カーシェアリング

次世代のモビリティサービス、ダイムラーの戦略「CASE」とは

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自動車メーカー100年に1度の変革期

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日本では、昨年末に世界屈指の自動車メーカーであるトヨタ自動車が、「自動車メーカーからモビリティカンパニーへの転換」を発表して話題になりましたが、世界的な傾向としては、トヨタ自動車の動きはどちらかというと遅いくらいであり、世界の大手自動車メーカーの中には早い時期から業態変換にチャレンジしている企業が多くあります。

100年に1度の変革期と言われる自動車業界ですが、私たちの周りを見てみても、カーシェア、ライドシェア、クルマの定額サービスなどさまざまな選択肢が用意されるようになりました。

これから5年、10年先には、自動運転車の時代が急速に進んでいくものとも思われます。いったい、どんなモビリティライフになっていくのか楽しみであるとともに、新しい時代のテクノロジーやサービスを知っておきたいところです。

 

ダイムラーの戦略「CASE」とは

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CASE」とは、ダイムラーが作った造語ですが、ダイムラーベンツの中長期の経営戦略としてだけではなく、今後のモビリティカンパニーを知る上でのキーワードとなります。

「CASE」とは、以下の言葉の頭文字からの造語となります。

C:コネクティッド化(Connected)

A:自動運転化(Autonomous)

S:シェア/サービス化

E:EV(電気自動車)

昨年末にトヨタ自動車が発表した「自動車メーカーからモビリティカンパニーへ」の中身も、この「CASE」が中心になっていることが理解できます。

「CASE」は、2015年9月のフランクフルトモーターショーでダイムラーが発表した、「自動車メーカーからモビリティのサービスプロバイダーに変わる」という戦略の実行の方向性を具体化したものになります。自動車を製造・販売する会社からクルマを移動するための手段としてのサービスを提供する会社に変わるという意味です。

 

「CASE」4つの領域とは

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「CASE」それぞれの領域の中でも、クルマビジネスや社会を大きく変えるのは「シェア/サービス化」で、それを革新的に提供する手段として「コネクティッド化」、「自動運転化」、「電動化(EV)」という潮流があります。これらのテクノロジーの発展がサービスにおけるイノベーションを支えます。

インターネットと接続されるコネクティッド化は、クルマの状態や周囲の道路状況などのビックデータを生み出します。このデータは将来の新しい価値を生み出すものとして期待されます。

自動運転化については、日本では東京オリンピックまでにレベル4、2025年に完全自動運転化となるレベル5を官民一体となって推進していますが、世界的には、自動車メーカー以外のGoogle、Uberなどのモビリティにおける新しいグローバルプレイヤーが実用化を急ぎ先行しているということろです。

電動化は、中国メーカーや欧州系メーカーが先行する様相を呈しています。EVというと、テスラや日産リーフを思い出しますが、フォルックスワーゲンでは、EVを標準化した部品を組み合わせてクルマを設計するモジュール化により、多くの車種をスピーディーに市場に投入できる体制を整えています。

 

ここからが本当の変革期となる自動車産業

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これまでの自動車メーカーは、クルマを製造して販売するというビジネスでしたが、これからは、4つの領域「CASE」におけるサービスを提供していく必要があります。

つまり、4領域では、自動車メーカーのみならず、新規のモビリティカンパニーと競合していくことになり、例えば、自動運転であれば、ダイムラーにとってのライバルはBMWやトヨタ自動車というよりも、むしろGoogleでありUberとなる可能性があるわけです。

EV(電気自動車)やコネクティッドカーにしても、現時点では収益化に至ってない状況であり、まさに、自動車メーカーの100年に1度の大変革期はここからやって来るということになります。5年、10年後には、街中を完全自動運転のEVが走っており、自動車業界も大きく様変わりしているのかもしれません。

 

ダイムラーはモビリティプロバイダーへ

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ダイムラーの「CASE」戦略とは、4つの領域を単独で開発していくのではなく、4つを包括的に提供するパッケージであり、同社の新ブランド「EQ(EV専用の新ブランド)」はCASEに則ったビジネス展開をしていく予定です。

ダイムラーのC(コネクティッド化)は、1台のクルマに対するものではなく、クルマとクルマが接続されていてはじめてわかる情報の提供のことであり、必然的に自動運転化のAと結びつくことになります。

同じことは、自動運転のAとシェア/サービスのSにもいえます。ここで思い浮かぶのは自動運転タクシーです。日本でも、来年の東京オリンピックには、首都圏を走るレベル4の自動運転タクシーが登場するかもしれません。ダイムラーの自動運転タクシーは相乗り可能な無人タクシーで、タクシーを提供するのは、タクシー会社だけでなく、個人オーナーも対象となる予定です。

ダイムラーは、2007年から「car2go」という名のカーシェアサービスを行っており、自動車メーカーでは世界最大となる200万人を超える会員を有しており、シェアリングサービスの延長線上に自動運転タクシーが置かれています。

そして、ダイムラーの「CASE」の要として位置づけられているのがEVのEであり、EV専用のブランドにダイムラーの本気度を見ることができます。

 

モビリティカンパニーでなければ生き残れない

ダイムラーが、世界の自動車メーカに先駆けて「CASE」を発表して時には、マスメディアの受け止め方は「しょせん、株価対策じゃないの?」という感じのものがほとんどでした。

確かに、マーケティング戦略が全くないというわけではないでしょう。しかしながら、2030年に旧態依然とした自動車メーカーのままであることに大いなる危機感をダイムラーが持っていることは事実であり、「CASE」という4つの領域の先には、100年に1度と言われる自動車メーカーの革命的な変化が待ち受けているのです。

2030年、いったいどれほどの自動車メーカーが存在し続けているのか、確実に言えることは、わずか10年先の世界では自動車メーカではなくモビリティカンパニーが存在しているということ、そして、ダイムラーはモビリティプロバイダーとして存在していることになります。

 

まとめ

ダイムラーの「CASE」戦略は、100年に1度と言われる自動車産業の革命的な変化を見据えたもので、4つの領域の先にその世界は広がっています。ライバル社であるBMWは「ACES」という戦略となりますが、言葉を並べ替えたもので、内容は当然同じようなものとなっています。

「CASE」のSであるカーシェアリングサービスやライドシェアは、すでにサービスが世界中で利用されるようになっています。このサービスに、C、A、Eがどうつながってくるのか非常に興味深いものがあります。

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