カーシェアリング

トヨタも本格参入 カーシェアで所有する時代が終わる!?

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トヨタは自動車会社からモビリティカンパニーへ

トヨタ公式HP

1908年、米国のフォードがフォードT型を発売し、それまでの手作業から流れ作業による大量生産をスタートさせ、自動車産業は大発展することになり、まさに20世紀は自動車産業が世界をけん引していくこととなりました。今でもクルマは私たちの生活には無くてはならない存在であり、今後も自動車産業が世界の中心であると多くの人は考えていました。

ところが、2018年に入るとニューヨーク株式市場で象徴的な出来事が発生します。近年、高値を更新し続けるニューヨーク株式市場でiPhoneやマックで知られるAppleの株式時価総額が企業として初めて100兆円(1兆ドル)を突破しました。

世界的な株高状態もAppleの時価総額100兆円越えで天井を打つのではとの専らの評判でしたが、それはさておき、明らかに世界のビジネスの中心が自動車産業などの製造業からAppleをはじめとするIT企業にシフトしたことを全世界に見せつけているようでした。(その後に、Amazonも株式時価総額100兆円越えを実現します。)

そして、これらのIT企業は、彼らの成長の原動力ともなっているITテクノロジーを駆使して、自動運転化ビジネスへ次から次へと参入してきており、ここにきて、これまで世界経済のけん引役を務めてきた自動車産業もビジネスの再構築を迫られる状況となりました。

そんな中で、国内トップメーカーであり、世界有数のトヨタ自動車は自動車会社からモビリティカンパニーへの転換を宣言することになります。

 

所有する時代から利用する時代へ

pexels

衝撃的ともいえるトヨタのこの決断は、同時に自動車産業のビジネスのあり方を大きく変化させるものでもあります。これまでは良い製品を作り、マーケティングリサーチ力や強力な営業部隊を育てることで収益を上げ続けるというビジネスモデルでしたが、AppleにもAmazonにも営業部隊というものは基本的に存在していません。

なぜなら、ネットビジネスの世界では既存の営業組織は必要ではなく、ITテクノロジーが営業組織の役割も果たしてくれるのです。つまり、「営業のトヨタ、技術の日産」といわれていた時代は既に過去のものとなりつつあるのです。

共同通信記事によると、トヨタは2020年前半から試乗車をカーシェアビジネスとして展開するようですが、トヨタの販売店を見ればすぐわかりますが、常に試乗車が数台準備されていますので、その気になればすぐにでもカーシェアビジネスをスタートさせることはできるでしょう。

すでに、日産やホンダはカーシェアビジネスをスタートさせているくらいです。もちろん、トヨタはタイムズカープラスのビジネス領域に参入したいわけではなく、これはこれまでのような「クルマを所有する時代から利用する時代」への転換を意識したものであります。

トヨタが目指すのは、来るべき完全自動運転化時代のリーディングカンパニーとなることであり、完全自動運転の時代にはクルマとは所有するものではなく、利用するサービスに転換されるのでしょう。

 

トヨタ・ソフトバンク連合の移動サービスって?

2018年10月4日、突如として株式市場で国内1位と2位の時価総額を誇るトヨタとソフトバンクによる共同記者会見が実施され、両者が戦略的な提携に合意し、合弁会社のMONET Technologiesを設立すると発表しました。

同社はソフトバンクが50.25%、トヨタが49.75%を出資し、社長はソフトバンク側から就任するということでソフトバンク主導で事業が進められるようですが、この提携話自体はトヨタ側から申し入れたということです。ソフトバンク側からすると、とてもトヨタと提携するとは考えてもいなかったでしょうが、トヨタのほうにこそソフトバンクと提携したいという強い意志があったようです。

トヨタは、2016年にネットワークと常時接続するクルマ「コネクテッドカー」に関する戦略を打ち出しており、この「コネクテッドカー」は従来型の販売ばかりではなく、新しいモビリティサービスであるMaaS(Mobility as a Service)として創出することを掲げ、その基盤として、MSPF(モビリティサービスプラットフォーム)を提供しています。

また、2018年にはMaaS専用の電気自動車であるe-Paletteを発表しており、今後はe-Paletteをによる自動運転を用いたMaaS事業「Autono-MaaS」を展開していくことを明言しています。

MONET Technologiesは、e-paletteなど電気自動車を用いたモビリティサービスを提供するうえで、必要となるプラットフォームの役割を果たすことになります。

 

トヨタがKDDI、NTTではなくソフトバンクを選んだ理由

さて、今回のトヨタとソフトバンクという2大企業の事業提携の発表は、業界ならずとも日本経済を知る人たちにとっては驚きとともにもたらされました。何故なら、トヨタとソフトバンクが組むことは、これまでの常識からは考えにくいものであり、トヨタが組むとすると、筆頭株主となっているKDDI、もしくは通信業界の巨人であるNTTしか考えられなかったからです。

事実、2016年のコネクテッドカー構想はKDDIとの提携で進められており、トヨタの自動運転化戦略も当然KDDIとの提携になると思われていたからです。それでは、何故トヨタはKDDIでもNTTでもなく、ソフトバンクを選んだのでしょうか。

前述のように、事業を進めていく上ではソフトバンクとの提携がもっとも好ましいというトヨタの若手グループからの強い要望もあったようですが、それ以上に、自動運転化の時代にトヨタの競合となるのは、もはやフォードでもGMでもなく、またベンツやBMでもなく、Appleであり、Google、Amazonであると考えているからではないでしょうか。

ソフトバンクは、Uberをはじめとして世界各国のライドシェアに出資をしており大株主となっています。つまり、トヨタがコネクテッドカー戦略としての出資先には必ずと言ってよいほど、ソフトバンクは先に出資をし大株主となっていたのです。世界が相手となる自動運転化の時代のパートナーとしては国内ではソフトバンクしかなかったというのが実情だったようです。

 

いよいよ本格化するクルマを利用する時代

日本の自動車産業は、そのままトヨタの歴史といっても過言ではないでしょうが、いよいよそのトヨタが経営方針の転換を図りつつあります。ITテクノロジーのすさまじいばかりの発展は、私たちのモビリティライフをも大きく変革させようとしています。

クルマを所有することがステータスであった時代には、1家に1台は当たり前で、1家に2台というケースも珍しくはありませんでした。しかしながら、ITテクノロジーの発達は私たちにクルマを所有しなくても、クルマの利便性を十分に享受でき、クルマを楽しめるというモビリティライフを提供しようとしています。

 

まとめ

多くのマンションには、機械式駐車場が設置されマイカー利用者は高い駐車料金を支払って利用しています。高いとはいえ、駐車場の料金は他の管理に利用されたり、将来的な修繕積立金になることもあるでしょうが、今後は、マンションの駐車場にはマイカーではなく、完全自動運転の車が設置されるようになるのかもしれません。

交通事故がほとんどない時代となりますので、保険もコスト削減できるでしょうし、マンション駐車場から上がる収益はそれまでよりも大きくなるでしょうから、現在問題となっている将来的な修繕積立金の問題も一気に解決されてしまうかもしれません。

そんな夢のような時代が近づいていますが、その前身となっているのは間違いなく現在のカーシェアリングサービスでしょう。そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!

 

 

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