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カーシェアリングサービス「ReachNow」とは
ReachNowとは、2016年に創業した米国ワシントン州シアトルに拠点を構えるBMW傘下のカーシェアリング企業ReachNowが提供するカーシェアリングサービスで、シアトルの他、ポートランド、ニューヨークでios/AndroidアプリによるBMW、BMWi、ミニの車両のカーシェアリングサービスを展開しています。
BMWが提供するカーシェアリングということで、自動車メーカーが提供する本格的なカーシェアサービスとなります。自動車メーカーのカーシェアリングといえば、日本でも、ホンダや日産がサービス化ししていますし、トヨタもサービス開始を決めています。
ただし、多くの自動車メーカーのカーシェアサービスは、いわゆる試乗サービスの代替えサービスという意味合いが強く、本格的な「クルマを購入する時代から利用する時代へ対応したサービス」という代物ではありません。
その点、ReachNowはまさにクルマを利用する時代を意識したような本格的なカーシェアリングサービスといってよいでしょう。
ReachNowってどんなサービスなのか?
BMWが提供するカーシェアですから、提供されるクルマはBMW、BMWi、ミニとなっており、利用は1分単位から可能で、サービス提供地域内であれば乗捨てるだけでどこにでも返却が可能です。
カーシェアリングサービスですから、レンタカーのように事前に借りる時間を予約して、事務所まで出向いて契約書にサインしクルマの鍵を受け取る必要はありません。予約やクルマの解錠はすべてスマホアプリ(ios/Android)から行えます。
利用料金は1分単位の従量課金制で、運転中は毎分45セント(約50円)で駐車中は毎分10セント(約11円)がかかります。一見すると、日本のカーシェアよりも割高な気もしますが、クルマがBMWですからそれほどでもないでしょう。
さらに、ReachNowのサービス提供地域エリアなら、パーキングメーターのある路上駐車場は無料で利用できます。
日本とは道路事情が大きく異なりますが、米国では道路の幅も広く、当たり前のように多くのクルマが路上駐車しています。路上駐車してよい道路も多いのですが、最近ではパーキングメーターが設置されているところが増えています。
日本の立体駐車場に比べると、駐車料金は格安ですが、それでも至る所にありますので駐車場を心配する必要がないというのは、非常に優れたサービスとなります。
米国では、カーシェアといえども長時間利用のニーズも高く、長時間利用の場合の利用料金は、利用開始から1時間で15ドル、3時間で50ドル、丸一日の利用で80ドルという料金体系となっています。
ReachNowの利用方法
ReachNowの利用方法は、日本のカーシェアリングサービスとは少しばかり異なります。まず、利用当日にReachNowのスマホアプリから近くにあるクルマを検索します。クルマを選択すると30分間キープできますので、30分以内にアプリで解錠して乗車します。
ReachNowでは、実際の鍵を利用することはなく、運転の際も備え付けのカーナビ画面などに表示される手順に従って操作すると簡単にエンジンがかかります。
乗り捨てできますので、目的地に到着したら、サービス提供地域内であればそこで利用終了することもできますし、出発地点に戻るなど、まだ利用する場合には同じクルマをキープします。
もちろん、乗り捨て可能とは言っても、利用終了して返却できるのはサービス提供地域内となります。つまり、ReachNowを利用して、サービス提供地域外に行くことはもちろん問題ありませんが、返却するのはサービス提供地域内になります。
日本市場でもReachNowは展開可能か
次世代カーシェアリングといわれるReachNowですが、日本市場で展開する場合には様々な問題点が考えられます。BMW自体は、日本でも大人気の高級輸入車メーカーですから、米国と同じようなサービスが提供できるのであれば、サービスが人気化することは間違いないでしょう。
それでは、何故BMWが同様のサービスを提供しないのかといえば、言うまでもないでしょうが駐車場の問題です。米国のように、道路幅が広く、路駐可能なエリアやパーキングメーター付きでも格安で路駐できるエリアが日本にはほとんどありません。
首都圏で路駐しようものなら、すぐにみどりのおじさんがやってきますし、パーキングメーター付きのエリアはほとんど満杯になっています。時間貸し駐車場は既にタイムズカープラスやカレコの独壇場となっており、新規参入は難しいところです。つまり、日本で乗り捨てサービスを提供するための駐車エリア(場所)が圧倒的に足りないという問題に直面します。
また、ReachNowは乗り捨てサービスという性格上、日本のカーシェアリングサービスのように、清掃や管理などが行き届いているというわけではなく、日本人に受け入れられるかどうかは微妙なところです。
ライドシェアやタクシーとの併用でクルマいらずの生活が
それでも、ReachNowが次世代カーシェアといわれる所以は、世界中のほとんどのエリアはクルマなしでは生活できないというようなところがほとんどだからです。
つまり、日本のように交通機関が発達しているような国はほんのわずかであり、日本の首都圏などの場合には、クルマが無くても問題なく生活ができるところにカーシェアが利用できることでさらに利便性の高い生活ができているわけです。
ただし、これはレアケースであり、ほとんどの国では大都市以外では交通機関が発達しておらず、クルマがないと生活するのが厳しい状況なのです。
実際、米国のような国でさえ、広大な国土のためにクルマなしでは生活できないというエリアは非常に多く、そこで誕生したのがライドシェアであり、カーシェアリングサービスです。
米国でも日本同様に長い間、マイカーを所有することで生活の利便性を格段に高めることができていましたが、現在では、UbeやLyftなどのライドシェアサービス、ReachNowなどのカーシェア、およびタクシーを併用することで、マイカー所有に代わる時代が始まっています。
今後も増える自動車メーカーによるカーシェアサービス
ReachNowは、BMWが運営する本格的なカーシェアリングサービスということで大人気となっていますが、日本でも日産やホンダはすでにカーシェアサービスを行っていますし、トヨタも参入表明するなど今後も増えてきそうです。
国内自動車メーカーのカーシェアリングサービスというと、今のところはReachNowのような本格的なサービスというよりは、試乗サービスの代替や、日産のように電動自動車を体感してもらうという、いずれも販売のために行なわれている感じがします。
とは言え、自動車メーカーがカーシェアリングに参入してきたという事実は、動機はさておきカーシェアユーザーにとっては歓迎すべきことで、今後のさらなる展開を期待したいところです。
まとめ
BMWが米国の一部で提供するカーシェアリングサービス「ReachNow」が、次世代カーシェアとして人気のサービスとなっています。ReachNowのようなサービスは、現時点では日本では難しいでしょうが、自動車メーカーによるカーシェアリングサービスは、いよいよ「所有する時代から利用する時代」への第2の幕開けといっても良いでしょう。
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