カーシェアリング

フランスで拡大するEV専用のカーシェアリングサービス

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PSAグループが提供するEV専用のカーシェアリングサービス

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PSAグループは3月12日、フランス・パリで運営しているEV専用のカーシェアリングサービスを拡大することを発表しました。

フランスというと、現在、日本で激震中のルノーを思い出しますが、PSAグループとは、プジョー、シトロエン、オペル、DS、ボクスフールブランドでクルマの製造・販売を行っている多国籍企業です。

PSAとはプジョーの頭文字をとっているように、プジョー家、フランス政府、中国の自動車メーカー東風汽車を主要株主とする、世界的な自動車メーカーとなります。

日本でもトヨタ自動車が「自動車メーカーからモビリティカンパニーへ」と変わることを宣言して「KINTO」やカーシェアリングサービスを始めましたが、この動きは世界中で大きなうねりとなって進んでいます。

 

業績絶好調のPSAグループ

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自動車メーカーによるモビリティサービスへの参入は、世界的な流れといっても良いでしょうが、このPSAグループも実は業績絶好調の企業といえます。

同社の発表によると、グループ全体の売上高は740億2700万ユーロ(約9兆3140億円)、前年が622億5600ユーロですから18.9%増と2年連続のプラスとなっています。

また、2018年の通期純利益は32億9500億ユーロ(約4145憶円)で、前年の23億4700ユーロに対して40.4%増と大幅な増益となっています。なお、黒字は4年連続です。

この好業績の背景には、世界的にも好調な欧州での新車販売台数、およびオペルが加入したことによる好調持続というポイントは見逃せないでしょう。

PSAグループとしては、業績好調のこの時期にこそ、今後急拡大が予想されるモビリティサービスへの参入を急ぎたいというところなのでしょう。

 

EV専用のカーシェアリングサービス

 

PSAグループが提供するEV専用のカーシェアは、提供されるすべてのクルマはEV、また、新たなモビリティサービス向けアプリの「Free2Move」を利用します。

このモビリティサービス向けのアプリは、カーシェアリング事業者とユーザーを結ぶモビリティサービスとなります。スマートフォン向けの専用サービスを利用することで、ユーザーは簡単にEVのカーシェアリングサービスにアクセスでき利用することが可能となります。

ユーザーはアプリを利用して、最寄りの空き車両の検索、予約、駐車スペースの検索、クルマのロック解除、サービスの利用終了まで完了できます。

利用料金は、分単位または月額で支払い、この利用料金には保険や駐車代が含まれています

 

Free2Moveが提供するEV専用サービスとは

https://library.mitsubishi-motors.com/

Free2Moveは、カーシェアリングサービスのEVのみならず、一般のEVなどの電動車向けの専用サービスが導入されています。

カーシェアリングサービス向けとしてだけではなく、PSAグループの全車EV化に向けて商品開発されているのです。

つまり、PSAグループのモビリティサービスのプラットフォームとしての位置づけとなっており、2019年発売のEV新型車からサービスが開始されます。

・充電パス

ユーザーはFree2Moveから、自分のクルマ(EV)に対応可能な充電ステーションを見つけて利用することができます。

現在地からの距離、充電料金、充電スピードなどに基づいて、充電ステーションを選択すると、車載のインフォメーションディスプレイに最適なルートが表示されます。

・トリップ・プランナー

トリップ・プランナーとは、その名の通りEVで安心してドライブすることを可能とする機能です。

EVの場合には、充電という不安を抱えてドライブしなければならないという問題がありますが、この機能はバッテリーの残量や空調などの状況に基づいて、ドライバーに最善のルートを提案します。

ユーザーは、トリップ・プランナーの案内に従い、充電ステーションに立ち寄りますので安心してドライブすることができます。つまり、トリップ・プランナーは充電時間も含めたドライブ時間を予測して、ドライバーに知らせてくれます。

 

提供されるEVは三菱「i-MiEV」のOEMバーション

 

PSAグループのEV専用のカーシェアリングサービスに使われるのは、PSAグループの小型EVであるプジョー「iOn」とシエトロンの「Cゼロ」合計500台以上を利用します。

日本ではあまり知られていませんが、このプジョー「iOn」とシエトロンの「Cゼロ」とは、三菱の「i-MiEV」のOEMバージョンとなります。

日本でもほんの一部だけでカーシェアで利用されている三菱「i-MiEV」ですが、むしろ、欧州でのカーシェア利用が増える傾向にあるようです。

EVとしての実力もさることながら、デザイン的にも欧州で受けているのかもしれませんね。

 

フランスで急拡大するEVカーシェアリングサービス

http://library.mitsubishi-motors.com/

今回のPSAグループの発表以外にも、すでにメルセデスベンツの「Car2Go」やルノーなど多くの自動車メーカーが、フランスのパリでのEVカーシェア事業を発表しています。

フランスのパリは、面積105キロ㎡で東京の山手線の内側ほどの広さに220万人が住んでおり、慢性的な交通渋滞と駐車場不足の状態にあります。

中世の建物が多く残り、建設基準も厳しいパリではそう簡単に駐車場を増やすこともできません。また、パリ市内の道路の多くは一方通行となっており、道路の片側もしくは両側が有料駐車帯となっていますが、ここはいつ見てもすきまがないくらいクルマが駐車しています。

こんなことから、官民共同で2011年からEVカーシェアリング「オートリブ」がスタートしますが、残念ながら、大赤字を抱えたまま昨年廃止されることとなりました。

この「オートリブ」の代替えとして期待されているのが、民間である大手自動車メーカーによるEVカーシェアリングサービスとなります。

自動車メーカーとしても、フランスのパリという世界的な都市で、大手を振って今後の大きな収益源として期待されるEVカーシェアリングサービスを実施できるというのは、大きなメリットがあると考えられます。

 

日本にも広まるのかEVカーシェアリングサービス

 

EVというと、環境保護という観点もありますが、日本市場の場合には「リーフ」や「i-MiEV」という優秀なEVもありながら、そもそもハイブリッドや軽自動車など燃費に優れたクルマが多いことから、環境問題に敏感な欧州とは事情が異なっています。

2011年に、フランスで「オートリブ」がスタートしたころには、環境に優しいEV車ということでしたが、現在では、利便性からEVが採用されているという面も大きくなっており、来るべき完全自動運転時代をにらんだ選択となっています。

現在、日本のカーシェアリングサービスは、ほとんどが高燃費のコンパクトカーとなっていますが、このフランスでのEVカーシェアリングサービスの状況次第では、日本市場でもEV化の波がやってくるのかもしれません。

 

まとめ

 

PSAグループによるEVカーシェアリングサービスの拡大が発表されましたが、フランスのパリを中心として、EVカーシェアリングが急拡大しています。

パリでは、2011年から「オートリブ」という官民共同のEVカーシェアリングがありましたが、大きな赤字を抱えたまま昨年廃止されています。

今後拡大するEVカーシェアリングサービスとは、環境に優しいEVというよりは、来るべき完全自動化時代をにらんだサービスとなりそうです。

日本市場にもこのEVカーシェアリングかの流れは、遅かれ早かれやってくるものと思われます。そんなカーシェアリングを、あなたのお近くのカーステーションを探したり、レンタカーや他のカーシェアリング会社との料金比較ができる『カーシェアリング・レンタカー比較のDRIVE go SEARCH』で探してみることをおすすめします!

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