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東京オリンピック前に再び脚光を浴びる超小型EV
よく言えば、今見ても斬新なイメージで、まるでSFの世界の話が現実にやってきたようにも思える超小型EVのYouTubeですが、実は、この動画は5年前に作成されてものです。
2014年、すでにEV車は登場していますが、ここにさっそうと登場したが超小型EVでした。この動画については賛否両論というところでしたが、一定以上の関心がもたれることは間違いないと思われていました。
ところが、現在に至っても、ほとんど普及するには至っていません。EV自体がそれほど普及していませんので、致し方ないことでしょうが、ここにきて少しばかり事情が反消してきており、5年ぶりに再脚光を浴びようとしています。
モビリティサービスに対する概念に変化が
この動画は、今年の6月にアップされた最新の超小型EVのものです。それほど大きな違いは感じませんが、変わったのは、モビリティサービス対する世の中の概念です。
トヨタ自動車は、昨年末に「自動車メーカーからモビリティカンパニーへ変化する」ことを宣言しています。
この動きはトヨタ自動車だけのものではなく、世界的な自動車メーカーの多くは同様の戦略を持っており、クルマを作って販売するというビジネスから、必ずしも販売するだけではなく利用して楽しんでもらうビジネスモデルに各社がシフトしています。
ダイムラーの提唱する「CASE」がこのコンセプトの基本にありますが、「CASE」のEとはEVのことで、次世代型のモビリティサービスではEVがデフォルトとなることがほぼ確定しました。
この流れの中で、5年ぶりに注目を集め始めたのが超小型EVというわけです。
特に、日本市場に超小型EV普及の条件がそろってきた
世界的にも再注目されている超小型EVですが、特に、日本市場にて普及のための条件がそろってきています。
まずは、来年に控えた東京オリンピック・パラリンピックにむけて、障害者の方にも暮らしやすい街づくりというイメージで、首都圏中心に超小型EVが増えてきそうです。
また、連日のようにメディアが報道する高齢者の運転ミスによる交通事故問題の解決手段の一つとして、より安全性の高い超小型EVがお年寄りの足として活躍する可能性があります。
このように、既存のクルマに代わる移動体の需要が高まってきており、最終目的地点への超短距離移動「ラストワンマイル」を担う手段として、再び超小型EVが脚光を浴びようとしているのです。
復習!超小型EVの定義とは
超小型EVとは、軽自動車よりもさらに小さいサイズを意味し、1~2人の移動をサポートします。4輪だけではなく、3輪や車いす型のものもあるのが特徴です。
国土交通省による調査では、クルマの利用実態は距離10km以内が約7割、2人以下の乗車が8~9割を占めています。このラストワンマイルのニーズを超小型EVが満たすのではというのが自動車メーカーの戦略です。
また、小さいながらも可能な限りの室内スペースは確保されており、主な利用用途としては、買い物など日常の近距離移動や、近距離の巡回/訪問などの業務利用も想定されています。
国内各社の動向は
トヨタ自動車の来年販売予定の電動三輪バイク「i-ROAD(アイロード)」は前輪が2輪で転倒しにくく、最高時速60kmで屋根とドアもあり原付並みのサイズにクルマ並みの快適性と安全性を目指しています。
一般家庭用の100Vで充電可能で航続距離は約50km、普通自動車免許が必要となります。
また、トヨタでは、空港警備などで実証実験中の立ち乗り型も開発しています。「セグウェイ」などの2輪ではなく、ハンドルで操作する三輪で最高時速は約10km、航続距離は約14km、センサーで障害物を警告し自動回避できる安全機能もあります。
さらに、来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、足の不自由な人など誰でも乗れる車いすタイムも再来年の発売を目指しています。
日産自動車では、原付サイズで2人乗りの4輪EV「日産ニューモビリティコンセプト」を横浜のカーシェアリングなどで実証実験中です。(チョイモビヨコハマ)
ホンダでは、チェア型として開発する、車いすをさらに簡略化したような「3E-B18」をラストワンマイルの移動手段として登場させるようです。
超小型EVが普及してこなかった理由とは
そもそもEV自体がいまだ普及していないという事実はありますが、今後、新しいモビリティサービスが始まる中で、超小型EVが普及するための壁となっている問題もいくつかあります。
超小型EVはすでに10年ほど前から構想がスタートしており、冒頭の動画のように5年前から販売も開始されていますが、国土交通省によると、累計生産台数は約8500台(平成29年11月時点)というレベルです。
超小型EVが普及してこなかったのには、まず、安全基準を自動車よりも緩和したことからかえって手続きが面倒になってきていること、また、歩道での利用が前提の1人乗りでは法整備が追い付いていないという現状があります。
EV自体が普及しないまま、問題が先送られてきたという感じですが、ここにきて、EVのデフォルト化、高齢者の人口増からくる交通事故問題が社会問題化していること、来年のパラリンピック開催などの追い風が吹いてきたことから、急ピッチで普及のための対策が進んでいきそうです。
超小型EVもカーシェアリングサービスから
ここにきて急速に普及化に向けて動き出した超小型EVですが、とは言うものの、問題解決にはある程度の時間はかかりそうです。
そんな中、各社の思惑としては、まずはカーシェアリングサービスなどのサービスとして、超小型EVを普及に向けて進めていく計画のようです。
すでに、タイムズカーシェアなどでは、超小型EVが提供されていますが、今後は、ワンウェイサービスなどと絡んでカーステーションに多く設置されるようになるでしょうし、あるいは、人気化しつつあるレンタサイクルのように自治体が提供するということもありえるでしょうね。
カーシェアリングサービスで利用できる超小型EV
タイムズカーシェアでは、超小型EVのカーシェアでの実証実験「Ha:mo」を乗り捨て可能なサービスとして、都内7区の専用カーステーションで展開中です。
提供されているのは、トヨタ車体のCOMS(1人乗り)で、206円/15分からとベーシックタイプと同料金で利用可能です。
自宅近くにCOMSが置いてあれば一度試してみてはいかがでしょうか?
まとめ
軽自動車が普及しているのは、世界中探しても日本市場だけですから、超小型EVも日本を中心として普及していく可能性もあるのではないでしょうか?
筆者はセグウェイには乗ったことがあるのですが、残念ながら超小型EVはまだ運転したことがありません。まずは、カーシェアから普及してきそうなので、一度お試しで乗ってみたいところです。
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