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ソフトバンクグループが米Uberに出資
2018年1月18日に、ソフトバンクグループによる米Uberへの12億ドルという巨額な直接投資が実施されました。米Uberとは、米国のタクシー配車アプリの最大手で、日本ではほとんどなじみのないタクシー配車アプリですが、米国では非常に有名な企業です。
今回の巨額投資は、ソフトバンクグループによる米国のスマホマーケット睨んだ投資の一環とみられますが、実はタクシー配車アプリは、東京オリンピックを前にして深刻なタクシー乗務員不足問題を抱える日本国内にも巨大な潜在的なマーケットがあると考えられています。
2017年後半にはモバイル最大手のdocomoがカーシェアビジネスに参入(dカーシェア)したように、モバイル端末というプラットフォームを持つモバイル大手各社とモビリティビジネスの融合は今後も盛んにおこなわれると期待されています。
タクシー配車アプリとは
タクシー配車アプリとは、スマートフォン専用アプリからタクシーを呼ぶという単純なサービスですが、2009年にアメリカでUberが設立されるや瞬く間に利用者数が拡大し、わずか数年で日本をはじめとする世界70か国・450都市以上で利用されるようになりました。
Uberが人気を集める理由は、ITテクノロジーを駆使してタクシーンの使い勝手を圧倒的に向上させた点で、アプリに行き先を入力すれば、運転手の到着時間や料金の目安が表示され、支払いも登録してあるクレジットカードで自動決済されるというものです。
Uberは本来はタクシー配車アプリではなく、ドライバーと利用者をマッチングするアプリで、最大の特徴としては一般ドライバーがUberに登録してのカーシェアリングですが、日本も含む多くの国では法規制のため普及が難しいというのが現状です。
日本では、タクシー乗務員不足という深刻な問題を抱える中、タクシー会社の買収合戦とともに配車アプリも競争激化しており、黒船ともいうべき米Uberが法規制という壁にぶつかる中で、タクシー会社を中心とする配車アプリが多く登場しています。
DeNAの提供するタクシー配車アプリ「タクベル」とは
DeNAグループは、ITテクノロジーを利用した個人間カーシェア「Anyca」を成長させるなど、次世代のモビリティビジネスに積極的に打って出ている企業ですが、2018年4月には神奈川県タクシー協会と共同でAI活用のタクシー配車アプリ「タクベル」の提供を川崎・横浜エリアで開始しました。
対象エリアは今後順次拡大していく予定で、2018年夏には神奈川県全域でサービスを展開する予定で、「タクベル」はすでに神奈川県タクシー協会の推奨配車アプリに採択されており、神奈川県内の約半分のタクシー会社が「タクベル」の採用を決定し、さすがはDeNA横浜ベイスターズのお膝元というところでもあります。
タクベルもUber同様に、全車両でネット決済に対応した配車アプリで、予想到着時間を確認したうえで配車依頼できるほか、周辺を走っている空車情報をリアルタイムで把握することも可能で、乗務員とのメッセージ機能や双方が現在地を確認できる機能も搭載されています。
事前のカード決済にも対応しており、事業者横断で配車依頼が可能であり、特定のタクシー会社を指定することもできます。
また、タクベルでは、AIを利用した需要予測システムも搭載する予定で、これにより走行位置や車速など「運行するタクシー車両から収集する情報」と、気象や公共交通機関の運行状況、イベントなどから「タクシー需要に関する各種データ」を解析し、乗務員へリアルタイムかつ個別に走行ルートを推奨します。
さらに、単に顧客需要を予測するだけではなく、周辺の空車車両の状況なども加味したうえではがし営業の走行ルートを提案できるようになります。これまでは、ベテランドライバーしか知りえなかったような情報が、新人乗務員でも簡単に取得することができるようになり、平均以上の収益を上げられるようなシステムを目指します。
東京オリンピックに向けて深刻なタクシー乗務員不足問題
バブル期の都心部では夜にはタクシーが拾えないという状況が続きましたが、そこまではいかないまでも慢性的な人手不足問題から、タクシー乗務員不足は深刻な状況となっており、法人タクシーの運転手の数は平成17年の約38万人から27年には約30万人まで減少しています。
さらに、ここ数年の海外旅行者急増や2020年に東京オリンピックを控えることから、様々な対策が検討されており、自動車運転2種免許取得の緩和や、東京オリンピックに向けてはバスやタクシーの自動運転化(レベル4)が政府主導で進められています。
これに歩調を合わせるように進展するタクシー配車アプリも、乗務員不足の解消に貢献するものとして期待されています。DeNAでは、2018年秋をめどに、タクベルを全国展開していく予定です。
2020年の東京オリンピックを前にして、この分野ではDeNAのタクベル以外にも、タクシー配車アプリ「全国タクシー」を展開するjapan taxiがトヨタ・KDDI・アクセンチュアと共同でAIを活用した需要予測システムの開発、都内での試験導入を開始しています。
また、ソニーもタクシー会社6社とタッグを組み、需要予測にAI技術を活用する配車アプリの新会社を設立することを発表しています。
タクシー乗務員不足とカーシェア
東京オリンピックに向けて、タクシー乗務員不足問題解決に貢献するとして期待されている分野に、ここ数年で首都圏を中心に急拡大したカーシェアサービスもあります。
首都圏の駅前の時間貸し駐車場などでは必ずと言ってよいほど見かけるカーシェアサービスですが、すでにカーステーション数や配車台数については十分な数が確保されており、スマホやPCから簡単に予約できるというシステムもあり、非常に利便性の高いサービスが展開されています。
未だ、ワンウェイ(乗り捨て)サービスは提供されていませんが、ダイムラーが提供を始めた「car2go」のようなサービスが展開されれば、タクシー乗務員不足問題にも大きな貢献をする可能性もあります。
まとめ
2020年東京オリンピックに向けてタクシーの乗務員不足問題は深刻化していますが、タクシー配車アプリは問題解決に貢献するものとして期待されており、DeNAの提供する「タクベル」などの配車アプリも複数登場しています。
同様に、バスの自動運転化(レベル4)やカーシェアサービスの乗り捨てサービスにも同じ役割が期待されています。自宅近くにカーステーションがあったら、タクシーを利用すること自体が少なくなるでしょう。
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