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同乗者がクルマのドアを開けたらバイクが突っ込んできた!ドライバーに責任はあるの?

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急増するクルマとバイクの接触事故

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二段停止線ってご存知でしょうか?最近は見かけなくなりましたが、二輪車の大型車などによる巻き込み事故が多発したため、通常の4輪車の停止線よりも3~4mほど先に二輪車が停止できる線のことで、巻き込み事故防止の有効な手段として1990年ごろから全国に急拡大していきました。

ところが、平成28年度末の時点では、この二段停止線の設置がゼロとなっている都道府県が22もあり、ちなみに東京都の場合には、平成23年度には526か所もあった二段停止線は28年度末には何とゼロとなっていました。

お気づきの方も多いかもしれませんが、この二段停止線は二輪車のすり抜けを急増させることとなり、これにより二輪車のすり抜けを要因とする事故が多発することになったからです。世の中には多くある話でしょうが、良かれと思って取った交通政策が逆に裏目となってしまったという事例です。

 

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同乗者の開けたドアにバイクが接触、ドライバーの責任は?

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二段停止線が有効な手段ではなかったことは明らかなようですが、バイクによるクルマへの接触事故が急増しています。首都圏の道路などでもいわゆる「すり抜け」が横行しているのが実情で、右側ばかりか左側からも追い越していくバイクが非常に多くなっています。

バイクの場合には、スピードが出るばっかりに少しでも先に行きたいという行動に出てしまうのかもしれませんが、特に注意したいのが停車時のドア開閉時のバイクによる接触事故です。ドライバーがドアを開ける際には、ミラーなどで確認して開けることがほとんどでしょうから、それほど接触事故となる可能性も大きくなないでしょう。

問題となるのは、同乗者がドアを開閉する際で、運転免許取得者でミラーでバイクや自転車の確認をする習慣のある人の場合は事故を避けられるでしょうが、そうでない人の場合には確認無しにいきなりドアを開けてしまうこともあります。

お子さんがドアを開ける際には、親が「後ろを確認しなさい!」と注意することもできますが、同乗者が成人の場合には言わなくても確認するだろうと考えることもありますし、確認するように注意しようとする前に同乗者がドアを開けてしまったというケースもあるでしょう。

気になるのは、このようなケースでの責任の所在で、運転手にも責任が発生するのでしょうか?

 

原則的に自賠法の損害賠償責任が生じる

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結論から言うと、原則として、このケースではドライバー(運転手)に責任が生じる可能性があります。言ってみれば、クルマではドライバーは最高指揮官(船でいうなら船長)なわけですから、安全運転の責任を負っているわけです。つまり、ドアの開け閉めとは言え、クルマの運行となりますので同乗者のドアの開閉にも運転手であるドライバーは責任を持ちます。

正確には、クルマの乗り降りをするためドアを開閉する場合、運転車は後方の安全を確認して事故の発生を未然に防ぐ義務があります。そのうえで、道路でのクルマの右側ドアを開けるに際しては、後方からくる他の車両にドアを接触しないように注意する必要があります。

同乗者の行為が事故を発生させた場合の運転手の責任については、ドアの開閉もクルマの運行の一部であるとされるため、その運行により損害が発生したのであれば、原則的に「自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)」3条の損害賠償責任が生じます。

 

3つの免責要件の立証で免責となる

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確かに、運転手はクルマの運行に対する全責任を負うことになるというのは理解できますが、必ずしも運転手の責任とは言えないケースもあるはずで、そこのところを法律ではどう判断しているのでしょうか。

法的には、自賠法3条但書で3つの免責要件を立証することができれば免責になると書かれています。

1.自己がクルマの運行に対して注意を怠らなかったこと

2.事故は、第三者または被害者の過失によるものであること

3.クルマの構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

この3つの免責要件のうち、2と3は比較的立証しやすいものですが、1については「自己がクルマの運行に対して注意を怠らなかったこと」を運転手自身が立証する必要があります。これは非常に難しいでしょうね。

何故なら、運転にまったく関心のない人物や子供を同乗者として乗せていた場合には、運転に関心のないものが不注意でドアを開けてしまうことを予見しうる可能性があったとされれば、運行共有者として注意義務を尽くしたとは認められないからです。

逆に言うと、前述のように運転免許取得者のようなケースで運転に対して相応の知識や経験を有しているものが不注意でドアを開けた場合には、予見しうる可能性が必ずしもあったとは言えないということでしょう。

 

ドライバーは責任を問われる可能性が高く、しっかりと注意する必要があります

子供や運転に関心のない大人の同乗者が右側のドアを不注意で開けて、後方から来たバイクと接触した場合には、運転手であるドライバーは、自賠法により責任が生じる可能性が非常に高くなります。

従って、そのような同乗者を乗せている場合には十分な注意が必要だということになります。事故が発生した後では、3つの要件を立証することは難しくなりますので、事前に注意しておかなくてはなりませんし、特に子供の場合にはしっかりと言い聞かせておくか、それでもドアを開閉する可能性があると思うのであれば、右側には乗せないようにするべきでしょう。

大切なことは3つの要件を立証することではなく、未然に事故を防ぐためにはどうすべきかということですね。

 

カーシェアユーザーも注意したい二輪車との接触事故

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https://www.photo-ac.com/

ベテランドライバーになると、事故の経験の有無にかかわらず、このようなケースに出くわしているでしょうから、同乗者にも目が行き届きますし、特に子供などの場合には右側からはドアを開けさせないなど徹底して対策しているでしょう。

ところが、カーシェアユーザーの場合には、初心者ドライバーやたまにしか運転しないペーパードライバーも多くいますので、運転に集中していて同乗者のドアの開閉まで目が行き届かないということもあるでしょう。

短時間利用が中心ですから、現時点ではカーシェアでの事故は目立ちませんが、カーシェアの総ユーザー数はすでに130万人を突破しており、さらに、今後は長時間利用の二ーズも増えてくるでしょうから、首都圏の道路などでよく見かける二輪車のすり抜けと接触事故が発生するケースも増えてくると予想されます。

カーシェアでも、同乗者のドアの開閉には十分に注意しておくようにしましょう。

 

まとめ

同乗者が右側のドアを開けたらバイクが後方から突っ込んできた場合、ドライバーである運転手は自賠法により責任を問われる可能性が高くなります。ただし、3つの要件を立証することができれば免責となります。

カーシェアユーザーの中には、運転経験が少ないというユーザーも多くいますので、同乗者を右側に乗せる際には後方の安全を確認し十分な注意を払うようにしましょう。

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