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ガソリン車では味わえないEVの魅力
最近、電気自動車(EV)が脚光を浴びていますね。CO2の排出を抑えて地球温暖化を防ぐのに有効であるとか、ガソリン車などの燃料代よりEVの電気代の方が安く済む、加速が良くて運転が楽しい、など人気の理由はいろいろあります。何と言っても音や振動が少ない、スムーズな走行感覚はとても未来的で、一度乗ったら病みつきになってしまうほどです。
EVのパイオニアと言えるi-MiEV
ところで、そんなEVの草分け的存在のクルマ、i-MiEVをご存知でしょうか。最近、プラグインハイブリッドで人気の三菱自動車が販売するEVで、その発売は2009年。なんと世界初の量産EV車、という非常に歴史的価値のあるクルマなのです。タイムズカープラスやカレコ・カーシェアリングでもi-MiEVをラインナップしていますが、ではこのi-MiEV、一体どのようなクルマなのでしょうか。
ベースになったのは軽自動車のi(アイ)
まずi-MiEVは日産リーフのようなEV専用設計車ではありません。ベースとなったのは軽自動車のi(アイ)。2006年に発売されたこのクルマ、実は非常に画期的な1台だったのです。まず、通常はフロントにあるエンジンがリヤタイヤの上にあります。これがどういうメリットをもたらすかというと、まずフロント部分が空洞になることで、衝突時の安全性が飛躍的に高まります。エンジンがあった方が安全じゃない?と思うかもしれませんが、衝突時にはボディを潰して居室の安全を確保する、という現代のクルマでは、クルマの前方にはできるだけ何もない方がありがたいんですね。
いいことづくめのリヤミッドシップを採用
さらに重量物のエンジンが後ろにあるので駆動をする後輪に十分な接地力(トラクション)が加わる、フロントが軽いことでハンドリングが軽快になる、そしてホイールベース(前後の車輪の距離)を長く取れることで室内を広くできる、さらにフロントにエンジンがないことでデザインの自由度が高まる、などなど。たしかに改めてiを見てみると、とても未来的で個性的なデザインであることがわかると思います。これはエンジンをリヤに置いたから実現できたわけです。
理想のコンパクトカーを追求した画期的な発想
iの素晴らしいところは、軽自動車というよりも、理想のコンパクトカーとはどういうものか、を真剣に考えて生み出されたクルマだということです。既存のクルマとの共通点は何もないためシャシーもエンジンもすべて新設計。かなりコストが掛かったはずですし他車種への流用も未知数でしたが、それを実現させてしまった三菱自動車の英断はすごかった、と言えるでしょう。RJCカー・オブ・ザ・イヤーや日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞、グッドデザイン大賞など、数々の賞も受賞しています。
エンジンとガソリンタンクを外してモーターとバッテリーを搭載
そう、i-MiEVはこのiのエンジンとガソリンタンクを取り払い、代わりにモーターとリチウムイオンバッテリーを搭載することで、「EV化」したものなんですね。そもそもiの開発時にこれをEV化するという予定はなかったようですが、このリヤエンジンレイアウトが「EVベースにちょうどいい」ということで、後から急遽i-MiEVの開発が決まったということのようです。
速くて安定した走りは高級車のよう
i-MiEVのモーターの出力は普通の軽自動車と同じ64psですが、回転の最初から最大トルクを発生するモーターの特性を活かして、発進加速は驚くほどの速さ。重いバッテリーをボディ中央のフロア下に搭載しているので、どっしりと安定した走行感覚は普通の軽自動車とは明らかに異なり、振動と音の少なさも相まってちょっとした高級車のようです。
街中での移動なら十分な走行距離を実現
フル充電なら100km以上は走れますし、100V、200V、急速充電のすべてに対応していますから、家庭や出先でも簡単に充電できます。カーシェアのような、せいぜい数時間の使用くらいなら充電の心配をすることもないでしょう。バッテリーの消費が大きい高速道路はちょっと苦手ですが、街中や近所の移動には最適と言える1台です。
ボンネットがほとんどない独特の運転感覚
ユーティリティを見てみると、軽自動車だから定員は4名です。やや高めの運転席に座ると、大きく傾斜したフロントウインドウのすぐ下がクルマの前端という、ちょっと独特のドライビングポジション。最初は戸惑うかもしれませんが、見切りがいいので運転はとてもしやすいです。
空間系の軽自動車より室内スペースは狭い
欠点としては、室内空間の広さを謳う他の軽自動車に比べると、特に後席は狭く感じることです。ただ、乗ればこれで十分、というくらいのスペースはありますし、適度な包まれ感は却って高級さを感じさせるくらいです。床下にエンジンがあるのでラゲッジルームは床が高めですが、広さは十分。分厚い遮熱材が敷き詰めてありますので、エンジンの熱もほとんど伝わってきません。
軽ユーザーのニーズと合わなかったのが悲劇
残念ながらガソリンエンジンのiはクルマの素晴らしさとは裏腹に販売が芳しくなく、2013年に生産終了となりました。軽自動車のユーザーが求めるものは「安さと広さと燃費」ですから、iはやはりマーケティングを誤ったのかもしれません。悲しいことですが、日本の自動車マーケットでは、このようなクルマは評価されないのですね。
EVは健在!カーシェアで試してみよう
しかし、EVのi-MiEVは現在も販売されていて、タイムズカープラスやカレコ・カーシェアリングで借りることができます。あまり荷物が大きくない、近場の移動にというときに、一度借りてみてはいかがでしょうか。このほかにも、カーシェアの情報は、カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH(ドライブゴーサーチ)で調べてみましょう。
タイムズカープラスのi-MiEVが乗れるステーションはこちら
カレコ・カーシェアリングのi-MiEVが乗れるステーションはこちら