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AnycaとSOMPOホールディングスが提携?
DeNAとSOMPOホールディングスは2月28日、個人間カーシェア事業の合弁会社「DeNA SOMPO Mobility」とマイカーリース事業の合弁会社「DeNA SOMPO Carlife」を設立すると発表しました。
個人の所有するマイカーの稼働率は時間で約3%といわれており、クルマの空いている時間に個人間カーシェアリングサービスを利用して維持費を軽減したいというニーズは年々増加しています。
クルマの維持費が高額となる首都圏を中心にして、タイムズカープラスやカレコなどの事業者の提供するカーシェアリングサービス市場が急拡大しているところから見ても、このニーズは非常に大きいと思われます。
DeNAは、2015年9月から個人間カーシェアサービスの「Anyca」を展開し市場をけん引してきています。
Anycaの現状とは?
個人間カーシェアは大きな期待をかけられているビジネスですが、現状では、Anycaなどのサービスは期待されたほどの成長を見せていないというのが実情です。
タイムズカープラスやカレコなどの事業者の提供するカーシェアリングサービスと比較すると、正直なところは期待外れというところかもしれません。
前述のように、マイカーの時間利用率は3%ということで、空いている時間をクルマを借りたいという人に貸して維持費などを稼ぐというビジネルモデルは、非常に聞こえは良いのですが、どこに課題があるのでしょうか?
さまざまな課題が指摘されているのですが、その中でも最大の課題といわれているのが、自動車保険の問題です。
個人間カーシェアのメリットとして、レンタカーを借りるよりも圧倒的に安いか料金で利用できるというポイントがあるのですが、事業者の提供するカーシェアリングサービスとは異なり、自動車保険料金が高く、利用料金は安くても自動車保険まで加味するとそれほどのメリットはなくなってしまいます。
また、保険内容についてもいくつかの問題が指摘されているように、事業者の提供するカーシェアリングやレンタカーのように、ユーザーは安心して借りれないという問題があります。
つまり、Anycaとしては、損保大手との事業提携といいうのは、非常に好ましいものであるといえるのです。
SOMPOホールディングスの目指すものとは
損害保険会社ってどんな会社なのがご存知でしょうか?
保険会社とは、契約者から保険料を集めて、事故などの際に保険料を支払うビジネスということくらいは誰でもわかりますが、実は、保険料から支払われる保険料はそれほど多いわけではなく、長年積み上げられた保険料収入は保険会社の含み資産となっています。
街中に保険会社のビルがあったり、機関投資家として株式相場などでも有名です。つまり、保険会社って、すでに巨額の含み資産を持っていますので、ビジネス上のリスクをそれほど犯す必要性はないわけです。
ところが、今回の提携話は、実は自動車保険料という最大の収益源という意味からは、損害保険会社にとってはカーシェアなどが主流になるということは、最大の収益源である自動車保険料の大きな減収にもつながりかねない「諸刃の剣」ということもできるのです。
それでも、敢えて突き進むというところに、次世代のモビリティライフの大きすぎる変革を感じるとともに、SOMPOホールディングスが自動車保険の変革に先手を打ち、ビジネスモデルの転換を主導したいという思惑が見て取れます。
AnycaはDeNA SOMPO Mobilityが引き継ぐことに
Anycaは、新会社のDeNA SOMPO Mobilityによって引き継がれることになります。
スマホアプリを通じて、クルマの所有者と利用したい人を繋げるサービスで、クルマの所有者であるオーナーは利用者から利用料金を得られます。今後、SOMPOホールディングスの全国5万店の代理店網を使って、利用者の拡大を図ります。
また、両者はDeNA SOMPO Carlifeというカーリースの新会社も設立し、クルマを持っていない人に一定期間リースして、カーシェアのオーナー(貸し手)として登録してもらうサービスも6月から始めます。リースしたクルマを使わない時間他人に貸して、少ない負担でクルマを持つことが可能になる仕組みを作りたい考えです。
カーシェアによる収益が車両価格を上回ると期待される車種をリースしてオーナーになってもらい、オーナーは駐車場と車両貸し出しにかかわる作業を提供します。すでにクルマを所有している人には、新会社から毎月定額を支給するようにします。カーシェアのニーズが高い都市部から期間限定での提供を予定しています。
また、個人間カーシェアの問題点として指摘されることの多いクルマの受け渡しについても、利便性を高めるために2019年度からスマートデバイスを用意して、ドライバーはスマホで予約とドアロック解錠ができるようになります。
タイムズカープラスやカレコなどの事業者の提供するカーシェアリングサービスではすでに実現されている、非対面受け渡し方式を個人間カーシェアでも実現させる予定です。
これも新たなモビリティライフへの動きなのか
SOMPOホールディングスとしては、今回の提携について、自動運転の普及による事故の減少やカーシェアリングサービスの台頭で「保険の在り方や仕組みが変わる」という危機感を持っており、新しい分野に進出していかなければ、どんどん保険がなくなっていくという考えから、今回の提携に踏み切ったとしています。
自動車保険会社としての今回の事業提携には、最大の代理店であるディーラーとのビジネスモデルを自ら崩壊させるものという指摘もあります。
しかし、危機感を持っているのは損害保険会社のみならず、自動車メーカーやディーラーも同じです。
日本トップメーカーであるトヨタ自動車とモバイル大手のソフトバンクの事業提携を見ても分かるように、新しいモビリティライフは待ったなしという状況になっているのです。
そのような状況下、SOMPOホールディングスは損害保険業界の先陣を切って、新しい分野にチャレンジしたということに意味があるのかもしれません。
まとめ
期待されながらも伸び悩んでいるように見える個人間カーシェアですが、遂にAnycaが大手損保のSOMPOホールディングスと事業提携することになりました。
新会社が提供するサービスは、これまでとは大きく異なるようで、全く違った形の個人間カーシェアが提供されるようになるようです。まさに、カーシェア全盛時代が近づいてきているようですね!
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