カーシェア急成長の要因の一つにコンパクトカーの存在
首都圏などの都心部を中心に急成長を続けるカーシェアリングサービスは、本年(2018年)にはユーザー数が130万人を突破しており、その勢いは今後も続いていきそうです。
カーシェアリングがこれほどまでに急成長した要因には、何といってもクルマを「所有する時代」から「利用して楽しむ時代」へと転換させるモビリティライフ革命がその背景にありますが、もう一つ忘れてはならないのが。コンパクトカーの存在です。
コンパクトカーとは、その名の通り小回りの利く便利の良いクルマのことで、かと言って軽自動車ほど小さいわけではなく、日本の道路事情などにマッチして日本ならではのクルマ、もっと簡単に言うと日本の自動車マーケットの中では最も売れ筋のクルマということになります。
カーシェアリングサービスでは、都心部中心ということもあり、時間貸し駐車場などをカーステーションにすることも多く、コンパクトカーはまさにカーシェアリングサービスにマッチした大きさであり、利便性の高いサービスとしてのカーシェアには最適なクルマであることが分かります。
もちろん、またには高級輸入車やワンボックスカー、あるいはSUVに乗ってみたいというニーズもありますが、カーシェアの利用用途からすると買い物や送迎に便利なコンパクトカーのニーズが最も高くなるでしょう。
カーシェアのユーザーには、たまにしか運転しないという人も多くいますので、運転しやすいコンパクトカーなら安心して利用することができるというメリットも大きいですね。。
コンパクトカーの中での売れ筋はコンパクト・ハイブリッドカー
前述のように、国内自動車マーケットでは、売れ筋ランキングの上位を占めるコンパクトカーですが、その中でもさらに人気が高いのが燃費の良いコンパクトハイブリッドカーと呼ばれるタイプで、ただでさえ燃費の良いコンパクトカーの燃費をさらに向上させています。
ハイブリッドカーとは、2つ以上の動力源を持つ車両のことで、日本のクルマの場合には一般的には内燃機関(エンジン)と電動機(モーター)を動力源として備えた電気式ハイブリッド車(HEV)のことを指します。車種によって異なりますが、EVのように外部から直接充電できるタイプはPHV(プラグインハイブリッド)と呼ばれます。
また、近年大人気となっている日産のe-powerの場合には、エンジンで発電しモーター走行する典型的なHEVですが、EVの力強さを備えながら、充電の心配はないクルマという差別化戦略から、敢えて名称からハイブリッドという言葉を外しています。(下記図参照)
来るべき完全自動運転車の時代には、EV方式が標準として採用されるようですが、自動運転という概念がなければこのハイブリッド方式が当分の間はクルマのエンジンの主要テクノロジーとして君臨することになったでしょう。
コンパクトハイブリッドカー4選
カーシェアやレンタカーでも大人気のコンパクトハイブリッドカーですが、ここでは国内マーケットで特に人気の高い4つの車種について取り上げます。
日産ノートe-power
2016年11月、日産車としては日産サニー以来30年ぶりに月間新車販売数ランキングでトップに立ったノートe-powerはそのまま現在までトップに君臨しています。
元々、コンパクトカーとしてのノートは日産の主力車種ではありましたが、同じコンパクトカーのトヨタプリウス、アクア、あるいはホンダのフィットの後塵を拝していました。ところが、このe-powerシリーズが登場するや人気に火が付きます。
日産では、社運をかけて開発したEV車のリーフが、その走行性の高さは認められながらも、充電という厳しい壁の前に販売に苦戦する中、リーフの走行性や力強さはそのままに、充電の心配は全くないというコンセプトで登場したe-powerが大当たりしたというところです。
以前、プリウスが登場した時ほどのインパクトはありませんが、それに近いインパクトを持って多くのカーユーザーに受け入れられることになります。
カーシェアリングサービスでは、現時点ではそれほど多く見かけませんが、日産がスタートさせた日産カーシェアサービス e-シェアモビでは、ノートe-powwerもしくはリーフかどちらかがいつでも利用できます。
トヨタプリウス
日本のハイブリッドカーの先駆けともいえるのがトヨタプリウスで、発売当時にはブームともいえるような大人気となった車種です。その後、よりコンパクトサイズのアクアと人気を二分することになりますが、モデルチェンジを繰り返しながら現在でもトップレベルの人気を誇ります。
カーシェアリングサービスに人気が出始めた当初、つまり、タイムズカープラスが大々的に営業スタートさせたころには、その目玉としてカーシェアリングサービスでプリウスが利用できると評判にもなっていましたが、その後に登場するプリウスPHVもカーステーションでよく見かけていました。
カーステーションが拡大されるとともに数は減少していきますが、現在でも多くのカーステーションにはプリウスが設置されています。
現行プリウスの歌舞伎顔は今回のモデルチェンジでは見られなくなっていますね。
トヨタアクア
プリウス大人気の後に、よりコンパクトタイプとしてトヨタが開発したのがアクアです。コンパクトハイブリッドカーというジャンルで言うと、このアクアこそがその先駆けとなったといっても言い過ぎではないでしょう。日産e-powerが登場するまでは、コンパクトカーの新車ランキングではトップに君臨し続けており、今でもノートe-powerに次ぐ人気を保ちます。
アクアで特質すべきは、その高いインパクトとなった燃費の良さもありますが、何といっても発売以来7年間にわたってほとんどモデルチェンジを行っていないということです。7年間もモデルチェンジなしに売れ続けたクルマというのはアクア以外にはないでしょう。
ホンダフィット
プリウス、アクア、あるいはノートe-powerのようなインパクトはほとんどありませんが、地味に長年にわたり売れ続けているのがホンダの主力コンパクトカーであるフィットです。
ホンダでは、インサイトというハイブリッドカーがありましたが、プリウスの牙城に迫ることはできずにすでに生産は中止されています。そのようなこともあり、元々ホンダの得意分野であったコンパクトサイズの車種の伝統を受け継ぐことになったのがフィットです。
カーシェアではフィットハイブリッドはあまり見かけませんが、フィットは多くのカーステーションに設置されています。
まとめ
小回りが利いて運転しやすく、驚くほど燃費が良い、そんなイメージのコンパクトハイブリッドカーですが、最近では、さらに力強さやデザイン性まで向上し、日本の道路事情に最適なのはもちろん、クルマを楽しみたいというカーユーザーにも大人気となっています。
カーシェアリングでも多くのハイブリッドカーが提供されています。短時間利用に最大のメリットがあり、短時間利用であればガソリン代はかからないことの多いカーシェアですが、今後は長距離運転での需要も増えてくると想定されますので、コンパクトハイブリッドカーが増車される傾向にあると考えてもよさそうですね。
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