クルマの税金とは
日本人の多くは、源泉徴収制度という世にも類まれな優秀な(国家にとって)システムにより、自営業など自分でビジネスをやって自分の手で税金を支払う習慣がない人の場合には、世界の中でも非常に税金に対して寛容な民族だといわれています。
そのせいか、日本では脱税というと非常に悪質な犯罪であるかのように言われてしまいますが、本来、脱税か節税かという問題は考え方の違いにもよりますので、よほど悪質な脱税(?)以外は当たり前のように考えられている国も多く存在しています。
さて、クルマについても同様で、クルマに税金がかかるというと、購入時に発生する税金と毎年排気量によって定められた税金を当たり前の存在として考え、徴収される際にも当然の義務として何ら疑うこともなくほとんどの人が支払っています。
果たしてそこには何ら疑問を生じる部分もないのでしょうか?
不条理にも感じるクルマの税金
クルマの税金には実は9種類もあり、中には同じような趣旨で2重課税ではといいたくなるような税金や、既に課税根拠を喪失したようなものもあります。特に、複数台保有する地方などでは大きな負担となっていますが、税金に対する意識が希薄な日本では、それほど問題視されることもほとんどありません。
しかしながら、9種類の税金を一つ一つ吟味していくと、自動車税に対する疑いを強く持つことになります。自動車税に対するいくつかの疑問点について考察してみます。
課税根拠をなくした自動車重量税
自動車重量税とは、「受益者負担」という発想に基づいて、道路特定財源という道路整備のためだけに使用する税金として始まりました。ところが、平成21年には道路特定財源から使途を限定せずに使用できる一般財源に切り替えられました。
つまり、すでに課税根拠をなくしているにもかかわらず、自動車重量税は一般財源として残されているのです。
ガソリン税にも消費税が、これって2重課税ではないの?
クルマの燃費を気にする人は多いでしょうが、ガソリン代にもレシートをよく見てみると消費税がかかっているのに気づきますが、すでに課税されているガソリン代にさらに消費税がかかるというのは2重課税といわれても仕方ないのではと考えられます。
純粋なガソリン価格に消費税が掛かることに文句を言う人は少ないでしょうが、税金部分にも消費税が課せられているというのは納得がいきません。
いまだに残る旧暫定税率
クルマのユーザーがガソリンスタンドで給油する際に支払うガソリン代の約4割はガソリン税となっていますが、このガソリン税は本来の税率ではなく、本来の税率よりも高い旧暫定税率が使用されており、この差額については、緊急の道路整備に使う目的で、当分の間は本来の税率に上乗せられたままとなります。
旧暫定税率により、本来の税率に上乗せられているのはガソリン税だけではありません。自動車取得税、自動車重量税。軽油引取税にも税率が上乗せされており、本来の約2倍の税率となっています。
国際水準でみる日本の自動車税
クルマの税金が不条理感満載なのは理解できたかもしれませんが、本当に税金が高いのかどうか国際水準で見た場合にはどうでしょう。
日本自動車工業会がまとめたデータを見ると、180万円のクルマを購入して廃棄されるまでの平均年数13年で試算したものを見ると明らかで、自動車税だけ見ても先進国では断トツの数字となり、2位の英国の1.8倍、税率の低い米国と比較すると23.3倍、フランスに至っては税率ゼロという状況で比較することができません。
日本は消費税が先進国の中では低いからという指摘もあるでしょうが、諸外国の消費税である付加価値税と比べると確かに安いものの、その分は自動車取得税と自動車重量税がかかりますので、それほどの違いがあるわけでもありません。
結論から言うと、日本の自動車税は先進国の水準では際立って高いものとなっており、税金が安い分メリットがあるといわれる軽自動車でやっと先進国と同レベルの水準というところです。
また、実際にクルマを保有する場合には、これだけではなく高速道路代、自賠責保険、任意保険、リサイクル料金、整備点検費などが別途必要となりますので、日本でクルマを保有するということがいかに非効率であるかということが理解できます。
少なくとも、現在の税制が続く限りは、クルマは所有するものではないということは数字の上では一目瞭然というところで、不動産と同じで所有するよりも賃貸で利用したほうが断然お得ということになっています。
税制から見たカーシェアの優位性
ここ数年で急成長したカーシェアリングマーケットですが、その要因には、駐車場代の高騰による維持費の高騰や時間貸し駐車場がカーステーションとなることによる利便性の高さが強調されていますが、こうしてみると、間違いなくもう一つ「国際的に高すぎる自動車税」がカーシェアの価値を高めていることが分かります。
現実的に、日本の四輪新車販売数は1995年の780万台から2016年には490万台へとシュリンクしており、バブルの崩壊による収入の減少という問題もありますが、それ以上に日本の新車市場を小さくしているのは自動車税制ではないのかと疑いたくもなります。
この傾向は、首都圏よりもむしろ税制的には厳しくなる地方においても顕著となり、首都圏ではカーシェア事業者によるカーシェアリングサービスが急成長しましたが、地方でも、カーシェアあるいは相乗りマッチングサービスなどが成長する可能性は十分高いと考えられるでしょう。
2025年に向けた官民一体の完全自動運転化はこの傾向をさらに進めていくことになるのかもしれませんが、首都圏の高い駐車場代や先進国最大の高い自動車税はますます日本ではクルマは所有するものではなく、利用して楽しむものに変化させていくことになるでしょう。
まとめ
源泉徴収制度のおかげで、税金には比較的無頓着な日本ですが、実は先進国の中では異常に高い自動車税を支払っており、高い駐車場代金とともにクルマの維持費を高めることになっています。
駐車場代が高く、このままの自動車税が続くとすると、モビリティライフはさらに変化していくことになり、カーシェアや相乗りマッチングサービスなどがさらに普及していくことが予想されます。
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