モバイル最大手のdocomoがカーシェア業界参入
2017年11月に国内モバイル最大手のdocomoがカーシェア事業に参入しました。サービス名は「dカーシェア」、dアカウントを持っていれば、専用のスマホアプリで検索・予約・決済がワンストップで行え、企業によるカーシェア、レンタカー、個人間カーシェアが行える点が特徴のサービスです。
NTTグループのdocomoがカーシェア業界参入ということで、各メディアからは驚きとともに、なぜカーシェアなのかという反響も多くありました。もちろん、そこには単なる収益源としてのビジネスというだけではなく、モバイルとモビリティライフという融合がdocomoの戦略から見えてきます。
同じモバイル大手のソフトバンクグループによる廃車大手の米Uberへの出資合意などの、他社への支援はこれまでもあったものの、最大手のモバイルキャリアが自社でカーシェアビジネスを展開するというのは初めてのことであり、docomoの本気度が窺えしれます。
docomoがカーシェアに参入した理由とは
docomoバイクシェアサービスの成功
この数年、東京都内では各自治体が提供するレンタルサイクルの赤い自転車を見かけることが多くなっていますが、実はこのサービスは、docomoバイクシェアが提供しており、東京都内の千代田区・港区・新宿区・中央区などすでに4,000台以上が配置されています。
docomoの自転車シェアリングサービスでは、交通系のICカードでの決済に対応するほか、GPSを活用したリアルタイムでの安全管理も導入され、各種損害保険にも加入しているため安心して利用することが可能というわけです。
現在、自転車シェアサービスは、利用者も急増中でニーズも非常に高まってきており、このサービスで成功したことが、次なるカーシェアサービス開始へとつながっています。
モビリティライフのプラットフォームを目指す
モバイル国内最大手のdocomoは、スマホ端末というプラットフォームの優位性を持ち、dアカウントを通じて、EC(インターネット通販)プラットフォームなど様々な分野のプラットフォームを目指しており、モビリティライフの分野でも同様にプラットフォームとなることを目指します。
dカーシェアというプラットフォームからは、現状はオリックスカーシェア、各社のレンタカー、独自の個人間カーシェアが利用でき、また、カーシェアでは他社のような月額料金は必要なく、クレジットカードに加えて携帯払いやdポイントでの支払いも可能となっています。
すでに、レンタカーではトヨタレンタカー・オリックスレンタカー・日産レンタカー・ニッポンレンタカーなど6社とASP事業者を介して連携、企業カーシェアも現在はオリックスカーシェアのみですが、カレコを運営する三井不動産リアルティとも交渉中です。
モビリティライフの多様化
現在、国内のカーシェア市場は、時間貸し駐車場というアドバンテージを持つタイムズカープラスが圧倒的なシェアを持っていますが、敢えて、そのような市場に参入したのは、docomoの調査によれば、カーシェアの利用目的には、車を運転するというだけではなく、車をスペースとして利用したいという潜在的な利用方法があります。
調査によれば、仮眠、電話、授乳、カラオケ、夜のホテル代わりなど様々な利用目的があるという報告があり、モビリティライフの多様化は、今後ますますカーシェア市場を拡大させていくと判断しているのです。
アプリの使い勝手の良さが特徴
dカーシェアのメリットには、企業とのカーシェア・レンタカー・個人間カーシェアからサービスを選ぶことができる、決済方法がクレジットカード払いに加えて、携帯払いやdポイントでの支払いに対応していることがお下られますが、むしろ、それ以上のメリットと考えられるのが得意分野であるアプリを介した使い勝手です。
dカーシェアが主なターゲットとしているのは、20~30代のスマホ利用者で、月額基本料金を払ってまで車を利用したいとは考えないが、アプリから簡単に申し込めるのであれば利用しても良いというアプリを使い慣れているユーザー層です。
このことより、dカーシェアではアプリの使い方にはこだわっており、ユーザーがスマホアプリを立ち上げると、位置情報をもとに「あなたの周辺には○○台のクルマがあります」と表示され、「今すぐ乗れる近くのクルマ検索」をタップすると現在地と周辺の企業、オーナーを示す吹き出しが地図上に表示されます。
この吹き出しをタップすると瞬時に決済画面へと移行し、借入可能なクルマのスペックや利用時間に応じた料金をキャッシュレスで支払いことが可能です。個人間カーシェアを利用する場合には、アプリ内のメッセージ機能からスムーズに料金や受け渡し場所などの交渉に移れます。
dカーシェアの企業カーシェアは現時点ではオリックスカーシェア
dカーシェアの企業カーシェアは、現在、カレコなどの複数の候補と交渉空ですが、現時点で利用可能なのはオリックスカーシェアとなります。
利用料金
スタンダートクラス(コンパクトカー・ベーシックカー・ミニバン・SHV)
時間料金 | 距離料金 | |
通常料金(15分当たり) | 220円 | 0円 |
6時間パック | 4,200円 | 0円 |
12時間パック | 6,500円 | 15円/1km |
24時間パック | 8,000円 | 15円/1km |
夜間パック(20時~翌9時) | 2,500円 | 15円/1km |
デラックスクラス(ステップワゴン、エクストレイル等)
時間料金 | 距離料金 | |
通常料金(15分当たり) | 320円 | 0円 |
6時間パック | 4,800円 | 0円 |
12時間パック | 7,800円 | 15円/1km |
24時間パック | 9,400円 | 15円/1km |
夜間パック(20時~翌9時) | 2,500円 | 15円/1km |
利用料金は、タイムズカープラスやカレコの同様のサービスと比較すると若干高めの料金設定となっており、ヘビーユーザーからの利用は期待できませんが、dサービスでは月額料金は必要ありまでんので、dサービスがターゲットとするユーザー層には受け入れられる可能性はあるでしょう。
今後、連携先候補との交渉次第では、新たな料金体系が発表されることも期待されています。
まとめ
モバイル最大手のdocomoがモビリティビジネスに参入したのは、2025年を目標とする政府の完全自動運転化を見据えたものとも考えられます。急速に進化するモビリティ産業で完全自動運転化が実用化されるとさらにビジネスチャンスは拡大することになります。
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