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バーチャルキーって何?
日本では、一部のカーシェアリングサービスなどに利用される以外には、それほど聞くことはありませんが、欧米では、自動車向けバーチャルキー対応車が常識的になろうとしています。
自動車向けのバーチャルキーとは、スマートフォンのアプリと通信回線や近距離無線通信を使用して、クルマの解錠や施錠、エンジンスタートなど通常のクルマのキーの機能を提供する新車向けコネクテッドサービスの一つです。
スマホが世界中に普及した今、あらゆるサービスのプラットフォームとなりつつあるスマートフォンですが、これからは、クルマのキーをわざわざ持ち運ぶことなく、スマホアプリからクルマの解錠・施錠、エンジンの始動もできる時代になります。
米国市場で普及が進むバーチャルキー
2019年の時点で、米国で販売されているクルマのほとんどはバーチャルキー対応車となっています。
VW・メルセデスベンツ・BMWなどのドイツのプレミアムブランドも、グローバルでバーチャルキーに対応したインフォテインメントシステムを標準搭載する動きが活発化しており、米国市場に続き欧州市場でも普及が進もうとしています。
このように、欧米市場を中心として、バーチャルキー対応車の台数は増加の一途をたどっており、2020年には3370万台に、2021年には4220万台に、2022年には5030万台にも拡大すると想定されています。
バーチャルキーの利用シーンとは
今の時代、スマホは私たちの生活のプラットフォームとなっており、ネットバンク、オンライントレード、買い物、などなど私たちの生活になくてはならない存在となっています。
クルマの世界でもスマートキーが登場しており、非常に便利なサービスが提供されていますが、このサービスをスマホアプリ経由で行うことができれば、もはや物理的なキーを持ち歩く必要がなくなります。
それでは、バーチャルキーが利用されるシーンにはどのようなものがあるのでしょうか。
カーシェアやレンタカー業務に
カーシェアの利用に不可欠なクルマのキーの受け渡しにおいては、ユーザーとクルマの所有者がコンソールボックス内に鍵を置くなどして受け渡しを行うか、特殊な通信装置を車両のCAN(車両情報を伝送するネットワーク規格)に直接接続することで鍵の開閉などを行っています。
対応車種の範囲、改造コスト、セキュリティ、原状復帰の手間、いずれも課題となっています。
バーチャルキーは、基本スマートキー対応の車種であればメーカーは問わずに導入が可能となります。
個人間カーシェア(P2Pカーシェア)を手軽に
欧米市場でバーチャルキーが普及している一つの理由となりますが、カルマのキーの受け渡しなどの有人対応がハードルとなる個人間カーシェアでは、バーチャルキーを利用することによりオンライン経由でキーの発行が可能となります。
日本の個人間カーシェアが伸びない理由として、有人対応の問題が指摘されていますが、バーチャルキーはこの問題を解決してくれるツールとなります。
個人間カーシェアが発達している米国市場では、トヨタやGM、ダイムラーなどの世界的な自動車メーカーが、積極的に個人間カーシェアリングサービス会社と連携しており、そこではバーチャルキーの利用は必須となります。
大量の社有車の管理に
どの営業マンがいつどのクルマを利用しているのか、車両管理者にとってクルマのキーの保管・管理は、非常に負担の大きな業務となっています。
バーチャルキーを利用することで、誰がどのクルマを利用したのか、配車管理がオンラインボードで可能となります。これが実現することで、複数の車両管理システムとの連携も可能になるでしょう。
また、バーチャルキーでは、走行中の位置情報の記録も可能となります。
個人利用でも便利なバーチャルキー
もちろん、個人の利用においても、バーチャルキーは非常に便利です。現在では、当たり前のように、スマホを財布代わりに利用したりしていますが、スマホが登場したことにより、腕時計をはじめ、財布やPCなどを持ち歩く必要性は薄れてきています。
ここに、クルマのキーまでスマホ経由で使用できるとなると、ポケットの中やバッグの中にはスマホだけというような時代になってしまいそうです。
当然ですが、こんな時代には、クルマのキーどころか、クルマ自体を所有することなく、カーシェアや個人間カーシェア、あるいは、サブスクリプションサービス、サイドシェアサービスなどを利用していることは言うまでもないでしょう。
日本市場でバーチャルキーが普及していない理由とは
バーチャルキーの利用は、私たち日本人にとっても非常に利便性の高いカーライフを提供してくれるものと思われますが、日本では欧米ほどにはバーチャルキーが普及していないという事実があります。
上記のように、日本では有人対応が必要となる個人間カーシェアリングサービスが普及していないという日本におけるカーシェア市場の特殊性があり、欧米ほど普及していないということが考えられます。
また、日本市場では、カーナビゲーションシステムの普及状況や、そもそも車で移動する距離が少ないこと、さらに、ロードサービスが充実しすぎていることから、コネクテッドサービスへの需要自体が低く、バーチャルキーも注目されなかったということがあります。
しかしながら、あおり運転や高齢者による交通事故問題などが社会問題化しており、これを解決する手段としてコネクテッドサービスが注目され始めており、その一環としてバーチャルキーが利用されてくる可能性は高そうです。
進むコネクテッドサービスとしてのバーチャルキー
バーチャルキーが単純に物理的なクルマのキーの代わりとなるだけなら、日本市場のようなすでに至れり尽くせりのサービスが提供されている市場では、そう簡単には受け入れられないのかもしれません。
しかし、前述のように、バーチャルキーはスマホアプリから利用することで、物理的なクルマのキーの代用ということにとどまらず、他の多くの問題解決や利便性を高めるサービスを実現させることができそうです。
EVや自動運転で驚いているようでは、これからはじまろうとしている次世代モビリティサービスにはついていけそうにないですね。クルマを持っていなくても、スマホアプリからいつでもどこでも運転できる時代が近づいています。
まとめ
欧米市場で普及するバーチャルキーですが、単に、物理的なクルマのキーの代わりというだけではなく、バーチャルキーというプラットフォーム上から様々なサービスを展開してくれる存在となりそうです。
そんなバーチャルキーは、まずはカーシェアリングサービスから普及していきそうですね。そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!