もしも信号機が消えてしまったら
ここ数年、日本を襲う地震や大型台風などによる災害では大規模停電することも珍しくはなく、停電の影響で信号機が止まるということも多くありました。信号はあって当たり前でないという状況はなかなか想像しにくいのですが、災害などによる停電が発生すれば止まってしまう可能性は大きいのです。
信号が止まると大渋滞が発生する恐れもありますが、緊急時には警察官が信号機の代わりに手信号でクルマを誘導することになり、今年もそのような光景がいくつかの場所で見られました。ほとんどのドライバーはもはや忘れているかもしれませんが、手信号を改めて理解して災害に備えておきましょう。
日本における手信号とは
道路交通法によると、警察官、交通巡視員は手信号等(灯火、誘導棒による信号を含む)を用いて交通整理を行うことができるとされています。何らかの理由で信号機がない場合や、以前は交通の頻繁な場所においては日常的にみられる光景でした。現代では、停電などによリ信号機が止まってしまった場合に臨時的に行われます。
特に、必要がある場合には信号機が表示している信号と異なる手信号等を行うことができます。この場合には、信号機ではなく、警察官や交通巡視員による手信号を優先して従うことになります。
手信号による交通整理
赤信号・青信号
正面と背中が赤信号となり、身体の左右が青信号となります。
図で説明すると、腕を横に水平に挙げた状態で、
・横に水平に挙げた腕と同じ方向が青信号
・横に水平に挙げた腕に対面する方向が赤信号
黄信号・赤信号
身体の左右が黄信号となり、正面と背中が赤信号となります。
図で説明すると、腕を垂直に挙げた状態で、
・腕を垂直に挙げる前の状態の横に水平に挙げた腕と同じ方向が黄信号
・腕を垂直に挙げる状態の前の横に水平に挙げた腕に対面する方向が赤信号
ということは、警察官(交通巡視員)がドライバーから見て前や後ろを向いていたら(対面する交通、交差する交通)「赤」の意味になります。
右折の仕方
・警察官の指示に従って、交差点の中心部分までゆっくりと進みとまります。
・警察官から発信の指示が出たら、周囲の状況に気を付けながら右折します。
この場合の停止位置は、信号機がある場合と同じです。ただし、交差点以外の場所で横断歩道、自転車横断帯及び踏切がない場所にあっては、手信号を行う警察官の1メートル手前となります。
灯火(誘導棒)による交通整理
灯火を横に振っている状態で
・灯火が振られている方向と同じ方向の交通が青信号です。
・灯火が振られている方向と同じ方向と交差する交通が赤信号です。
灯火を頭上に挙げている状態で
・灯火を頭上に挙げる前の状態の灯火が振られていた方向と同じ方向の交通が黄信号です。
・灯火を頭上に挙げる前の状態の灯火が振られていた方向と同じ方向の交通と、交差する交通が赤信号です。
手信号も間に合わない場合には
災害時などでは、停電も突然やってきますので現実的には警察官や交通巡視員がいないケースも十分に考えられます。このような場合にはどう対処すべきでしょうか。交通量がそれほど多くない交差点であれば、通常の信号機のない道路と同じような感覚でも大丈夫かもしれませんが、一定量の交通量がある交差点ではそうもいきません。
このような場合には、速度を落として一時停止を徹底し、譲り合って進むことが重要となります。当然ですが、誰もが我先にと考えればすぐに渋滞してしまいますので、急がば回れで譲り合いが大切となります。
信号機の故障を発見した時
停電は災害時にばかり起こるとは限りません。普段運転している時に信号機が消えていたり、信号がいつまでも変わらなかったりするなど故障を発見した時には最寄りの警察署や交番に連絡しましょう。もちろん、110番通報で構いません。
警察ではすぐに修理業者に修理を依頼しますが、故障の内容や程度によっては時間がかかるケースもありますので、信号機が故障している交差点を通行する際にはスピードを落として一時停止を徹底し安全を確認して通行するようにします。
手信号と自動運転
日本では2020年の東京オリンピックに向けて自動運転化が官民一体となって進められており、2025年には夢の完全自動運転が実現する計画となっています。完全自動運転の時代には、信号機などのあらゆるネットワークとつながることで完全自動運転が可能となるわけですが、近年の災害などによる停電から信号機が止まってしまった場合にはどうなるのでしょう。
通常のネットワークであれば、冗長化構成などで極力被害を最小限に抑えることも可能でしょうが、完全自動運転ともなるとそうもいきません。停電と同時に、すべての自動運転も止まってしまうことになるのでしょうか。
現実的には、2025年から全国一斉に完全自動運転が始まるというわけでもないでしょうから、このようなケースでは飛行機の自動操縦から手動操縦に切り替えるような仕組みでドライバーが運転することになるのでしょう。
そんな中で、時価総額100兆円を突破したアップル社が秘密裏に進めている自動運転化技術の一部が公開されていますが、これによると、アップルではクルマに搭載されたカメラなどのセンサーを通じ、歩行者の中から交通整理する警官や警備員を識別して、さらにその人の出す手信号を認識する技術の開発に取り組んでいるようです。
センサーから得られたデータは情報処理部で解析され、クルマの近くや進行方向にある物体が歩行者なのか障害物なのかを調べ、歩行者の場合には交通整理をする人かどうかを判別する。交通整理員であれば、その人のゼスチャーや掲げる標識の意味を認識し指示に従って動作をするようです。
また、センサーから情報を受け取るばかりではなく、クルマ側からも交通整理員に対して指示を認識できたとLEDやディスプレイなどで示すアイデアも検討されています。
まとめ
免許取得の際には必ず勉強している手信号ですが、簡単な内容とは言え、ほとんどのドライバーが忘れてしまっているというのが実情でしょう。ここ数年、災害からの停電で信号機が止まることもありえますので、いざという時のためにも手信号の意味を再認識しておきたいところです。
また、手信号が間に合わない場合には、スピードを落として一時停止を徹底して安全確認の上で慎重に運転するようにしましょう。
カーシェアリングユーザーも停電時には手信号体験することもあるかもしれません。たまにしか運転しないユーザーもいざという時に慌てなくて済むようにしっかりと復習しておきましょう。
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