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デリバリー型カーシェアリングサービスの実証実験がスタート
いまや急成長するビジネスというよりも、新しい移動手段として定着した感のあるカーシェアリングサービスですが、それは首都圏などの都心部のお話で、地方に行くと必ずしも普及しているとまでは言えない状態です。
そんな中で、これまでにはない新しいカーシェアリングサービスが登場しそうです。そのビジネスとは、デリバリー型のカーシェアリングサービスで、従来の「ラウンドトリップ型カーシェア(※)」とは異なり、デリバリー型となりクルマをお届けしてくれるというサービスです。
今回、デリバリー型カーシェアリングサービスの実証実験を開始するのは、石油大手のJXTGグループで、広島県広島市で「広島お届けカーシェア(仮称)」としてスタートします。
※ ラウンドトリップ型カーシェアとは
ラウンドトリップ型カーシェアとは、国内で多く見られるような時間貸し駐車場などをカーステーションとして、クルマの利用開始と返却場所が同じ場所(カーステーション)であるカーシェアリングサービスのことです。
ラウンドトリップ型カーシェアに対して、ワンウェイ型カーシェアとはいわゆる乗り捨てサービスのことで、路駐が当たり前の欧州ではこのタイプが中心となっています。駐車場事情の違いが大きな要因となっています。
単なる地方の移動手段としてのカーシェアとは異なるビジネスモデル
国内のカーシェア市場が首都圏を中心に成長しているのは、それだけ需要があることに加えて、首都圏での駐車場料金問題などクルマの高額な維持コストが発生すること、および、それ以前に急成長していた時間貸し駐車場の存在があります。
これに対して、地方では、繁華街には一定の需要があるものの、地方に行けば行くほどカーステーションを確保しにくくなり、カーシェアリングサービスの最大の強みである利便性を発揮しにくいという問題があります。つまり、カーステーションがいかに近くにあるかが、カーシェアリングサービスの肝の部分となっているわけです。
このような事情から、デリバリー型カーシェアリングサービスと聞いた時には、地方でのカーステーション問題を解決させるビジネス、地方に新たな移動手段を提供するというものだと考えました。
しかし、そうなると、これまで問題となっていたカーシェアビジネスとしての採算性をどうやって確保するのかがポイントとなりますが、今回、JXTGグループが実施するデリバリー型カーシェアリングサービス実証実験とは、これらの諸問題を解決するというビジネスモデルとなっています。
「広島お届けカーシェア(仮称)」とは
広島お届けカーシェア(仮称)とは、デリバリースタッフによるクルマのお届け・お引き取り機能が付いた業界初となるデリバリー型カーシェアリングサービスです。
利用時間は平日の日中(午前9時から午後6時を予定)となり、乗車・降車場所は広島市内の都心部(中区およびその周辺エリア)となります。交通事情や道路事情などの要件を満たせば、オフィスの目の前や利用者の都合の良い場所での乗り降りが可能となります。
車両台数は3台からスタートし順次100台まで増車する予定で、2020年には有償サービスへの移行を目指します。
広島お届けカーシェア+2つの収益モデル
2019年に開始される「広島お届けカーシェア」は、法人向けのサービスとして開始されますが、来年度からは、法人で利用しない時間帯に、通勤用とプライベート用の個人向けカーシェアリングサービスも開始される予定です。
広島といえば、毛利家の「三本の矢」が有名ですが、これにあやかったわけではないでしょうが、「広島お届けカーシェア」は、法人向けサービス・通勤用サービス・プライベート利用という3つの収益源から構成されるビジネスモデルとなります。
サービス名(仮称) | 利用時間 | 出発場所 | 帰着場所 | サービスの種類 |
法人向け業務用 | 平日日中 | 都心部 | 都心部 | デリバリー機能付き |
個人向け通勤用 | 平日朝・晩 | 郊外/都心部 | 都心部/郊外 | ワンウェイ方式 |
プライベート用 | 土日祝日 | 郊外 | 郊外 | ラウンドトリップ方式 |
これは、カーシェアリングサービスの1台の車両を、3つの利用シーンに合わせて使い分けることで、多種多様なニーズに対応するとともに、ユーザーが利用する稼働時間帯や曜日が偏るという従来型のカーシェアリングサービスの問題点を解決しようとするものです。
ちなみに、カーシェアの利用は、スマホで予約して、クルマの施錠・開錠もスマホでできます。
広島お届けカーシェアのデリバリーの仕組みとは
広島お届けカーシェアのデリバリーの仕組みは、いつ、どの車両を、どのデリバリースタッフが届けるのかAIを使って組み合わせを決定します。
広島お届けカーシェアのデリバリーのスタッフは、自分ができる分だけを引き受けるという新しい働き方をしています。スキマ時間を活用して働けるため、多くの人がデリバリースタッフとして参加でき、いつでもどこでも便利に届けることが可能となる仕組みを構築しています。
デリバリーといえば、首都圏ではあちこちでUberEatsを見かけるようになりましたが、将来的には、Uberカーシェアなんて言うのを見るような時代になるのかもしれませんね。
まるでスーパーマーケットような形態に
カーシェアリングサービスの多様化は、まるでスーパーマーケットのような形態にみえてきます。
駅前の商店街からスーパーマーケットが登場し、郊外型の大型スーパーや、24時間営業の多店舗型のコンビニが大きく成長します。さらに、インターネットの発展によりECビジネスのネットスーパーはデリバリーサービスを提供します。
また、最近ではアウトレットや道の駅など多種多様な形態が登場し人気化しています。
MaaSなどの次世代モビリティーサービスでは、多種多様なカーシェアリングサービスが誕生しているのかもしれません。
まとめ
首都圏を中心に急成長したカーシェアリングは、利便性の高さが最大のメリットといえますが、その利便性を実現しているのが時間貸し駐車場などを利用したカーステーションの存在と、最新のITテクノロジーです。
つまり、カーシェアリングサービスとしてやっていくためには、カーステーションの設置という大問題があったわけですが、この問題を解決してしまおうというのが、JXTGグループのデリバリー型カーシェアリングサービスです。
JXTGグループといえば、日本全国の至ることろにガソリンスタンドを所有するというモビリティー産業としての優位性を持っているグループだけに、今回の実証実験は面白いことになりそうです。
それにしても、新たなカーシェアリングサービスがどんどん誕生してきますね!
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