違反者講習の対象者とは?
できれば受けたくはないものの、受講することで何かとメリットのある違反者講習とは、平成10年10月1日の道路交通法の一部改正によって始まった制度で、本来なら「30日間の運転免許停止処分」の対象となる「累積点数が6点」に達し、所定の基準に該当する方が受講できる講習のことです。
早い話が30日間の免停処分を受けるべき人が処分軽減を目的として受講する講習のことですが、誰でも受講できるというものではなく、所定の基準に該当する方だけが受講できる資格を有します。
所定の基準とは、
・過去3年以内に行政処分歴(免許停止・免許取り消し)がないこと。
・処分の基準点に達する違反行為を行っていない。
・軽微な違反行為(1~3点の違反行為)で累積点数が6点になった人。
この3つの条件すべてに該当する方が違反者講習の対象者となります。
対象とならない人とは、
違反者講習とは、1~3点の軽微な違反行為の累積が6点になった人が対象となりますので、いわゆる「一発免停」で6点になるような違反行為(酒気帯び運転・速度違反など)を起こした方は対象外です。
過去3年以内に停止処分歴、または違反者講習受講歴がある方は対象外です。
軽微な違反行為による累積点数が7点以上になった方は対象外です。
違反者講習に該当する方には、公安委員会より配達証明付きの「違反者講習通知書」が郵送されますので、この通知書を受け取ってない方は対象外です。
違反者講習には受講期間がある!
違反者講習は、自分の都合でいつでも受講可能というわけではありません。「違反者講習通知書」は公安委員会から配達証明郵便で郵送されてきますが、受講可能な期間は原則として「違反者講習通知書」を受け取った翌日から1か月間となっています。
期間中にやむを得ない理由(海外旅行、病気・負傷、災害、逮捕・拘束等)がある場合には問い合わせをしましょう。やむを得ない理由に該当するケースでは、そのことを証明する書類等を提出することによって、その期間を除いた通算1か月以内に受講することができます。
講習内容と講習手数料
実車による安全運転講習や交通安全活動体験講習など4つのコースがあります。
・当日体験コース(1日コース)
当日体験コースとは、運転車教育課で実車による安全運転講習(3時間)を含むAコース(講習料:13,800円)と交通安全活動体験講習(2時間30分)を含むBコース(講習料:9,800円)があります。いずれも、プロジェクターを使用した講習(3時間)と考査(30分)があります。
・事前体験コース(2日間コース)
事前体験コースとは、指定講習日以前に交通安全活動を体験する予約制のコースです。地域交通安全活動推進委員協議会の活動を体験するCコース(講習料:9,800円)と社会福祉協議会の交通安全活動を体験する(都内の協議会で現に活動している人限定)Dコース(講習料:9,800円)があります。
こちらも、プロジェクターを使用した講習(3時間)と考査(30分)が含まれます。
※この場合の交通安全活動体験とは、交通安全に関するボランティア活動であることがほとんどとなります。
違反者講習のメリットとは
講習料はそれほど安くはありませんし、4つのコースいずれも6時間ほどの拘束時間がありますが、実は、この違反者講習には3つの大きなメリットがあり、このメリットを享受したいがために該当者の大半はこの違反者講習を受講することになります。
行政処分(免許停止処分30日間)が課されません
これが最大のメリットとなるでしょうが、この講習を受講することで何と行政処分(30日間の免許停止処分)から免れることが可能となるのです。
行政処分前歴はつきません
行政処分歴の回数によって免停になる点数、免停期間、免許取り消しになる点数が異なってきますので、行政処分の前歴が残らないことは、これもまた非常に大きなメリットとなるでしょう。
違反者講習の対象となった点数(6点)は、以後の違反に累積されません
さらに、今回の違反者講習の対象となった点数(6点)は、その後の違反には合算されないというのですから、受講することで何もなかったような状態に戻すことができるということです。
※ただし、違反者講習を受講したとしても、優良運転者にはなりません。
それでは仮に受講しなかった場合にはどうなるのでしょうか。
違反者講習を受講しない場合には、まず、通常通りに行政処分(免許停止処分30日間)を受けることになり、停止処分者講習(処分期間が短縮となる講習)を受けることもできません。さらに、違反者講習の対象となった点数以外に違反がある場合には、処分が加重(30日間)されます。
通常、クルマを運転している人であれば、わずか6時間余りの拘束時間と受講料9,800円~13,800円)を天秤にかけた場合には、よほど忙しくて時間が取れないという人を除けば、受講しないという選択肢はないと思われます。ただし、受講可能な期間には限りがありますし、事前体験コースの場合には予約が必要であったりしますので、内容をしっかりと把握しておくようにしましょう。
カーシェアリングユーザーの場合には
カーシェアリングユーザーの場合にも、万が一、違反者講習の該当者となった場合には是非とも受講するようにしたいものです。カーシェアユーザーの中には、たまにしか運転しないという人も多く、そうなると受講料と拘束時間までかけて講習を受けることに「ちょっと待てよ」と考える人も出てくるかもしれません。
しかしながら、上記のように違反者講習のメリットはカーシェアユーザーにとっても大きなメリットとなるものばかりですから、違反した義務と考えて受講するほうが良いかもしれません。
また、違反者講習を受けなかったばかりに、その後の免許停止処分30日間にどうしても運転する必要がでてきて運転したところ、通常ではありえないようなことから検挙されてしまったりします。実際に、免停中に検挙されて免許取り消しとなる人は非常に多くいますので、言うまでもありませんが免停中には絶対運転してはいけません。
ところが、カーシェアの場合には、免停中であったとしても、その事実をカーシェア事業者のほうでは把握できませんので、サービスが通常通りに利用できてしまいます。免許取り消されている人の多くは、少しくらいなら大丈夫だろうと思って違反していますので、くれぐれも注意しておきたいところです。
まとめ
できれば、「違反者講習通知書」は受け取りたくないものですが、万が一にも該当することになった場合には、是非この講習を受講するようにしたいものです。誰もが受けられる講習ではありませんが、大きなメリットを享受することが可能ですから、該当者である場合には是非受講するようにしましょう。
カーシェアリングやライドシェアなどの普及により、今後は、これまでと違う形でクルマを利用する人が増えてきますが、万が一に備えて違反者講習についてもよく理解しておきたいところですね。
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