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2018年の世界の自動車販売動向から見えてくる、各自動車メーカーの戦略と新しいモビリティサービス

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2018年世界の自動車販売動向

PEXELS

日本の自動車メーカーは、国内における新車販売台数については伸び悩んでいますが、海外市場では非常に好調で、結果として、好調な業績となっています。

日本国内においては、少子高齢化や若者のクルマ離れ問題、特に首都圏などにおけるマイカーの維持費の高騰などにより、今後爆発的にクルマの販売台数が伸びることは難しいところです。

これに比べる海外市場では、相変わらず人気の高い日本車ですが、2018年の世界の自動車販売動向はどうなっているのでしょう。

2018年における全世界の自動車販売台数(ガソリン車やEVなどすべて含む)はおよそ9300万台となっています。国別でトップ10を見ていきます。

  • 中国 2800万台(約30%)
  • アメリカ 1780万台(約19%)
  • 日本 530万台(約6%)
  • インド 440万台(約5%)
  • ドイツ 380万台(約4%)
  • 英国 270万台
  • フランス 270万台
  • ブラジル 250万台
  • イタリア 210万台
  • カナダ 200万台

人口比率から言うと、日本も意外と悪くないということになりますが、販売台数という点からは中国の2800万台という数字は全世界の約30%のシェアを占めており、その動向は新しいモビリティサービスへも大きな影響を与えることになります。

ちなみに、メーカー別では以下のようになっています。

  • フォルクスワーゲングループ 1040万台
  • トヨタ自動車グループ 1000万台
  • GMグループ 870万台
  • ルノー・日産自動車グループ 860万台
  • 現代・起亜自動車グループ 700万台
  • フォードグループ 560万台
  • 本田技研工業 530万台
  • FCA 460万台
  • PSA 360万台
  • スズキ 320万台

ちなみに、日本でも大人気の高級輸入車のベンツ(ダイムラー)は11位、BMWは12位となっています。10位のスズキは軽自動車ですから、売り上げという点では、ベンツやBMWが大きく上回ります。

Audiはフォルクスワーゲングループですから、実質的にはトヨタ自動車単独では世界で一番売れているといえるかもしれません。

 

2018年世界のEV販売動向

https://www.tesla.com/jp/presskit

次世代のモビリティサービスではデフォルトとなることがほぼ確定しているEVの販売動向はどうなっているのでしょうか。

2018年の全世界におけるEVの販売台数は約128万台と、まだまだシェアは小さいところです。

  • TESLA 227,666台
  • 北京汽車(BAIC) 149,846台
  • 比亚迪汽車(BYD) 103,263台
  • 日産自動車 93,034台
  • 奇瑞汽車(Chery) 62,112台
  • 安徽江淮汽車(JAC) 50,905台
  • 華泰汽車(HAWTAI) 49,535台
  • ルノー 46,172台
  • 江鈴汽車(JMC) 44,422台
  • 帝豪(Emgrand) 38,910台

1位のTESLA、4位の日産自動車、8位のルノー以外はすべて中国の自動車メーカーとなっています。これは、中国政府による多額の補助金制度がその大きな要因となっています。

つまり、次世代のデフォルトと目されているEVですが、補助金目当てで急増している中国市場以外では、実はそれほど普及していないということになります。

世界のEV市場の現状は、TESA、日産自動車はさておき、ルノーはお国柄から環境保護という観点が強いでしょうし、他の中国の7自動車メーカーについては、排気ガス規制という国策と補助金目当てといえ、未だ次世代のモビリティサービス「CASE」にはほど遠いのが実情のようです。

日本のお家芸ともいえるHV市場はどうなっているのでしょうか。

  • トヨタ自動車 1,247,219台
  • 本田技研工業 257,681台
  • 日産自動車 207,826台
  • スズキ 92,245台
  • LEXUS 88,553台
  • 起亜自動車 79,720台
  • Ford 63,871台
  • 現代自動車 50,823台
  • キャデラック 9,930台
  • スバル 9,586台

PHV(プラグインハイブリッド)も見ておきましょう。

  • 比亚迪汽車(BYD) 123,892台
  • BMW 78,713台
  • 栄威(ROEWE)58,865台
  • トヨタ自動車 41,043台
  • VOLVO 35,797台
  • 三菱自動車 41,043台
  • フォルクスワーゲン 23,677台
  • Chevrolet 22,797台
  • メルセデスベンツ 21,816台
  • 本田技研工業 18,702台

HVは2018年世界中で約215万台が販売されていますが、ほぼ日本の自動車メーカーが占めているというところで、特にトヨタ自動車は世界のHVシェアほぼ60%という状況です。

また、注目すべきは、EVではベスト10に7社がランクインしていた中国の自動車メーカーは1社も入っていないということでしょう。これは、中国政府によるNEV規制の影響が強く出ていると思われます。

 

中国のNEV規制

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上記のように、世界最大の自動車マーケットである中国では昨年約2800万台(シェア30%)のクルマが販売されており、自動車メーカーにとっていかに中国が重要なマーケットであるかが分かります。

その中国政府が、ガソリン車からEV(電気自動車)への切り替えを強力に推し進める施策が「NEV規制」です。

NEVとは、New Energy Vehicle(新エネルギー車)の総称のことで、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池自動車)の3つの総称となります。

NEV規制とは、「新エネルギー車クレジット規制」のことであり、中国市場で乗用車の生産・輸入台数が年間3万台以上の自動車メーカーに対して、一定割合以上のNEV(EV・PHV・FCV)の生産、販売を義務付けるものです。

NEV規制の達成度合いは「クレジット数(ポイント)」によってカウントされ、未達成の自動車メーカーにはペナルティが課されます。

つまり、これまでは、中国市場でもガソリン車だけを生産・販売していればよかったのが、今後は半ば強制的にEV・PHV・FCVにも注力しなければならなくなるということです。

このNEV規制が、、中国の自動車メーカーがHVに力を入れていない大きな要因となっています。

 

NEV規制の背景

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中国政府は、中国を自動車強国にしようというのが国策となっていますが、今さらガソリン車で勝負したところで勝ち目はありませんので、世界最大のマーケットを持つという強みを生かして、新エネルギー車で勝負しようとしているのです。

日本、アメリカ。ドイツの自動車メーカーと対等、もしくはそれ以上の自動車メーカーを育てたいわけです。

いずれにせよ、このNEV規制により、大手自動車メーカーの大半はEVの開発を強力に進める必要性が出てきました。中国という巨大マーケットの中で「CASE」の実験が繰り広げられることになりそうです。

トヨタ自動車の、大きな経営転換は必ずしも「CASE」を意識しただけではなく、この中国市場でのNEV規制対策とみることもできそうですね。

 

まとめ

2018年の世界の自動車販売台数は約9300万台となっていますが、その中で中国市場は約2800台(30%)が販売されています。

中国政府によるNEV規制とは、これまでのようにガソリン車のみならず、EVなどの新エネルギー車を一定割合以上販売・生産しなければならないという規制ですが、これにより世界の自動車メーカーのEV開発が急速に進むことになりそうです。

さらに、このことは、カーシェアなどの次世代のモビリティサービスにも大きな影響を及ぼしそうです。

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