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売れてる理由はどこにある?
今、売れに売れまくっている軽自動車と言えば、ホンダN-BOXシリーズ。2017年の年間新車販売台数は21万8478台を数え、軽自動車ではもちろん、小型普通乗用車を含めても日本国内で最も売れた車種となりました。
アクアやプリウスなど、時代にマッチしたハイブリッドカーを抑えての新車販売ランキング1位には大きな価値があります。そこでN-BOXシリーズが売れている理由を探る前に、まずは新車販売台数から見ていきたいと思います。
驚異的なペースで累計販売100万台を達成!
2017年に日本国内で最も売れたクルマとなったN-BOXシリーズですが、軽自動車クラスに限定すると、実は2013年(23万4994台)、2015年(18万4920台)、2016年(18万6367台)にも最多販売車種となっており、直近の三連覇を含む四冠を達成するなど、N-BOXシリーズはライバルたちを寄せ付けない圧倒的な強さを見せています。
また、2012年と2014年は惜しくも首位を獲れませんでしたが、それでも21万1156台、17万9930台を販売。各年とも堂々の2位につけ、2011年末の初代モデル発売以降、2017年秋に実施されたフルモデルチェンジによる2代目登場を経て、N-BOXシリーズは7年もの長きにわたって好調な販売をキープしているのです。
年間約20万台がコンスタントに売れるという驚異的なペースもあり、N-BOXシリーズは2016年末に日本での累計販売台数が100万台を突破しました。これは6年半かかって達成したフィットより1年半も早く、ホンダ車としては文句なしに最速。同社の歴史にN-BOXシリーズが新たな1ページを刻んだわけです。
参考:「N-BOX(エヌボックス)」シリーズが2016年暦年 軽四輪車新車販売台数 第1位を獲得~累計販売台数100万台を突破~
マーケティングで市場動向を敏感にキャッチ
N-BOXシリーズが売れるひとつめの理由は、2012年夏にまずN-BOX+(プラス/現在は車いす仕様車のみの販売)を、続いて2014年末にN-BOX/(スラッシュ)を追加するなど、継続的に車種ラインナップの拡充を図ってきたことです。タントやスペーシアは基準車の他、内外装の仕様やデザインを手直ししたカスタムしかありませんが、N-BOXシリーズは別のアプローチを試みているのです。
中でもN-BOX/(スラッシュ)は全高を1700mm以下に抑え、リヤサイドウインドウもN-BOXとは全く異なるデザインとすることでスタイリッシュなフォルムを演出。N-BOXという車名を持ちながら、個性的なキャラクターが確立され、独特な存在感を漂わせています。それによって、より多くのユーザーに訴求できるようになったことも販売台数を伸ばす要因だったと言えるでしょう。
ライバルメーカーと同じことをするのではなく、一歩先を見据えたホンダの展開。その背景には、軽自動車ユーザーのニーズが多様化しつつあることを敏感に察知して、それに応える商品をラインナップに加え、既存の商品も改良するという努力があったことは間違いありません。つまり、ホンダは常にアンテナを張り巡らせ、市場動向をチェックするマーケティングに余念がないということでしょう。
軽自動車最大を誇る居住空間とラゲッジスペース
多くのユーザーに受け入れられる幅広い車種ラインナップを展開しながら、クルマ自体にも大きな魅力がある。それが、N-BOXシリーズが売れるふたつめの理由です。
ボディサイズに制約がある軽自動車では、その中でいかに快適な居住空間やラゲッジスペースを確保するか? ということが開発を進めていく上で大きなウエイトを占めます。また、トール(ハイト)ワゴンに人気が集中している市場動向を見ても、ユーザーの関心はそこにあることがわかります。
N-BOXシリーズは軽自動車で最長となる2520mmのホイールベースを持ち、そのおかげで室内長もクラストップの2240mmを実現。このホイールベースはコンパクトカーであるスイフトの2450mmやヴィッツの2510mmを上回り、フィットの2530mmに肉薄するもので、ボディ形状から想像できるように室内長はそれらコンパクトカーを超えています。
また、室内高は1410mmのスペーシアに次ぐ1400mmを確保。前後方向だけでなく、天地方向でも軽自動車トップクラスの寸法となれば、その掛け算で弾き出される数値=居住空間がクラス最大になるのも当然です。
軽自動車の枠を超えた優れた居住性と、広いラゲッジスペースや多彩なシートアレンジを含めた使い勝手の良さ。そもそものポテンシャルが高いところにあったこと、それに加えてさらなるグレード体系の見直しや装備の充実化、ボディ色の追加や変更などの一部改良を繰り返し行って、絶えず商品力を強化してきたこともN-BOXシリーズが売れる理由なのです。
ライバルの競争力が相対的に落ちている!?
新車販売台数において、もはやN-BOXシリーズの独壇場と言える軽自動車クラス。そのような状況になってしまったのは、同じようなコンセプトで開発され、販売面でも競合するタントやスペーシアの競争力がN-BOXシリーズに及んでいないのでは? という見方もできなくはありません。
それを裏付けるのがグレード展開。N-BOXシリーズは全38機種を誇りますが、タントは29機種(カスタム含む)、スペーシアはこの3台の中で唯一のハイブリッド車という大きなアドバンテージを持ちながらも10機種(カスタム含む)に留まっています。単純に商品数=機種が多ければ、よりニッチなユーザーの関心も引くことができるわけで、その時点でタントもスペーシアもN-BOXシリーズに遅れを取っていると言えます。
また、N-BOXとはイメージが異なり、スポーティで新しいモノ感も漂うN-BOX/(スラッシュ)を擁するN-BOXシリーズを相手に、タントにしてもスペーシアにしても基準車と内外装を手直ししたカスタムの二本立てで対抗するのは厳しいものがあります。
事実、過去2年の新車販売台数を見てみると、2016年はN-BOXの18万6367台(1位)に対して、タントが15万9998台(2位)、スペーシアが8万1277台(8位)、2017年はN-BOXの21万8478台(1位)に対して、タントが14万1373台(2位)、スペーシアが10万4763台(6位)と、いずれも数万台以上の差が付いています。この差はグレード拡充程度で埋められるものではなく、N-BOXシリーズにおけるN-BOX/(スラッシュ)のように、新たな価値観を持ったモデルを導入するくらいの対策を施さないと難しいと思われます。
逆に言えば、タントやスペーシアがそのような手を打たない限り、N-BOXシリーズの横綱相撲はまだしばらく続くとも言えるでしょう。
まとめ
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