タイムズカーシェアの独占状態は変化するのか?
自称カーシェアヘビーユーザーの筆者は、2012年に自宅横の時間貸し駐車場がタイムズカーシェアのカーステーションとなったことをきっかけに、マイカーを売却しカーシェア生活をはじめて7年ほどとなります。
この間、他車に浮気することなくタイムズカーシェアをずっと利用しています。その理由は、サービスに満足しているということもありますが、何といってもカーステーションの場所です。
自宅から徒歩1分のところにありますので、イメージ的には自宅駐車場を利用しているのとほぼ変わりません。
おそらく、筆者と同じような理由からタイムズカーシェアを利用している人は多いのではと思われますが、タイムズカーシェアの強みは他社と比べた場合の圧倒的なカーステーション数といえるでしょう。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、2019年3月時点での日本全国にあるカーシェアのステーション数は17,245か所となっています。
1位:タイムズカーシェア11,745か所
2位:カレコ:2,102か所
3位:オリックスカーシェア1,790か所
4位:NISSANe-シェアモビ514か所
5位:カリテコ(名鉄協商カーシェア)337か所
タイムズカーシェアの運営元のタイムズモビリティの公式サイトでは、2019年8月時点で18,500か所まで増えています。
つまり、国内カーシェアの最大のポイントとなるカーステーションについては、タイムズカーシェアが圧倒的優位性を持っているのです。
この数値が大きく変化しない限りは、タイムズカーシェアの独占状態が続くであろうと予測されていました。
満を持して登場したTOYOTA SHARE
国内カーシェアリング市場は、カーステーションが鍵を握っているといえるほど重要であり、この問題を解決する力を持つ企業の参入でもない限りは、新規参入が困難であると考えられていました。
しかも、利益率もそれほど大きくないという現実があります。
ところが、100年に1度といわれる自動車産業の大変革期が、この問題を一気に飲みこもうとしています。時代は、クルマを所有する時代から利用して楽しむ時代へと変化しつつあり、日本を代表する大企業であり、かつ、世界販売台数ナンバー1のトヨタが満を持してカーシェアリング市場に登場してきたのです。
昨年末に、「自動車メーカーからモビリティカンパニーへ変わる」と宣言していたトヨタですが、サブスクリプションサービスである「KINTO」、そして2019年10月28日にはカーシェアリングサービス「TOYOTA SHARE」を全国展開しました。
タイムズカーシェアとTOYOTA SHARE比較
10月28日にリリースされたTOYOTA SHAREを意識したというわけではないでしょうが、消費税10%導入の10月1日より、タイムズカーシェアは、料金改定を行ってます。
この料金改定は、当初は増税分に対して行われるのかと思われていましたが、蓋を開けてみたら大幅な料金改定となっており、とりわけ料金プランが大きく変わっています。
タイムズカーシェアとTOYOTA SHAREを比較してみました。
利用料金
最安値料金を比較してみました。
TOYOTA SHARE(※1) |
タイムズカーシェア(10/1~) |
|
ショート(15分~) |
150円~(200円~) |
220円~ |
6時間パック |
3,080円~(3,800円~) |
4,290円~ |
12時間パック |
4,270円~(5,300円~) | 6,490円~ |
24時間パック | 5,511円~(6,800円~) |
8,690円~ |
36時間パック |
― | 11,990円~ |
48時間パック |
― |
14,190円~ |
72時間パック |
― |
20,240円~ |
ナイトパック | ― |
2,640円~ |
距離料金 |
11円~(6時間超の場合) |
16円(6時間超の場合) |
安心補償パック | 330円 |
330円 |
※1 タイムズカーシェアはベーシック、TOYOTA SHAREはコンパクトカーの利用料金です。TOYOTA SHAREの利用料金はCasualと(Basic)に分かれており、Basicの場合には現行モデルの新しい車両で衝突回避支援パッケージ(Toyota Safety Sense)が搭載されています。
自動車メーカーのカーシェアリングサービスとしては、すでにホンダや日産から提供されていますが、後発組の自動車メーカーのカーシェアでは、既存大手3社(タイムズカーシェア・カレコ・オリックスカーシェア)よりも安い利用料金となっています。
TOYOTA SHAREもタイムズカーシェアとの比較で分かるように、後発組として、安い利用料金で提供されています。
ただし、この比較表は最安値料金の比較で、TOYOTA SHAREの利用料金は少々複雑な料金体系となっていますので、実際はもう少し差は小さくなります。(※1参照)
TOYOTA SHAREでは、長時間利用は24時間パックまでしか提供されていません。その分、距離料金も11円から最大14円とお安く設定されています。
レンタカーとカーシェアの融合が進められていますが、カーシェアは短時間利用に特化するような形になるのかもしれませんね。
ステーション設置数
上記のように、タイムズカーシェアのステーション数は8月に時点で18,500か所以上と公表されています。これに対して、トヨタは始まったばかりですが、トヨタ販売店系列を中心とする109か所からのスタートとなります。
現状では比較するような問題ではないでしょうが、日産e-シェアモビがすでに500か所以上のステーションを設置していますので、トヨタならそれ以上、あるいは、カレコ、オリックスカーシェアクラスのステーション数を設置するのそれほど難しいことではないでしょう。
提供される車種
長年タイムズカーシェアを利用している筆者としては、正直タイムズカーシェアで提供されている車両は古くなったクルマが多いと感じています。
ここ数年で急成長しましたので致し方ないことかもしれませんが、サービスが開始されたころと比較すると劣っています。(最近は少々よくなりつつありますが・・)
これに対して、TOYOTA SHAREではCasualとBasicに分けられており、Basicを利用すると現行モデルの比較的新しいクルマが利用可能となります。
個人的には、トヨタが大量生産しそうな小型EVや燃料電池車(FCV)MIRAIが導入されるようになると、国内カーシェア市場も激変する可能性があるのではと思いますが、今後に期待したいところです。
まとめ
断トツシェアを誇るタイムズカーシェアのライバルとなるのではと期待されるTOYOTA SHAREが、2019年10月28日から全国で展開されています。
ステーション数に大きな差がありますので、今比較する必要もないのかもしれませんが、国内カーシェア市場が大きく変化するきっかけとなるのは間違いなさそうです。
私たちユーザーとしては、さらに便利になるカーシェアリングサービスを期待したいところです。
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