100年に1度の大変革時代の到来
18世紀には蒸気機関を用いた蒸気自動車として登場し、19世紀にはイギリスやフランスで都市間を移動するためのバスとして利用されるようになっていた自動車は、19世紀後半、オーストリアやドイツでガソリン自動車として生まれ変わり、さらにはアメリカのヘンリー・フォードもガソリン自動車を開発することで、本格的な自動車産業がスタートします。
20世紀は自動車産業の時代ともいってよいくらいに、主要産業として成長し、世界的な自動車メーカーが各国に登場します。アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、そして日本と世界的な自動車メーカーの時代が続くことになります。
しかし、21世紀に入ってからは、すでに世界最大の経済大国であるアメリカでは、自動車メーカーの時代から、Apple、GoogleなどIT産業の時代に移行しています。日本では、いまだにトヨタ自動車がナンバーワン企業のままですが。
IT産業の発展は自動車業界にも大きな影響を及ぼすようになり、ここにきて自動車業界は100年に1度の変革期を迎えているといわれています。
つまり、もはや自動車製造メーカーとして生き残ることは非常に困難な時代に入り、モビリティカンパニー、あるいはモビリティプロバイダーに転換していくことを自動車メーカーは余儀なくされているようです。
日本の自動車業界
前述のように、日本ではいまだにトヨタ自動車が最も大きな利益を上げている企業のままであり、アメリカのようなIT産業は残念ながら大きな伸びは見せていません。
日本の自動車業界は、トヨタ、日産、ホンダをはじめとして、その品質の高さや燃費の良さから、世界中で売れまくることになり自動車大国日本とまで言われるほどに成長します。もともと、巨大な国内市場がある上に、海外でも爆発的に売れましたから、日本の自動車メーカーは一つに時代を作ったといっても過言ではないでしょう。
しかしながら、ここ数年はトヨタが好調である以外は、日産は本業以外のところで世間を騒がせることになっていますし、ホンダはF1 撤退後、戻ってきてようやく1勝上げたものの、若干地味な存在のままという状況です。
HONDAは生き残れるのか
カリスマ創業経営者の元で、トヨタ、日産と並んで世界的な自動車メーカーとなったホンダ(HONDA)ですが、以前のような輝きは失せており、「ホンダはどうしたの?」と言われるほどに、全く地味な存在となり果てています。
言い過ぎかもしれませんが、以前は、ホンダといえば、シビック、アコード、プレリュード、NSXなどすぐに思い浮かぶ車種をそろえていましたが、最近は「?」という感じで、軽自動車のN-BOXが好調な以外は、トヨタは言うに及ばず、最近では日産にも及ばないという感じです。
バブル時代には、株式会社日本ともささやかれていましたが、その中心をなしていた電器産業の没落ぶりは悲惨ささえ覚えますが、日本という国の代名詞でもあった自動車産業もトヨタ以外は生き残ることさえ難しい時代に入っています。
一世を風靡したHONDAは100年に1度の大変革期の中、生き残っていけるのでしょうか?
ホンダの現状はどう?
以前と比べると地味な存在になったとは言いましたが、言い換えると、堅実経営を続けているということかもしれず、N-BOXをはじめ、プリウス、アクア、ノートe-powerの陰に隠れながらもフィットも売れていないわけではありません。
事実、ホンダの経営状態は決して悪いわけではありません。2019年5月8日に発表された3月期の連結決算では、売上高は前期比3.4%増と史上最高を記録しています。しかしながら、販売数は伸びているものの営業利益は12.9%減、当期利益に至っては42.4%も減少しています。
以前から指摘されていることですが、ホンダは四輪車部門の収益が全く回復しておらず、アメリカ、中国は黒字ですが、ヨーロッパは赤字で日本はトントン、つまり自動車部門では収益はゼロという状況で、営業利益の50%は東南アジアの二輪車部門で稼ぎ出しているのです。
かつては、日本でもトップクラスを誇ったホンダの技術開発力は、存在感を失っている状況なのです。
自動車メーカーとしては、ホンダは単独で生き残れないという状況ではありませんが、100年に1度の大変革期を迎えている時代に、トヨタ自動車のように単独でやっていけるかどうかは非常に難しく、日産、三菱、マツダ同様に業界再編の波に飲み込まれて、外資との提携が必要になる可能性は高そうです。
ホンダと組める外資とは
2019年5月25日、ヨーロッパの複数のメディアは、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がルノーに経営統合を提案した、と報じました。ルノーもこれに、「前向きに検討する」と応じたといわれます。
FCAとはジープやアルファロメオなど人気のブランドを多く抱えています。この統合が実現すれば、ルノーと提携している日産自動車、三菱自動車も合流する可能性もあり、そうなると年間新車販売台数がおよそ1500万台を超えるという、フォルクスワーゲングループを抜いて世界最大規模の自動車会社グループの誕生となります。
100年に1度といわれる大変革期に向けて、単独ではとても生き残れないということから、世界の自動車業界では業界再編の真っただ中という状況です。
日本においては、トヨタは単独で生き残っていくだけの力は有しますが、それ以外の自動車メーカーはこれらの再編の渦に巻き込まれることになるでしょう。
とは言え、ホンダレベルの規模の会社と提携可能な企業は限られることになります。ホンダの時価総額は現在約5兆円ですが、3分1の株式を集めるためには1兆6500万円ほどが必要となります。
現時点での可能性ということで考えると、これだけのお金を出せるのは中国の自動車メーカーに限られそうです。実際、ホンダは中国の広汽集団と合弁企業を立ち上げています。広汽集団や東風当たりなら資金力は問題なさそうですし、ホンダは非常に魅力的な存在として見られるのではないでしょうか?
まとめ
いつの間にか、地味な存在の自動車メーカーとなってしまったホンダですが、そういえば、ホンダは自動車メーカーとしては先陣を切って「EveryGo」というカーシェアリングサービスを開始していますが、まだまだ地味な存在です。
本気でやってる感はそれほど感じられず、既存の大手3社のカーシェアリングサービスを片手間でホンダがやっているという感じです。自動車メーカーのカーシェアリングは横並びで似たようなかんじですが、後発となる日産のe-シェアモビやTOYOTA SHAREのほうが、目立ってきている状況です。
かつては、トヨタに迫る勢いのあったホンダのこれからに注目したいところです。そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!