもカーシェアリングが果たした役割は大きいと思います。
使い勝手がよく便利だからということだけに留まらず、実はクルマの楽しさも垣間見ることができるカーシェアリング。短時間であれば、レンタカーよりもリーズナブルに使うことができるのは、利用者にとって嬉しい限り。自分が購入したいと思えるクルマを探すためカーシェアリングを利用する、ということも十分に考えられるのではないでしょうか。
そんなカーシェアリングですが、あなたのお近くのカーシェアリングやレンタカーを探して料金比較できる、『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH(ドライブゴーサーチ)』でぜひ調べてみてはいかがでしょうか。