東京オリ・パラに向けた自動運転構想
すでに自動車メーカーの中には、完全自動運転車が近く発売できると豪語するところも出てきていますが、日本では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、レベル4の実用化を目指す計画となっています。
もちろん、現時点では、レベル3までの自動車しか目にすることはできませんが、来年7月24日からの東京オリンピック・パラリンピックにレベル4の自動運転車は果たして間に合うのでしょうか?
日本のテクノロジーは、どこまで夢の自動運転化に近づくことができるのでしょう。1年を切った東京オリンピックにむけて、レベル4の自動運転化はどこまで進んでいるのか見ていきます。
自動運転のおさらい、レベル4とは
さて、日本政府が目指すレベル4の自動運転とは、どのレベルのものを指すのでしょうか?ここでもう一度おさらいしておきましょう。
まずレベル0とは、自動運転技術のないクルマのことで、現在のクルマの多くはレベル0となります。次に、レベル1とは、最近人気の「アイサイト」など衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーク)やオートクルーズコントロールのように加速減を支援するか、または車線維持のようにハンドル操作を支援するクルマです。
レベル2になると、高速道路など限られた条件下では「自動運転風」な運転も可能ですが、ドライバーは常にハンドルを握り、運転の全責任はドライバーにあります。
このレベル2までは、自動運転車とは呼ばずに、運転支援車と呼びます。
本格的な自動運転となるのはレベル3からですが、実はすでにレベル3の自動運転車は登場しています。身近なところでは、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)搭載のクルマがそうです。
レベル3は、カテゴリーとしては自動運転となりますが、運転中もドライバーは常に運転に戻れるようにしておく必要があり、つまり、あくまでも人が責任を負うということになります。レベル3とは、運転支援と自動運転の境目のレベルと考えるとわかりやすいかもしれません。
レベル4~レベル5の世界とは
そして、来年にも登場しそうなのがレベル4の自動運転です。レベル4になると、決められた条件下ではすべての運転操作を自動運転システムに任せることが可能となります。東京オリンピック・パラリンピックでは、例えば、選手村から競技場などのラストマイルにこのレベル4の自動運転バスが運行予定となっています。
現在、世界中のモビリティサービス事業者が次世代の主導権を握るべく、競争が繰り広げられているのがレベル5の完全自動運転車です。もはやSFの世界ですが、運転する必要がなくなりますので、運転免許証も必要なくなりますし、社会問題化している「あおり運転」や「高齢者運転ミスによる事故」問題もすべてなくなってしまいます。
誰のための自動運転車なのか
新しいテクノロジーは、私たちに利便性の高いサービスを提供してくれます。仮想通貨のブロックチェーンテクノロジーは、国際送金を安価に、かつリアルタイムで実現します。これによって、自国の通貨や銀行が信用できない地域の人々は大きな恩恵を受けるでしょう。
同じように、自動運転テクノロジーとは誰のためのものなのでしょう?確かに、完全自動運転が可能となると、走行中に仕事したり、休んだりすることもできるでしょう。また、運転手不足のタクシー業界などでは重宝されると思われます。
また、東京オリンピックというよりは、むしろパラリンピックに向けてということなのでしょうが、運転したくても運転できない障害を持つ方々、或いは、日本をはじめ多くの国が直面する高齢化対策として期待されます。
ただし、世の中には運転好きの人や、運転を楽しんでいる人も少なくないはずで、このような人たちにとってはレベル4からのテクノロジーは必要性があるのかどうかは疑問です。
つまり、完全自動運転であるレベル5に行くには非常に多くの諸問題が残されているようで、簡単には実現できないのかもしれません。けれど、レベル4限定で考えると早そうですね。
東京オリ・パラ直前の来年7月に実証実験
そして、遂に東京オリンピック・パラリンピックに向けた日本では初となるレベル4の実証実験が発表されました。
2019年9月5日、内閣府は、限定区域内での完全自動運転となる「レベル4」相当の大型バス自動運転の実証実験を、東京オリンピック・パラリンピック直前の来年7月に一般顧客を乗せて公道で行うと発表しました。信号機など道路側のデータを活用して制御する「インフラ協調型」の実証が主眼となります。
ルートは、羽田空港国際線ターミナルから、京急・東京モノレールの天空橋駅を循環する全長約4km、専用レーンが設けられますが、交差点では一般車両と合流します。実証実験期間中に約7,000人の利用が見込まれます。
このルートは、首都圏では比較的すいている道路となります。首都高が並行してありますので、多くのクルマは首都高を利用しています。また、歩行者や自転車も少ないです。実証実験を行うにはもってこいのルートといえるでしょう。
実際、オリンピック・パラリンピック開催中には、ただでさえ交通量の多いところに、さらに交通量が増えるわけですから、いきなりレベル4の自動運転といってもそう簡単なことではないと思われます。ただ、メンツにかけても限定されるでしょうが、レベル4のバスが登場することは間違いなさそうですね。
トヨタの新型「MIRAI」登場!
レベル4のバスに利用されるのは、トヨタの「e-Pallete(東京オリンピック・パラリンピック仕様)」となりますが、これ以外にも、会場内を行き来するEV「APM」が200台ほど投入される予定です。
さらに、これを楽しみにしている人も多いのかもしれませんが、トヨタのFCV(燃料電池車)の「MIRAI」が約500台投入されることになります。トヨタからは計850台ほどのEVと500台のMIRAI、合わせて約1,350台のCO2を排出しないクルマが提供されます。
充電時間というEV最大の問題をクリアしているFCV「MIRAI」には頑張ってもらいたいところですね!
まとめ
東京オリンピック・パラリンピックまでいよいよ1年を切ってきました。自動車ファンとしては、レベル4の自動運転がどこまで実現されるのか気になるところですが、オリンピック・パラリンピック直前とは言え、実証実験が発表されましたので、本大会では遂にレベル4の限定エリアでの完全自動運転車が公道を走る姿を目にすることができそうです。
また、大量のEV、FCVも活躍することになりますが、大会終了後には、カーシェアなどのサービスとして提供されることも期待したいところです。
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